働き方の多様化が進む昨今、会社員として働きながら「もう一つの仕事」で収入アップを目指す方が増えてきました。一般的にはその行為を「副業」と呼び、社会的な認識の変化やインターネット技術の発達に伴い、誰でも簡単に始められる環境となっています。
そこで本記事では、副業と本業の違いや両立するコツを解説します。副業を本業にするタイミングについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
副業と本業の違い
副業と本業に法的な区別・基準が設けられているわけではありませんが、一般的には以下のような住みわけとなっています。
- 本業:労働時間が長く生活の維持などを目的に従事する仕事
- 副業:本業よりも従事する時間・収入が小規模な仕事
ちなみに、従来の副業といえば「別会社の仕事」や「個人事業」を指していましたが、最近は一つの企業で2つ目の仕事を持つ「社内副業」という働き方も誕生しました。
兼業との違い
「兼業」は副業と響きが似ているだけに混同されがちですが、こちらは「本業と同程度の質量で取り組む仕事」に当てはまる概念。たとえば、週の半分を使ってコーチングを行い、もう半分は転職アドバイザーとして従事する形があげられるでしょう。
実際のところ、兼業ができる企業や仕事はあまり多くありませんが、まずは「兼業と副業」が明確に異なる働き方であることは理解しておいてください。
副業と本業を両立するコツ5つ
ここからは、副業と本業を両立させるコツについて見ていきましょう。
5つのポイントを押さえるだけでパフォーマンスは大きく変わるので、ぜひ参考にしてください。
ToDoシートを作る
まずは本業と副業両方のToDoシートを作りましょう。自分がやるべきタスクを明確にすれば、「どの程度時間が空くか」「取り組むべき優先度」などが明確になり、本業のパフォーマンスを落とさず副業も効率的に取り組めます。
もし、シートの作成が難しい場合は、Googleスプレッドシートなどのテンプレートなどを利用するのがおすすめです。
翌日の段取りをする
ToDoシートは「当日のタスク」を可視化するツールですが、副業と本業を両立させたいなら、翌日の段取りも行う必要があります。
あらかじめ想定しておくことで、本業から副業への移行スピードを早められる上に、ToDoシートの優先度もより設定しやすくなるでしょう。
明日でいいことは明日やる
副業と本業を両立させたいのなら、「明日でいいことは明日やる」というマインドを常に持ってください。
よほどリソースに余裕があれば前倒して良いかもしれませんが、基本的にはToDoリストの通りに進行しなければなりません。
ただし、明日に回したタスクは必ず段取りに組み込み、忘れず取り組んでくださいね。
本業は極力定時退社する
副業に取り組む十分な時間を確保するために、本業は極力定時退社しましょう。ここでしっかり線引きしておかないと、いつまでも本業に縛られてしまいます。
また、慢性的に残業が発生する仕事に従事している場合は、副業自体が行えない可能性もあるため、上司に相談するか、本業そのものを変えるのも一つの手段です。
副業の仲間を作る
特定の企業に所属しない限り、副業は孤独な戦いになりがちです。分からないことや悩みも共有できず、フラストレーションばかり溜まってしまうので、積極的に仲間を作っていきましょう。
具体的には、TwitterやFacebookといったSNSでのコミュニティに参加するのがおすすめ。同じ牌を奪い合うライバルではあるものの、手が回らない案件を回してもらえるケースも多く、メンターが見つかるかもしれません。
副業を本業にするおすすめのタイミング3つ
副業は比較的小規模なビジネスと思われがちですが、事業が上手く展開したことで本業以上の収入を手にし、そのまま「本業化」するケースも少なくありません。
しかし、本業化の具体的なタイミングはやや判断しにくいため、本章で詳しく確認しておきましょう。
本業より副業収入の方が高い
副業の収入額は、本業化する上で非常に分かりやすい判断基準です。
たとえば、副業の収入が本業を安定的に上回ったタイミングは一つの明確な基準であり、それまで本業に割いていたリソースを副業に費やすことで、より大きな収入が得られるでしょう。
ただ、短期的に本業収入を超えた結果、「いけるかもしれない」という感情のみで本業化してしまうケースもあります。1~2ヶ月分の報酬が本業を超えたからといって、その後も続く保証はどこにもないため、ここでは必ず「安定的(半年程度)に上回ること」を目安に判断してください。
将来的に稼げる環境が整っている
副業を本業にする際は、市場の動向や需要を十分に検討し、その後も安定的に稼げる見込みがあることを確認しましょう。
たとえ現状は稼げていても、需要がなくなればいとも簡単に収入はゼロになります。横展開や関連性のある新事業なども想定しつつ、本業化後も稼げる環境かどうかリサーチしてください。
収入源を2つ以上持っている
個人事業主として副業を本業化する場合、収入源は2つ以上確保しておきましょう。
具体的に、物販系で独り立ちするのなら、売上が落ち込んだ時に備えてライター業などを並行する形です。もちろん個人事業に限らず、労働系のバイトでカバーしても問題ありません。
なによりも「収入の柱が1本崩れた時に、別の柱で支えられる状態」を作ってみてくださいね。
副業を本業にするメリット
ここからは、副業を本業にするメリットを解説します。
副業の本業化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
人間関係から解放される
副業を本業にした場合、働き手は完全にあなた一人となります。したがって、「本当は参加したくない飲み会」や「社内での板挟み」といった人間関係から解放され、文字通り気ままなライフスタイルが実現するのです。
加えて、個人事業主になれば「どのクライアント・取引先と仕事をするか」も自分で決められるので、会社員では得られない自由な環境を満喫できるでしょう。
勤務時間を自由に設定できる
副業の本業化は、勤務時間を自由に設定できるメリットもあります。
実際に、ほとんどの会社員は9時~18時と勤務時間が決まっている一方、個人事業主ならたとえ夜中に仕事をしても問題ありません。
また、子育てしながら隙間時間だけ働いている方もいるため、自分の思い通りの働き方が実現するでしょう。
会社員より高収入になる可能性がある
一般的な会社員の年収は1,000万円程度で頭打ちになりますが、副業を本業化すれば制限は一切ありません。自分がお金を稼ぎ続ける限り、どこまでも収入は膨れ上がるため、「やっただけの報酬が欲しい」と考える方には理想的な環境といえるでしょう。
副業を本業にするデメリット
ここからは、副業を本業にするデメリットを見ていきましょう。
社会保障が受けられない
企業に勤めている場合、健康保険は会社と折半になり、厚生年金にも加入できます。福利厚生が充実しているケースもあるため、会社員にとっては大きなメリットといえるでしょう。
一方、副業を本業化した際は個人事業主になるため、健康保険は全額負担且つ家族の分も請求されます。また、年金も切り替わる上に福利厚生も受けられないので、そのギャップに最初は馴染めないかもしれません。
営業・経理まですべて一人で行う
会社員と違い、個人事業主はすべての業務を一人で行う必要があります。
すなわち、メイン業務だけでなく営業や仕入れ、経理にクレーム処理がすべての自分の仕事になるということ。分業化された企業ではまず経験しない内容なので、「そもそもやり方が分からない」と頭を抱える方も少なくありません。
もし、どうしても手が回り切らない場合は、クラウドソーシングなどで人材を確保しましょう。
収入が安定しない
個人事業主は働くほど収入が増加する一方、「仕事がなければ収入はゼロ円」です。
クライアントが定着するまでは収入が安定しないケースがほとんどなので、やはり収入源は2つ以上確保しておくのが無難といえます。
副業と本業の違いを理解して効率的に両立しよう
本記事では、副業と本業の違いやメリット・デメリットを解説してきました。
本業と副業に法的な区別は設けられていない一方、収入水準や労働時間などで線引きされています。そして、今回触れてきた両立のコツを実践しつつ、適切なタイミングを見計らえば、スムーズに本業化できるでしょう。