人間の心のケアを担うカウンセラーは、現在さまざまな分野で重宝されています。
たとえば、「心理カウンセラー」「スクールカウンセラー」「産業カウンセラー」などが代表的であり、知名度が上がるにつれて副業として取り組む方も増えてきました。
そこで本記事では、カウンセラーの副業を始める方法や業界別の仕事、おすすめの資格を15種類解説します。これから心理カウンセラーを目指す方は、ぜひ参考にしてください。
目次
心理カウンセラー副業の始め方
ここではまず、心理カウンセラーの副業を始める方法を確認していきましょう。
- カウンセラーの資格を取得する
- 集客・セールスのノウハウを身につける
- 実際に仕事を取る
一つずつ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
カウンセラーの資格を取得する
カウンセラーは無資格でも名乗れますが、ほとんどのプレイヤーは何かしらの資格を保持しています。すなわち、資格がなければ到底競合には太刀打ちできない状況です。
当然、クライアントにとっても大きな安心材料になるため、以下の方法で取得を目指しましょう。
取得方法 | メリット | デメリット |
通信教育 | ・費用が安い ・自宅でも学習できる | ・リアルタイムで悩みが解決しない ・実践的なスキルが身につかない |
通学スクール | ・その場で講師に質問できる | ・費用がやや高額 ・通学の手間がある |
集客・セールスのノウハウを身につける
カウンセラーのスキルや資格だけでも副業は始められますが、効率的に売上を作りたいなら、集客・セールスなどのノウハウも身につけなければなりません。
ただし、高額なセミナーや教材が必ずしも高品質なわけではないので、講師の実績と生徒のレビューをきちんと確認チェックしましょう。
実際に仕事を取る
カウンセラーの資格と集客スキルの両方を身につけた後は、下記の方法で実際に仕事を取っていきます。
- クラウドソーシングサイトなどのプラットフォームを利用
- ホームページや講座を開講する
上記以外に、自分が通っていた通学スクールの非常勤講師として働くのもおすすめ。まずはハードルが低いクラウドソーシングで応募しつつ、他の方法も並行してみてください。
カウンセラーの副業に関連する仕事の種類を業界別に紹介
カウンセラーと一口に言っても、その種類はさまざま。
医療・福祉や教育現場、キャリア現場など幅広い業界で活躍しており、当然副業を始める上では知っておかなければなりません。
そこで次は、カウンセラーの副業に関連する仕事を業界別に解説します。
カウンセリング全般
人の心をケアする心理カウンセラーは、以下のように多くの現場で活躍しているカウンセラーの代名詞的存在です。
- 公認心理士
- 臨床心理士
- メンタルトレーナー
心理学の知識や技法を用いながら相談者の悩みを深掘りし、根底に潜む不安や問題を解決へと導きます。
個人活動から一般企業の専属カウンセラーまで広く重宝されているため、初心者でも比較的簡単に参入できるはずです。
医療・福祉
カウンセリングは、医療や福祉の現場でも必要とされています。主に活躍しているカウンセラーは以下の通りです。
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- 生活相談員
精神保健福祉士は、公認心理士のようなカウンセリング専門ではないものの、心の病や悩みを抱えた方の相談を受け、さまざまな方面からサポートしています。
そして、社会福祉士と生活相談員もカウンセリングがメイン業務ではありませんが、相談窓口の役割を担っており、カウンセラーと同様のスキル・気遣いが求められるでしょう。
教育・子ども
教育の現場におけるカウンセラーは以下の通りです。
- スクールカウンセラー
- チャイルドカウンセラー
- 子供心理カウンセラー
- 児童心理士
- 家庭相談員
- 児童福祉司
- 児童相談員
子どもは悩みを持っていても「打ち明ける」という行為に対して不安感や罪悪感を頂きがち。カウンセラーはそんな心の壁を丁寧に崩していくプロフェッショナルといえます。
キャリア・産業
大規模な民間企業は、なんらかの要因で精神的に弱った社員をケアするために、専属の産業カウンセラーを雇っています。
また、キャリア形成のサポートを目指して、キャリアコンサルタントと契約するケースも増えており、最近は個人で活動しているコーチが講義を行うことも珍しくありません。
カウンセリングに関連した国家資格3選
ここからは、カウンセリング業務に関連する国家資格を3つ解説します。
心理カウンセラーとは直接関係がない資格もありますが、クライアントからの信頼を勝ち取るためにも、ぜひ参考にしてください。
公認心理師
文部科学省と厚生労働省が共管する公認心理師は、2017年9月に誕生した心理職初の国家資格として注目されています。
保健医療、福祉、教育とさまざまな分野で活躍しており、国家試験に合格した方のみが「公認心理師」と名乗れる名称独占資格である点も大きな魅力です。
具体的に、公認心理師を受けるには以下のような要件を満たす必要があります。
- 大学および大学院で所定の科目をすべて履修し卒業
- 心理職としての実務経験を5年以上
いずれも簡単には達成できないため、受験要件がない方は無理せず別の資格を目指すのがおすすめですが、もし取得できれば大きな信頼に繋がる国家資格です。
社会福祉士
社会福祉士は、公益財団法人福祉復興・試験センターが証明している国家資格。公認心理師と同様に名称独占資格となっています。
受験要件は以下の通りややハードルが高く、学歴がなければ数年間の実務経験が必要です。
- 福祉系大学等を卒業
- 福祉系短大等を卒業+相談援助実務経験
- 社会福祉主事養成機関を修了+相談援助実務経験
- 4年以上の相談援助の実務経験+必要なカリキュラムを履修
- 一般大学や短大を卒業+一般養成施設等で必要なカリキュラムを履修
福祉における相談援助について高度な専門知識と技術を有する証明となるため、努力して取得する価値は十分あるでしょう。
キャリアコンサルタント
心理カウンセリングの資格ではありませんが、キャリアコンサルタントもおすすめ資格の一つ。
将来に悩む方の相談に乗り、それぞれに合わせたアドバイスを行って成長をサポートできる国家資格です。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了している
- 労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発、向上のいずれかに関する相談に対し、3年以上経験を積んでいる
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験、もしくは実技試験に合格している
- 平成28年3月まで実施していたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了している
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カウンセラーに関連した民間資格12選
ここからは、カウンセラーに関連する12種類の民間資格を解説します。
それぞれの特徴を把握して、自分にあった資格を見つけていきましょう。
臨床心理士
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が発行している民間資格です。
臨床心理学をベースに人の心の問題を解決することから、別名「心の専門家」とも呼ばれています。
ちなみに、試験を受けるには、協会が認可する指定大学院または専門職大学院を修了する必要があるため、ややハードルが高い資格といえるでしょう。
認定心理士
認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が管理する民間資格であり、4年制大学で心理学の基本知識や技能を身に付けたことを証明します。
ただし、認定心理士はあくまで、心理学の「基礎」を学習した証明に過ぎないため、単体ではさほど威力は期待できません。
応用心理士
日本応用心理学会が認定する応用心理士は、厳しい認定要件を満たすことで取得できます。
具体的な要件は以下の通りであり、すべてクリアしなければなりません。
- 日本応用心理学会への2年以上の在籍が必須
- 日本応用心理学会に在籍するには、4年制以上の大学で心理学およびその隣接分野を専攻した方、または心理学検定1級に合格した方
取得までかなりの時間がかかりますが、応用心理士の資格を持っていれば、心理学の専門家として認められやすくなるでしょう。
カウンセリング心理士(旧:認定カウンセラー)
カウンセリング心理士(旧:認定カウンセラー)は、一般社団法人日本カウンセリング学会が認定している民間資格。
教育や健康、福祉の向上に貢献し、カウンセリングの研究と実践の進歩・発展を促進するために作られました。
カウンセリング心理士の受験資格は以下の通りです。
- 日本カウンセリング学会に正会員、名誉会員などとして2年以上、またはカウンセリング関係の修士課程在学者ならびに修了者にあっては1年以上在会し、会員としての義務を果し、会員たるにふさわしい人
- 日本カウンセリング学会の「認定カウンセラー養成カリキュラム(改定版)」の研修基準に基づいて、合計で210時間以上学習を行った人
メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラーは、日本能力開発推進協会(JADP)が認定している資格。心理的な問題を抱える人を解決に導き、その後のサポートも担っています。
受験資格は「認定機関のカリキュラムを修了する」のみで、正味2カ月あれば修得できるでしょう。
指定の大学を卒業している必要もなく、誰でも取得しやすい資格のため、カウンセラーを目指す初心者に特におすすめしたい資格です。
交流分析士
交流分析士は、日本交流分析協会の民間資格です。
心理カウンセラーとはやや趣がことなりますが、人の心や行動を心理学の観点で自己分析できるようにすることを目標にしており、心理学を始めて学ぶ方におすすめ。
チャイルドカウンセラー
チャイルドカウンセラーは、日本能力開発推進協会 (JADP)が認定している民間資格です。
子どもたちの悩みを聴き取り、的確にサポートできるカウンセラーの育成を目的としています。
チャイルドカウンセラーは、協会指定の認定教育機関が行う教育訓練か、全カリキュラムを修了すれば取得できます。
仕事や子育てをしながらでも取得が目指せるため、ぜひチャレンジしてください。
学校心理士
学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会が管理する学校心理士は、子どもや保護者、教師に対して専門知識と技能を用いてサポートしていきます。
学校心理士の受験資格は以下通りです。
- 大学院で学校心理学関連の科目の単位を習得している、修士課程、専門職学位課程を修了し、学校心理学に関する専門的な実務経験を1年以上有している
- 4年生大学卒業で学校心理学に関する専門的実務経験を5年以上有している
- 大学または大学院で授業を2年以上担当し、学校心理学の8領域に関する研究業績を5編以上有している
- 公認心理師資格を有する
- 学校の管理職、または教育行政職として、心理教育援助サービスに関する指導的な役割を3年以上有している
教育カウンセラー
教育カウンセラーは、NPO日本教育カウンセラー協会が認定している資格です。
学級経営や授業、進路指導といった教育現場に専門技法を取り入れ、教育とカウンセリングの両方に精通したプロの育成を目指しています。
レベルに応じて「初級教育カウンセラー」「中級教育カウンセラー」「上級教育カウンセラー」の3種類に分けられており、それぞれ認定条件が異なる点に注意しましょう。
以下は導入編でもある初級教育カウンセラーの認定条件です。
- 教育カウンセラー養成講座を修了
- 相談・援助に関係なく実践歴が2年以上
- 認定申請自己評価票の総合点が11ポイント以上
- 初級教育カウンセラー標準カリキュラムの内容に習熟し認定試験に合格している
臨床発達心理士
臨床発達心理士は、臨床発達心理士認定運営機構が認定する民間資格。
以下のいずれかを満たせば受験が可能ですが、合格までには一次・二次審査をくぐり抜けなければなりません。
- 発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または修了後臨床経験3年未満
- 臨床経験が3年以上ある
- 大学や研究機関で研究職をしている
- 公認心理師資格を取得している
産業カウンセラー
日本産業カウンセラー協会の産業カウンセラーは、労働者が抱えている悩みを自己解決できるようにカウンセリングを行います。
受験資格は以下の通りであり、どうしようもなく難しいわけではありません。
- 産業カウンセラー養成講座を修了
- 大学院研究科において指定のを専攻の修了者かつ、所定の科目の単位を取得
産業カウンセラーは、さまざまな企業でカウンセラーとして働くことができますが、独立開業をする場合には他の資格もあわせて取得しましょう。
プロフェッショナル心理カウンセラー
プロフェッショナル心理カウンセラーは、全国心理業連合会が認定する資格です。
全国統一認定資格となっているため、心理カウンセラーとしての実力を高く保証する資格である一方、取得するには認定校で必要なプログラムを履修し、試験に合格しなければなりません。
心理カウンセラーは副業でも十分な収入が期待できる
本記事では、心理カウンセラー副業の始め方やおすすめの資格、各業界の関連性が高い仕事を解説してきました。
人の心をケアするカウンセラーは、さまざまな領域で重宝されており、将来的にも安定した需要が見込めるでしょう。
そして、自分が参入する業界や対象に合った資格を取得すれば、副業でも十分な収入が得られるはずです。本記事を参考に、ぜひカウンセラーへの道を歩んでみてください。