副業を始めた方や検討している方の中には、「副業が本業にバレないか不安」「バレにくくする方法はないの?」と思っている方が少なくありません。
そこでこの記事では、副業がバレる理由からバレてしまった際の対応について解説します。また、バレにくい副業の種類についてもあわせて紹介していますので、副業を検討している方はぜひ参考にしてください。
正社員の副業をバレにくくする方法
まずは、副業していることを会社に知られたくないという方に向け、正社員の副業をバレにくくする方法についてお伝えします。
副業分の住民税を普通徴収にする
1つ目の方法は、副業分の住民税を普通徴収にすることです。
普通徴収は、住民税を会社の給与から12分割されて徴収される「特別徴収」とは違い、自分で年に4分割で納めていく方法を指します。
住民税の金額は前年の収入で決まるため、副業によって収入が増えると住民税も当然高くなってしまいます。
その結果、会社の経理担当者が「この人は住民税がなぜこんなに高いのか」と疑問を抱く可能性があるのです。そのため住民税は給与からの天引きではなく、自分で納める普通徴収に変更するとバレるリスクを回避できます。
※出典:国税庁ホームページ
普通徴収にするには、所得税確定申告書の第二表「住民税・事業税に関する事項」にある「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」において、「自分で納付」の欄に丸をつけます。
ただし、アルバイトやパートなど給与所得となる副業をした場合、普通徴収にできない可能性がありますので、注意が必要です。
副業を疑われるような情報をSNSに投稿しない
SNSは誰が見ているか分からないため、ちょっとした投稿が会社の同僚などに知られて、そこから副業がバレる可能性もあります。
特に、ブログやSNSなどを使って副業をしている場合、投稿内容によっては、その内容から個人が特定されることもあり得ます。
そのため、本名とは全く異なるハンドルネームを使用する、顔出しをしないなどといった工夫が必要です。
本業の知り合いには話さない
副業が軌道に乗ると、それを会社の親しい同僚に話したくなることもあるでしょう。
しかし、一人の同僚に話したことが知らない間に社内の他の人にも広まり、結果として上司や会社の人事にまでバレてしまう可能性もあります。
特に副業禁止の会社では、副業していることを社内の人間に話すことは控えましょう。
なぜ副業禁止の会社が多いのか
全面禁止 | 45.1% |
条件付き容認 | 31.3% |
全面容認 | 23.7% |
※引用:パーソル総合研究所
現状、正社員の副業を禁止している企業の割合はどうなっているのでしょうか。
パーソル総合研究所が2021年に行った「副業に関する調査結果(企業編)」によると、全面容認としている企業が23.7%なのに対し、全面禁止としている企業は45.1%であることが分かりました。
会社が副業を禁止している理由
順位 | 副業禁止理由 | 割合(%) |
1位 | 自社の業務に専念してもらいたいから | 49.7 |
2位 | 過労による業務効率の低下が懸念されるから | 42.1 |
3位 | 従業員の過重労働につながるから | 39.7 |
4位 | 情報漏洩のリスクがあるから | 29.5 |
5位 | 労働管理等の事務管理が煩雑になるから | 20.4 |
※引用:パーソル総合研究所「副業に関する調査結果(企業編)」(2021年8月11日発表)
続いて、副業を禁止する理由について見ていくと、副業することで本業がおろそかになりかねない点や、過労を懸念している企業が多いです。
副業は法律では禁止されていない
副業を禁止する企業はあるものの、実は正社員の副業を禁止する法律があるわけではありません。
労働者は決められた勤務時間のみ労務に服するのが原則とされており、勤務時間外に会社以外の仕事をしたとしても、それは国民の自由とされているためです。過去の裁判例でも、副業は基本的には労働者の自由とされています。
しかし、法律では決められていなくとも、会社の就業規則などに副業禁止を定めている企業の場合は、就業規則に従わなければ給与や昇進など待遇に悪影響が出る可能性が高い、ということを認識しておく必要があります。
一部の大手企業では副業が解禁され始めている
まだまだ副業を解禁していない企業が多い中、最近では今まで副業を禁止していた大企業が容認するケースが増えています。
例えば、ロート製薬やユニ・チャーム、アサヒビールなどの企業です。企業が副業を容認する理由を以下の表にまとめました。
企業が副業を容認する理由 | 割合 |
特に禁止する理由がないから | 42.5% |
社員の収入増につながるため | 38.8% |
人材育成・本人のスキル向上につながるため | 24.2% |
定着率の向上、継続雇用につながるため | 22.3% |
人手不足解消、多様な人材の活躍促進につながるため | 18.0% |
イノベーションの創発、新事業の促進につながるため | 17.7% |
社外の人脈形成につながるため | 17.6% |
創業・起業の促進につながるため | 11.0% |
リーダーシップの醸成、リーダーシップ人材の発掘につながるため | 10.1% |
その他 | 2.6% |
※引用:株式会社リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査」(2017年2月14日発表)
副業を容認する背景には、優秀な人材が他社に流れてしまうことを防ぎたいと考える企業も多く、さらに副業によって社員のスキルアップやモチベーションアップも見込めるため、両者にとってメリットがあると考えられ始めています。
正社員の副業がバレる理由
ここからは、副業がバレてしまう具体的な理由について詳しく解説します。
副業の所得で住民税の額が変わったことでバレる
副業で年間200,000円を超える所得があった場合、会社員であっても確定申告をする必要があります。しかしながら、副業による所得分を確定申告すると、住民税が上がります。
その結果、本業の会社の経理担当者が「この人だけなぜ住民税が高いのか?」と気付き、そこから副業の疑いをかけられます。
住民税の徴収方法を「普通徴収」に変更することで、会社にバレる可能性を回避できますが、自治体によっては普通徴収にできないケースもあります。
くわえて、わざわざ普通徴収に変更することで、会社に疑われるケースもあるため注意が必要です。
社会保険が変わったことでバレる
副業でアルバイトやパートとして勤務している場合、一定の条件を満たすと副業先で社会保険に加入する義務が発生します。
一定の条件とは具体的に、以下を指します。
①週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ職場の正社員の4分の3以上
②以下の要件を全て満たす人
- 1週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 賃金の月額が88,000円以上であること
- 学生でないこと
引用:日本年金機構
2カ所以上の事業所で社会保険に加入することにより、本業の会社に通知書が送られます。これにより、副業していることがバレてしまうのです。
年末調整の際に「給与所得者の基礎控除申告書」でバレる
年末調整の際に提出する「給与所得者の基礎控除申告書」でバレる可能性もあります。
会社に内緒で副業をしていて、「給与以外の所得の合計額」の欄に副業分も含めた合計額を記入すると、本業の勤務先に副業がバレてしまうかもしれません。
副業分を伏せてしまえば分かりませんが、基本的には正しく申告する必要があるため、伏せることはおすすめできません。
SNSでの発信や同僚に話すことで噂が広がりバレる
副業について同僚に話したくなったり、SNSに発信したりすることも、会社にバレやすくなる理由の1つです。
顔や名前を隠して発信をしても、プロフィールの写真や場所の写真などの投稿から、本人だとバレる可能性は否定できません。
また、うっかり会社の同僚に話をしてしまうと、あっという間にさまざまな人の耳に入ってしまう可能性も高いでしょう。
つい副業の儲け話は誰かに話したくなりますが、同僚にはできるだけ話さないこと、またSNSには会社バレしそうな内容を投稿しないことをおすすめします。
副業をしているところを知り合いに見られてバレる
実際に副業をしているところを見られてバレる、ということもあります。
例えば飲食店などでアルバイトをしているところを、会社の誰かに見られてしまうといったケースです。
もし飲食店などでアルバイトをするなら、会社からできるだけ離れた場所にするなど、勤務場所に気を付ける必要があります。
正社員の副業がバレてしまったら
仮に正社員の副業がバレてしまったら、どうすれば良いのでしょうか?ここでは、副業が会社にバレてしまった場合の対処法について解説していきます。
就業規則で副業が「禁止」されている会社の場合
就業規則で副業が明確に禁止されている会社の場合、副業がバレると就業規則違反となり、最悪の場合は懲戒解雇になることもあります。
しかし、会社の就業規則において副業が禁止されていても、法的な拘束力は持ちません。そのため、多くの場合は戒告や始末書などの処分となります。
とはいえ、会社にバレると本業の待遇に大きな影響が出てしまうため、副業禁止の会社に内緒で副業をすることには大きなリスクがあると考えておきましょう。
正社員の副業が「解禁」されている会社の場合
副業を解禁している会社であっても、事前に副業の許可や申請が必要な場合もあります。具体的には以下のようなケースです。
- 同業種の副業はNG
- 副業に使える時間に制限がある
- 事前に上司や人事に相談する
副業が解禁されている会社の場合でも、必ず就業規則を確認したうえで、規則に則って副業することが大切です。
本業にバレにくい副業
アルバイトなど「給与」が発生する副業は会社にバレやすいですが、給与以外で報酬を受け取れる副業であれば、会社にバレにくいものも存在します。
ここからは、本業にバレにくい副業を順番に紹介していきますので、自分に合った副業がないか探してみてください。
アフィリエイトブログの運用
アフィリエイトブログの運用とは、ブログに記事を書いて広告を掲載し、広告の商品が売れる、またはクリックされることで収益が発生する仕組みです。
アフィリエイトブログのメリットとしては、初心者でも簡単に始められ、基本的には無料でできるという点です。文章を書くのが得意な人、まめに作業ができる人に向いている副業と言えます。
YouTube投稿やライブ配信
YouTubeでの動画投稿や、ライブ配信によって広告収入を得る副業もあります。
顔出しをしなければ会社にバレにくいため、パソコン操作が得意な人や、面白い動画のアイデアがある人におすすめの副業です。
ただし、YouTubeチャンネルの収益化には、以下のような条件を満たす必要があります。
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- 直近12カ月の再生時間が4,000時間以上
など
決して難易度の低い条件ではないため、収益化には時間がかかることを認識しておく必要があるでしょう。
インスタグラムでの情報発信
インスタグラムで情報発信をし、仕事を獲得する方法もあります。
自分が良いと思った商品やサービスを投稿して、それを見たユーザーがその商品を購入すると、企業から報酬が支払われるという仕組みです。
匿名・顔出しなしでアカウント運営をすれば、会社にバレる可能性も低いです。
ただし、フォロワー数が多く、影響力がある人でなければ商品を購入してもらいにくいため、まずはインスタグラムのアカウント自体を育てる必要があります。
投資や資産運用
手持ちの資産を増やす方法としておすすめなのが、投資や資産運用です。
投資は一般的には「副業」とみなされない場合が多いため、会社員でも副業として始めやすいというメリットがあります。今やスマホでも簡単に取引できるため、会社員でも休憩時間などに手軽に注文できます。
投資や資産運用をするメリットは、購入額以上にお金が増える可能性があることです。少額で購入した株の値段が大きく上がると、高額の利益が得られます。
ただし、投資は元本保証がないため、値段が下がって大損をしてしまうリスクも忘れてはなりません。
コンサルタント・コーチング
コンサルタントやコーチングのスキルや経験を活かして副収入を得る方法もあります。
コンサルタントやコーチングを独学で学んだり、スクールに通って学んだりすることで、スキルを取得できます。
簡単に始められる副業ではないですが、人とのコミュニケーションが得意な人には向いている副業と言えます。
ただし、スクールに通う場合はまとまった費用がかかりますし、副業として始めてもすぐにクライアントを獲得できない場合があるため、稼げるようになるには時間がかかるかもしれません。
ライター
クラウドソーシングサービスなどを利用して、ライターとして記事を書いて報酬を得るという方法もあります。
ライターとしての報酬は雑所得にあたるため、会社にバレにくいという点がメリットです。また、パソコンやスマホがあれば、通勤時間や隙間時間にいつでも作業できます。
ただし、スキルが足りない間は高い報酬を見込めないため、努力をしながら継続できる人でない限り、副業として成り立たない可能性もあります。
イラストレーター
イラストレーターは、簡単なイラストや図解が描ければ誰でも気軽に始められます。
クラウドソーシングサービスやスキルマーケットなどを利用すれば、ロゴやアイコン、バナーの作成、YouTubeのサムネイル画像など、さまざまな仕事を手軽に受注できます。
また、匿名でも仕事を受注できますし、雑所得として報酬を得られますので、会社にバレにくいです。
ただし、ライターと同様、イラストレーターとしてのスキルが必要になることを認識しておく必要があります。
YouTubeなどの動画編集
YouTubeの動画編集の仕事は、一度発注を受けると継続して受注できる可能性があるため、パソコンでの動画編集作業が得意な人にはおすすめの副業です。
近頃は動画編集ソフトも充実しているため、未経験の人でも始めやすいというメリットがあります。
動画編集者は身元がバレる心配もありませんし、給与として報酬を受け取らなければ、会社にバレる可能性も低いです。
ただし、経験が浅い人だと編集作業に時間が取られて本業がおろそかになる可能性もあるため、一気に多くの仕事を受注しないよう気を付けましょう。
ハンドメイドアクセサリーなどの販売
ハンドメイドのアクセサリーやバッグ、洋服などをフリーマーケットやスマホのフリマアプリで売るという方法もおすすめです。
自分が得意なものを作って売るだけなので、趣味と実益を兼ねた副業も可能です。また、受け取ったお金は雑所得となるため、会社にもバレにくいです。
ただし、利益が出るように計算して製作しなければ、赤字になる可能性もある点に注意しましょう。
スキルシェアサービスでの出品
スキルシェアサービスとは、自分が持つスキルを出品して稼ぐサービスです。
自分が得意なものであればなんでも出品ができ、例えばイラストや漫画、占い、悩み相談、英会話レッスンなど、多岐にわたります。
値段も自分で決められるため、得意とするスキルがあるという人にはおすすめのサービスです。
また、スキルシェアサービスで稼いだ報酬も雑所得となるため、会社には比較的バレにくいと言えるでしょう。
ただし、実績がないうちはなかなか利用してもらいにくいため、始めは低い値段で出品するなどの工夫が必要です。
副業する際は本業に悪影響を与えないようにしましょう
副業を始める場合、まずは会社が「副業を認めているのか」「就業規則で禁止しているのか」を必ず確認してください。副業が禁止されている会社の場合は、副業がバレたときのリスクについても認識したうえで始める必要があります。
また、副業を認めている会社であっても、事前に許可が必要な場合もあるため、あらかじめ就業規則などを確認しておきましょう。副業である限り、本業に支障をきたすことがないよう心掛けてください。