心の悩みや不安を抱えた人の相談を受け、解決に導いていく心理カウンセラー。不安定な心に寄り添う仕事であるため、やりがいがあるぶん大変なことも多い職業です。人によって向き不向きがある仕事ともいえます。
この記事では、心理カウンセラーに向いている人・向いていない人の特徴とその理由について解説します。心理カウンセラーを目指している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
心理カウンセラーに向いている人の特徴
心理カウンセラーはやりがいのある仕事である一方、不特定多数の人と接する仕事のため、精神的な負荷がかかる面が多いのが特徴です。
心理カウンセラーに向いている人は、以下のような特徴があげられます。
- 人に関心が持てる
- 時間をかけて人の話を聞ける根気強さがある
- 人の役に立つことが好き
- 自分の感情をコントロールできる
- 専門知識を学び続ける知識欲がある
- 口が堅く秘密を守れる
ここからは、心理カウンセラーに向いている人の特徴をそれぞれ詳しく解説します。
1.人に関心が持てる
他人に関心がある方は、心理カウンセラーに向いています。心理カウンセラーは人の話を聴き、会話をとおして得た情報の中から問題解決につながるものを探す必要があります。
そのため、「クライアントがどのような悩みを持っているのか」「どのような痛みを持っているのか」を聴き出したり、クライアントの悩みや痛みに対して共感する必要があるのです。
クライアントに寄り添うスキルが必要であるため、「その人を知りたい」という関心がなければ務まりません。
2.時間をかけて人の話を聞ける根気強さがある
心理カウンセラーには、傾聴力が必要です。傾聴力とは、相談者の話を丁寧に聴き、相手が話したいことをうまく引き出す力のことをいいます。
クライアントに寄り添って話を聴くことで、解決するための糸口を見つけられるのです。そうするためには時間をかけて、相談者の話を根気強く聴く必要があります。
また、相談者と心理カウンセラーの間に、信頼関係を築く必要もあります。信頼関係を構築するには、時間をかけてじっくりとクライアントの話を聴き、親身になることが必要なのです。
3.人の役に立つことが好き
心理カウンセラーは「人の役に立つ仕事がしたい」と考えている方に向いています。
心理カウンセラーは相談者と話しながら、痛みや悩みを感じ取り解決策や糸口を探す仕事です。そのため、直接クライアントの悩みを解決し、役に立ったと実感しやすい職業であるといえます。
鬱や不安症といった心の病で悩む方は多く、今後も心理カウンセラーが活躍するフィールドはどんどん広がっていくでしょう。
人の役に立つ仕事をしたいと考えている方は、心理カウンセラーを目指してみてはいかがでしょうか。
4.自分の感情をコントロールできる
心理カウンセラーには、いろいろな相談が舞い込んできます。相談内容によっては、共感が難しいものもあるかもしれません。また、内容によっては、カウンセラーがストレスや恐怖心を感じることもあります。
クライアントの悩みに共感することは大切ですが、クライアントの感情にのまれてしまうと、カウンセラー自身も心の病にかかってしまう可能性があるのです。
クライアントの悩みを聴くときには、感情に流されることなく、自分の意志をしっかりと持たなければなりません。
5.専門知識を学び続ける知識欲がある
心理カウンセラーになるには、さまざまな知識をつける必要があります。心理学の知識やカウンセリングに関する知識のほかに、クライアントの環境にあわせた専門的な知識も必要となってくるのです。
心理カウンセラーとして活動を続けるには、専門的な知識を学び続ける学習意欲を持ち、常に学び続けなければなりません。
学習意欲が高く学び続ける意思があれば、さまざまな方からの相談を受けられますし、適切なサポートを行うことができるでしょう。
そのため、学習意欲が高く専門的知識も学び続けられる方は、心理カウンセラーに向いているといえます。
6. 口が堅く秘密を守れる
心理カウンセラーは、口が堅くないといけません。相談者が話す内容はデリケートな悩みがほとんどのため、他人に伝えてはならないからです。
クライアントから「秘密を守れないカウンセラー」と思われてしまっては、信頼を失うだけではなく、最悪の場合は守秘義務違反で訴えられてしまう可能性まであります。
クライアントとの信頼関係を守ることはもちろん、相談を受けている身としてクライアントの情報や素性について、口外しないことが大切です。
心理カウンセラーに不向きな人の特徴
続いて、心理カウンセラーに不向きな人の特徴を解説します。心理カウンセラーに向いていない人の特徴は、以下のとおりです。
- 聞くより自分の意見を話すほうが好き
- 相手に感情移入しやすい
- 人と適切な距離感を取るのが難しいと感じる
相手に感情移入しやすい
相手に感情移入しやすい方は、精神的に不安定になる可能性があるため、心理カウンセラーとしては不向きといえます。
感情移入しやすいタイプの場合、クライアントの悩みに共感しすぎてしまうため、カウンセラー自体のメンタルが不安定になってしまい、本来の職務を全うできなくなる可能性があるのです。
精神が不安定になってしまえば、冷静な判断ができなくなり、クライアントの悩みを解決できないだけではなく、カウンセラー自身が病気になる可能性まであります。
人と適切な距離感を取るのが難しいと感じる
心理カウンセラーは、人との距離感を適切に取る必要があります。感情移入をしすぎてしまうと、クライアントとの線引きが難しくなり、友達のような関係になってしまうことがあるのです。
お互いが依存しあってしまうと、冷静な判断と適切なアドバイスができなくなります。相談者とカウンセラーの間には一定の距離感が必要で、カウンセラーは距離が近づきすぎないように自分で調整をしなければなりません。
そのため、人と適切な距離感を取るのが難しい方にはおすすめできる仕事ではないといえるでしょう。
話を聞くよりも自分の意見を話すほうが好き
人の話を聴くよりも自分の意見を話すほうが好きという方にとって、心理カウンセラーは向いている職業ではありません。
心理カウンセラーは、クライアントの話をじっくりと聴きながら解決策や糸口を見つけていく仕事のため、聞くよりも自分の話がしたい方には不向きです。
また、基本的にカウンセリングでは自分の意見を伝えることはありません。したがって、自分の意見をとおしたいという方も、心理カウンセラーは向いていないといえます。
心理カウンセラーの活躍分野と求められる適性
心理カウンセラーが活躍している分野は、大きく分けて以下の4つがあります。
- 医療機関
- 一般企業(産業カウンセラー)
- 学校(スクールカウンセラー)
- 独立・開業
それぞれの仕事内容と向いている人の特徴についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
医療機関
医療の現場でも、心理カウンセラーは活躍しています。医療現場には、心に何らかの傷を負って精神的に参ってしまっている方や、精神的なダメージを受けている方もいます。
精神的なダメージを負っている患者さんの問題解決を、精神科医などと協力しながら、解決へと導くのも心理カウンセラーの仕事です。
医療現場で活躍するためには、心の病気や心理療法の知識を持つ必要があるため、大学や大学院で専門的な勉強をしている人に適性があるといえるでしょう。
学校(スクールカウンセラー)
心理カウンセラーが多く活躍している現場の一つが、学校などの教育機関です。学校では、悩みを抱える生徒の心をケアしサポートしていきます。
必要に応じて教職員や保護者のカウンセリングを行うこともあります。子どもと触れ合うことが好きな方や、教育の現場で活躍していきたい方にはおすすめの分野です。
子どもに関わる職業についている場合は、経験がそのまま生かせるため、適性が高いといえます。
独立・開業
専門知識やカウンセリング能力を身に付けた方の中には、自分でカウンセリングの事業を立ち上げる方もいます。
日本ではメンタルヘルスケアの重要性や必要性が再認識されるようになり、心理カウンセラーの需要は年々上昇し続けています。
自治体や非営利の団体がSNSを活用したチャット相談窓口を開設すると、多くの相談が寄せられるような状況です。それだけ心理カウンセラーという職業を、世間の人が必要としていることがわかるでしょう。
日本ではまだ、カウンセリングに対する心理的なハードルが高い方が多いため、アメリカやヨーロッパのようにカウンセリングやカウンセラーがもっと身近な存在になればなるほど、相談する方が増えてくるのではないかといわれています。
独立と開業を果たすことで多くの現場でカウンセラーとして活動することができるので、自分のペースで仕事をしていきたい方にはおすすめといえます。
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一般企業(産業カウンセラー)
一般企業では、心理カウンセラーや産業カウンセラーが、悩みを持つ従業員やスタッフのメンタル面のサポートをしています。
ストレスとの向き合い方やコントロールする方法などを、研修の一部として取り入れている企業もあり、講師として心理カウンセラーが活躍するケースがあるのです。
社員教育や働く人を支援したい方、あるいは一般企業に勤めた経験がある人は、クライアントの気持ちを汲み取りやすいため適性があるといえます。
カウンセラー 向いている人のまとめ
心理カウンセラーが活躍する分野や現場は多岐にわたります。また、教育の分野では子どもと保護者、教職員とコミュニケーションを取り、医療の分野では医療的な専門的知識を身に付ける必要があります。
働く場所によって心理カウンセラーに求められる適性は異なるため、忍耐強く学び続ける必要があることを忘れないようにしましょう。