カウンセラーは悩みや不安があるときに頼りになる存在ですが、中には「信用できない」と感じる方も少なくありません。

そのままの状態では、カウンセラーに悩みを打ち明けても、カウンセリングの効果を発揮できずに終わってしまいます。

この記事では、カウンセラーをなかなか信用できない方に向けて、診断時に心掛けておくべき点について紹介します。カウンセリングに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

「カウンセラーを信用できない」ケースは複数ある

まず、カウンセラーの活躍の場には下記のような分野があります。

  • 学校や児童相談所
  • 医療機関
  • 一般企業

実際に、どのような状況で「カウンセラーを信用できない」と感じる人がいるのか、確認していきましょう。

特に「スクールカウンセラーを信用できない」という人が多い

活躍の場が広がっているカウンセラーですが、特に信用できないといわれているのが、スクールカウンセラーです。インターネットで検索をしてみると、スクールカウンセラーに対する不満や不安が多く見つかります。

カウンセラーに悩みを打ち明けたい生徒がいても、「担任に情報が知れ渡ってしまうのではないか」と不安になり、なかなか相談できないというケースが多いです。また、カウンセリングを受けたのにもかかわらず、何の解決にもならなったという例もあります。

なお、スクールカウンセラーは基本的に、各学校に一人しかいないため、クライアントやその保護者と相性が良くないこともあるでしょう。相談する側の問題解決への期待値が、カウンセラーの力量や対応できる範囲を越えている可能性もあります。

カウンセラーは本来、「相談しやすい存在」であるからこそ、期待値がつい高まってしまい、それによって期待した結果が得られなかったときの失望も大きくなる、とも考えられます。

しかしながら、相談したことによって気持ちが楽になったという学生や、カウンセリングのおかげで不登校を解消することができたケースが多いのも事実です。

スクールカウンセラーを有効活用するポイント

「スクールカウンセラーは信用できない」という声があるものの、身近な相談相手であり無料で相談できる心強い存在であることには変わりありません。

スクールカウンセラーとのカウンセリングにおいて一定の効果を期待するためには、どのように活用していくべきか、コツを紹介します。

スクールカウンセラーについて調べてみる

まず実践してほしいこととして、スクールカウンセラーについてできるだけ多くの情報を集めることです。

カウンセラーの資格を保有していても、経験年数には当然ながら差がありますし、年齢や性別によっても対応の仕方は大きく違うでしょう。

どのようなカウンセラーが在籍しているのか、学校からプリントが配布されているケースもあるため、それらの資料にはくまなく目をとおしてください。

また、PTA活動や学校を通じて知りあった保護者からの情報も役に立ちます。いろいろな方面からできるだけ多くの情報を集めてみましょう。

スクールカウンセラーとの相性を求めすぎない

人と人のやりとりである以上、どうしても相性の良し悪しがあるものです。

悩みが深ければ深いほど、カウンセラーに対する期待は大きくなってしまう傾向が強いため、カウンセラーとの相性の良さを過度に気にしてしまう方は多いです。

しかし、相性を気にしすぎるせいで、誰にも相談できずにいることのほうが問題です。まずは、カウンセリングを受けてみて、相性を確認してから、継続して相談するかどうかを決めるスタンスがいいでしょう。

電話でのカウンセリングや家庭訪問を相談してみる

他の生徒や教師の目が気になることが原因で、カウンセリングに抵抗を感じる子どもも少なくありません。

誰にも知られずにスクールカウンセラーに相談したい場合は、電話で相談に乗ってくれるようにお願いするか、家庭訪問をしてくれないか相談してみるのも一つの方法です。

少しでも前に進めるように、できる限りのことを検討してみてください。

カウンセラーを信用できないと感じるパターンと対策

カウンセラーに対する不信感から、なかなか相談する気になれない方は少なくありません。しかし、あらかじめ対策を立てておけば、不安な気持ちを和らげた状態で、カウンセリングに挑めます。

ここからは、カウンセラーを信用できないと感じる具体的なパターンと対策について解説します。

話を頭から否定される

相談者の話や過去のエピソードを、カウンセラーに頭から否定されたら、「信用できない」と感じるのは当然です。

カウンセリングにおいては、自分のつらさを受け止めてもらうことが必要な時期があります。勇気を振り絞って相談した気持ちを理解してもらえず、否定するようなカウンセラーを信用することは難しいでしょう。

このようなカウンセラーに出会ってしまったときは、「運が悪かった」と考え、早めにカウンセリングを切り上げてください。手間はかかりますが、信頼できるカウンセラーを再度、探し直すことをおすすめします。

以前に話したことを忘れられている

カウンセラーは基本的に、相談者が話した内容を記録します。

しかし、次に会ったときにカウンセラーが、こちらが相談したことをまったく覚えていないとなると、「親身になって聴いてもらえない」と感じてしまうでしょう。

特に、話しにくい悩みを思い切って相談した相談者にとっては、心の底からがっかりしてしまい、次に相談する意欲もなくなってしまいます。

前述した「話を頭から否定するカウンセラー」と同様、「聴く姿勢」に欠けるカウンセラーへの相談は避けるのがベストといえます。

カウンセラーが相談者を十分に理解できていない

相談者の心の整理が必要なタイミングで、それをクリアにすることなくアドバイスされてもうまく実行できません。

まずは悩みや不安がどういった理由で生じたものかを、カウンセラーに理解してもらう必要があります。根深い悩みを持っている相談者にとって、カウンセラーの理解が浅いままアドバイスされても信用できないのは当然です。

お互い理解が深まっていない状態でアドバイスをされた場合は、正直に「そのアドバイスを実行するのは難しい」とカウンセラーに伝えることも大切です。

カウンセラーが受け身でアドバイスがない

話を聴かないカウンセラーは信用できませんが、反対に話を聴くだけで終わってしまうカウンセリングも問題です。

最初のうちは好ましく感じていたとしても、解決策を見出せるようサポートしてもらえなければ、状況は好転しません。そのうち「このカウンセリングに意味があるのだろうか」と疑問を感じてしまうでしょう。

カウンセラーがあまりにも受け身すぎると思ったときは、正直に伝えてみてください。その気持ちが伝われば、カウンセラーは行動をあらためるかもしれません。それでも何もしてくれないと感じる場合は、別のカウンセラーを探すことも検討してみましょう。

カウンセラーを信用できないと感じた場合は

信頼関係が重要となるカウンセリングにおいて、カウンセラーに不信感を抱いてしまっている状態では、時間だけが無駄になる可能性が高いです。

一度、抱いてしまった不信感を拭うことは非常に難しいため、別のカウンセラーを探したほうがいいでしょう。

ただし、「別のカウンセラーに変えてほしい」と切り出しにくいときは、直接本人に告げるのではなく、担当のカウンセラーが所属している団体などに相談してみましょう。

診断時に心掛けておくこと

カウンセリングを効果的なものにするために、相談者として心掛けてておくべきことがいくつかあります。

無理にカウンセリングを受けない

カウンセリングを受けるときは、自分の気持ちを最優先に考えてください。後ろ向きな気持ちでカウンセリングを受けたとしても、良い効果が得られることはありません。

心配してカウンセリングをすすめてくる家族や知人がいるかもしれませんが、無理にカウンセリングを受けるのはやめておきましょう。家族や知人には「少し時間をかけて自分が受けたいと思うタイミングを待ちたい」と、伝えてみてください。

しかし、カウンセリングでは自己肯定感を高められたり、会話能力が身に付いたりするなどのメリットもあります。カウンセリングの良い面に目を向けて、カウンセリングに前向きに臨める状態を作ることも大切です。

カウンセラーは守秘義務を負っている

なかなかカウンセリングを受けるまでにいたらない原因の一つに、カウンセラーに打ち明けた悩みが、カウンセラー以外の人にまで伝わってしまうのではないかと不安を抱くことがあげられます。

しかし、カウンセラーには守秘義務があるため、相談内容を他人と共有することはありません。

ただし、情報を共有することによって、悩みの解決を手伝ってくれる協力者を得られるメリットもあるため、カウンセラーと相談して共有しても良いと思える範囲を模索していきましょう。

また、守秘義務の例外としてカウンセラーには「通告義務」があります。

通告義務とはカウンセリングにおいて人命にかかわる内容や、犯罪行為にかかわる内容の相談を受けたとき、警察ほか関係各所に必要な連絡をしなければならないものです。

通告義務は、守秘義務よりも優先されますが、通告する場合は相談者に必ず事前に話をします。通告することによって相談者の安全を脅かすことはありませんので、カウンセラーからの通告義務に関する相談には前向きに対応しましょう。

お互い理解しあうことを意識してみる

誰にも相談できず一人で孤独に悩み続けるよりも、カウンセリングを受けて少しでも前向きになれる可能性を探ったほうが良いケースもあります。

カウンセリングに慣れないうちは、なかなか話しづらいかもしれませんが、少しずつでもお互いの理解を深めていきましょう。

カウンセリングでは、カウンセラーを信頼すること、自分の話を聴いてもらうことが大切です。そのため、いつまでもカウンセラーに対して心を閉ざしていては、なかなか解決に向かいません。

「信用できそうなら打ち明けてみよう」といった気持ちで構いませんので、できるだけカウンセラーと向きあって対話を始めてみてください。

信用できるカウンセラーには出会える

カウンセリングを受けて悩みを解決したいと思ってはいるものの、カウンセラーを信用できなくて困っている方は少なくありません。

また、カウンセラーも人ですので、誰にでもベストなカウンセリングができるというわけではなく、スキルや経験の違いによって、うまく対応できないケースもあるということを覚えておく必要があります。

最初に出会ったカウンセラーがすべてではありませんので「自分とあわない」と感じたら、思い切って他のカウンセラーに頼りましょう。

どのカウンセラーに対しても、最初は「信用できない」と感じてしまうかもしれませんが、少しずつ理解しあうことを心掛け、カウンセリングを受けてみてください。