カウンセリングとは、専門的知識を持つカウンセラーと対話をしながら、悩みごとや困りごとを解決に導いていくことです。

今、悩みを抱えている人の中には「カウンセリングを受けてみたい」と思っている方もいるでしょう。しかし、中には「カウンセリングを受けても無意味なのでは?」と疑問を抱く人が少なくありません。

そこでこの記事では、カウンセリングは意味がないと言われる理由、カウンセリングを生かすためのポイントを紹介します。

「カウンセリングは意味がない」と感じる人の特徴

「カウンセリングを受けても意味がない」と感じてしまう人の特徴は、大きく3つに分けられます。

どのような特徴の人がカウンセリングに対して意味がないと感じてしまうのか、それぞれ見ていきましょう。

カウンセリングに疑いを持っている人

「カウンセリングは意味がない」と感じてしまう人の特徴の一つに、カウンセリングに怪しさを感じ、疑いを持っている人があげられます。

カウンセラーに対して疑いの目を持ち、最初から信用していない状態では、カウンセリングの効果が得にくいです。ベテランのカウンセラーといえど、クライアントの悩みを解決に導くことが難しくなります。

カウンセリングにおいて、カウンセラーとクライアントの双方が信頼関係を築き、深く理解しながら対話を進めていくことは重要なことです。

カウンセリングを始める前から信頼感に障壁がある状態だと、カウンセリングを受けても悩みを話せなかったり、アドバイスを受け入れられなかったりします。そのため、悩みをカウンセラーに話す前に、クライアントが抱いているカウンセラーへのわだかまりの解消から進めなければなりません。

カウンセリングは、前向きな気持ちで受けることが求められます。

カウンセリングの失敗経験がある人

過去にカウンセリングを受けて、「失敗した」と感じた経験がある人は、そのときの印象が頭の中に残っているため、カウンセリングに対して否定的なイメージを抱いてしまいます。

例えば、過去に受けたカウンセリングでカウンセラーとの相性が悪く、うまく悩みを話せなかった経験や、カウンセラーの言葉遣いが原因で精神的なストレスを受けた経験がある方などです。

中にはカウンセラーのスキル不足や経験不足が原因で、前向きな気持ちでカウンセリングを受けられなかった方もいるでしょう。

過去の失敗で抱いた、カウンセリングに対しての否定的な感情がなくならない限りは、カウンセラーとの信頼関係をうまく築けず、カウンセリングを受けても意味がないものと感じてしまう原因になってしまいます。

悩みをすぐに・完全に解決してもらえると思っている人

カウンセリングとは、専門的知識を持ったカウンセラーと対話していく中で徐々に悩みや不安を解消していくものであり、すぐに効果を期待できるものではありません。

「カウンセリングを一度受ければ、すぐに解決できる」と期待している人にとっては、効果が出るのに時間を要するカウンセリングが、意味のないものに感じてしまうこともあるでしょう。

カウンセリングは、階段を1段ずつ上がるようにゆっくりと時間をかけて解決していく手段だということを理解することが大切です。

また、カウンセラーは悩みごとや困りごとを解決するサポート役であり、最終的にはクライアントが自分自身で問題を解決しなければなりません。

カウンセラーと対話して前向きな気持ちになり、自己解決に向かっていけば、それだけでもカウンセリングの効果があると言えます。

「カウンセラーがすべて解決してくれる」と考えている方は、そもそもカウンセリングの本質を理解してから利用しないと効果は出にくいでしょう。

「カウンセリングは意味がない」と言われる理由

自分で解決できない悩みや不安を抱えている人にとって、カウンセリングは効果的な手段の一つです。

しかし、お金を払ってカウンセリングを受けても、クライアントが期待する結果にたどり着けないこともあります。ここでは、カウンセリングをする意味がなくなってしまうパターンを3つ紹介します。

カウンセリングを信用できない・疑っている

カウンセリングに対して疑いを持っている人は、カウンセリングを受けても、効果は期待できません。

「カウンセリングを受けても何も変わらない」「相談者の弱みにつけ込んで騙しているのでは?」など、ネガティブに捉えた心理状態のままカウンセリングを受けても、悩みを相談できなかったり、アドバイスを受け入れられなかったりするからです。

カウンセラーに悩みの解決まですべて頼るのではなく、相談する側もカウンセリングについてきちんと理解する必要があります。

「カウンセラーの力を借りて変わりたい」という思いと、前向きな状態でカウンセリングを受けましょう。

カウンセラーのスキルが足りていない

カウンセラーのスキルや経験が足りない場合も効果に期待できず、カウンセリングを「意味がないもの」と感じやすいです。

例えば、「カウンセラーの態度が良くなかった」「話してもすぐに否定される」という場合や、悩みをただ聴いているだけのカウンセリングなどがあげられます。

カウンセラーがクライアントの話を真正面から聴く体制でない場合は、クライアントも悩みやつらい体験を打ち明けにくくなり、カウンセラーのアドバイスを受け入れようとはしなくなるでしょう。

悩みや不安を解決するためのカウンセリングがむしろ余計に傷ついてしまい、逆効果になる可能性もあります。

スキル不足のカウンセラーと話しているのが苦しくなってしまった場合は、カウンセラーとのカウンセリングをできるだけ早く打ち切り、新しいカウンセラーに変えましょう。

無理やりカウンセリングを受けている

無理にカウンセリングを受けている人も、期待した効果は得られにくくなります

例えば、悩みを抱えている人を無理やりカウンセリングへ連れてきてしまうケースです。

「何とかしてあげたい」という思いから、子どもをカウンセリングへ連れ出す親や教師は少なくありませんが、クライアント本人の同意を得ないカウンセリングには注意が必要です。

心の整理ができていない状態で、無理にカウンセリングを受けても、カウンセリングに行くことが新たな悩みになってしまい、抱えている悩みの解決にはならないからです。

身近に深い悩みを抱えている人がいて、カウンセリングを勧めたい場合は、まず勧める側が実際にカウンセリングを受けてみるのもいいでしょう。

カウンセリングを受けることによって、悩みを抱えている本人との関わり方や問題解決につながる接し方のヒントを学べるかもしれません。

カウンセリングが必要な人(受けたほうが良い人)

カウンセリングが必要な人は、どのような特徴があるのでしょうか。ここからは、カウンセリングを受けたほうがいい人の特徴を4つ紹介します。

悩みを一人で抱え込みやすい人

悩みを一人で抱え込みやすい人は、周囲の人に自分の弱みを見せられず、一人ですべて解決しようとする傾向が強いため、心の負担が大きくなってしまいます。

つらいことや悲しい出来事が起こったときのネガティブな感情から発生した悩みは、自分自身で解決することが難しく、なかなか前向きな気持ちに切り替えられないでしょう。

友人や家族など、身近な人へ悩みを打ち明けられないときは、一人で抱え込まずカウンセラーに頼ってみてください。

自己肯定感を高めたい人

自己肯定感が低くネガティブな思考になりがちな人はカウンセリングを受けるといいでしょう。

自己肯定感が低い人は、「自分はまだまだ足りない部分がある」「ダメな人間だ」などと自分自身を認められず、生き苦しさを感じています。

カウンセリングを受けることで、少しずつ自己肯定感が高まれば、ネガティブ思考にならずに前向きな気持ちで日常生活を送れるでしょう。

客観的な意見を聞きたい人

客観的な意見やアドバイスを聞きたい人にも、カウンセリングはおすすめです。

悲しい出来事が起こったために大きなショックを受けているときや、日常生活でのストレスや不満などで、自分自身で気持ちを整理するのが難しいときにカウンセリングを受けてみてください。第三者の立場から客観的な意見やアドバイスをもらえ、自分の気持ちの整理がつきやすくなります。

「深く悩みすぎて、どうすればいいか分からなくなってしまった」方は、カウンセラーへ相談しましょう。

心の負担を軽くしたい人

心の負担を軽くしたい人も、カウンセリングを受けるといいでしょう。

言いたいことを言えないまま日常生活を送り、心の負担が大きくなっていくと、物事に対して柔軟な対応ができなくなってしまいます。

かたくなな心理状態のままだと、周囲と摩擦が起こり人間関係も壊れてしまう可能性があるので、カウンセラーに今の自分の気持ちを伝えて、少しでも心の負担を軽くしましょう。

カウンセリングをうまく生かすためのポイント

カウンセリングをうまく生かして問題解決に向かうためには、どのようなポイントに気を付ければいいのでしょうか。ここからは、カウンセリングをうまく活かすためのポイントを紹介します。

カウンセリングで変わることと変わらないことを理解する

カウンセリングをうまく生かすためには、「変えられること」と「変わらないこと」を理解することが大切です。

カウンセリングで変えられることや変わらないことを知り、自分の気質と正面から向き合っていきましょう。

カウンセリングで変わらないこと

カウンセリングを受けても変わらないことは、人それぞれが持つ「生まれつきの気質や性格」です。

例えば、以下のような気質や性格があります。

  • 内気な性格で社交的になれない
  • コミュニケーションをとるのが苦手
  • 環境によって気持ちの浮き沈みが激しい
  • 些細なことが気になる
  • 疲れやすい
  • 自分のことを強く否定してしまう

生まれ持った気質や性格は、遺伝的な要因が大きいので、基本的に変えることはできません。

カウンセリングで変わること

それでは生まれ持った気質や性格に悩みを持つ人は、カウンセリングを受けることでどのような変化があり、解決へ向かっていくのでしょうか。

それは「気質や性格とどのように向き合って生活していくか」という考え方や「自分で気付いていなかった良さに気付くことによって生まれる変化」です。

カウンセリングを受けることで「こうやって向き合えばいいんだ」「悩みでなく自分の良さでもあるんだ」といった気づきが、自己肯定につながり悩みごとを解決する糸口になることもあります。

当たり前になっている自分の考え方のクセや習慣に気づき「いい部分も悪い部分も大切な自分自身である」と受け入れることが変わるきっかけになるでしょう。

病院やクリニックで受診したほうが良いこともある

カウンセリングを受けていく中で、病院やクリニックの受診や処方を勧められるケースがあります。

しかし、病院やクリニックの受診を勧められたからといって、カウンセリングでは手に負えないというわけではありません。

人は変化があると精神的なストレスを感じ、身体に負担をかけることがあります。具体的には睡眠が十分にとれなかったり、食事がとれずに痩せてしまったりするといったことです。

その際の有効的な手段として、十分な休養をとることや薬を用いることがあるのです。薬の処方は病院やクリニックでしか行えないため、病院の受診を勧められます。

病院の受診を勧められたからといってネガティブな方向に考えずに、早めに受診しましょう。

心の変化は目に見えにくいものだと把握する

人の心の変化は徐々に起こるため、目には見えづらいものです。自分で実感するのにも時間がかかるでしょう。

カウンセリングを受けたらすぐに効果を実感できるわけではなく、日々の生活の中で少しずつ効果を感じるようになります。

最初は、カウンセリングを受けてもあまり効果がないと思う方もいるかもしれませんが、カウンセリングに即効性はないことを理解しておくことが大切です。

カウンセラーのサポートによって、少しずつ考え方の変化や気づきを繰り返して問題解決へと向かっていきます。

すぐに効果が出ないからといって「意味がない」と決めつけて途中で投げ出すのではなく、自分の悩みと長く付き合っていく必要があることを理解しておきましょう。

正しいカウンセリングは効果がでる

人によって性格や気質が違うように、カウンセリングに対する考え方も人それぞれかもしれません。人によっては、カウンセリングの向き不向きがあるでしょう。

しかし、自分と相性があうカウンセラーから前向きな気持ちでカウンセリングを受けることで、効果が得られる可能性は高まります。

また、カウンセリングによって自分の気質や性格に対する考え方や気付きを得ることは、きっと将来的に役に立つでしょう。「変えたい」「変えないといけない」と思っていたことが、それほど悪いことではなかったことに気付くかもしれません。

カウンセリングは意味がないと思っている方は、カウンセリングを正しく理解してから受けてみることをおすすめします。