カウンセリングを受ける際、男性と女性、どちらのカウンセラーに相談しようか迷う方は少なくありません。性別によってカウンセリングの特徴や強みが異なる場合もあるため、受け入れられ方も変わる傾向にあります。
そこで本記事では、性別によるカウンセリングの違いや、同性・異性のカウンセラーをそれぞれ選んだ場合の注意点についても解説します。カウンセラー選びに迷ったときの参考にしてください。
目次
カウンセラーの男女比率
まずは、一般財団法人日本心理研修センターが公表している、「第1回及び第2回公認心理師試験合格者の属性」をもとに、カウンセラーの男女比率を紹介します。
同データによるとカウンセラーの男女比は、男性が9,441名で約25%、女性が26,997名で約74%でした。公認心理師に限っては、女性が多いということがわかります。
しかし、これは公認心理師だけでなく、他の資格を取得しているカウンセラーでも同じ傾向にあります。カウンセラーに女性が多いことには理由がありますが、この点については「女性カウンセラーの強み」の章で解説します。
男女の性質的な差
男性カウンセラーと女性カウンセラーの違いについて知る前に、男女におけるそもそもの性質的な差について見ていきましょう。
ここでは、「ストレス発散」を例に、それぞれの対処の仕方について解説します。
男性の特徴
男性がストレスに対処する場合、人には相談せず自分一人で対処しようとします。
その例をあげるために、ここでは得意先のクライアントとの間でトラブルを起こしてしまった場合を想定しましょう。
トラブルが起きたこと自体大きなストレスですが、さらに上司から嫌味をいわれ、ストレスが増したとします。
そんなとき、男性はたまったストレスを趣味で晴らしたり、お酒でごまかしたりするなど、別の何かで発散しようとします。自分の中ですべてを解決しようとし、他人に相談しようという発想があまり生じません。
また、家族との団らんで仕事のストレスを忘れようとする男性もいます。その場合も家族に相談するわけではなく、別の話をして、いやなことを忘れ去ろうとするのです。
女性の特徴
男性がストレスを自分で解決しようとするのに対し、女性は誰かに相談することで解消しようとする傾向にあります。
誰かに思い切って話すことで、心の平穏を保てる場合もあるため、少しでも気分を紛らわせようとする方が多く見られます。
また、ストレスが深刻な場合は、積極的にカウンセリングを利用しようとします。相談や話をすることで、共感を求めているのです。
同じストレスに面しても、男性と女性ではこのように対処の仕方が違っています。
カウンセリングは女性のストレス発散方法に近い
前述のとおり、女性は誰かに相談することで、ストレスの発散方法を探し、そして共感を求めます。また、共感してもらうことの素晴らしさを、もともと理解しています。
カウンセラーの役割は、クライアントの話を傾聴して、共感し、受け入れることですが、これは女性の要求とマッチしています。それだけに、女性にとってカウンセラーは身近な存在です。
一方、男性は一人で悩みを解決しようとする傾向が強いため、カウンセラーに相談すること自体、考えない場合もあります。個人差もあり、状況にもよりますが、他人の共感を求めるケースは少ないです。
そのため、カウンセリングは女性のストレス発散方法にとても近く、男性よりも女性にとって活用しやすいものとなっています。
女性カウンセラーと男性カウンセラーの強みの違い
それでは、男性カウンセラーと女性カウンセラーとでは、どのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、それぞれのカウンセラーの強みや違いについて解説します。
男性カウンセラーの強み
男性カウンセラーの強みは、問題の本質を分析し、道筋を立てた解決法を模索していくことです。
男性は論理的な思考が得意といわれるため、心の悩みであってもその原因をしっかり探り、背景を見定め、答えを見つけようとします。
心理カウンセリングでは傾聴や共感も大切ですが、解決法を引き出すことも重要です。クライアントの心の中で何が起きているのか丁寧に解析し、問題解決のための突破口を与える必要があります。
悩みや問題の本質を見抜いて、いち早く解決法を見出したい人には、男性心理カウンセラーのほうが向いているといえます。
女性カウンセラーの強み
女性カウンセラーの強みは、感情に繊細で、傾聴や受容スキルが高いことです。細やかな配慮でクライアントのありのままの姿を受け入れます。
クライアントが寂しそうな顔をしているときは、「寂しいですよね」と声をかけ、怒っているときは「腹が立ちますよね」と共感します。これが女性カウンセラーの得意とするところで、男性カウンセラーが苦手な部分でもあるのです。
「母性本能」という言葉がありますが、女性は受け入れるのが上手です。相手の感情を読み取り、共感するのも得意なため、クライアントも「理解されている」という気持ちになります。
「自分のことを理解してほしい」「受容してほしいと」いう願望がある人は、女性カウンセラーに相談することをおすすめします。
カウンセラーを性別で選ぶときの注意点
続いて、カウンセラーを性別で選ぶ場合に知っておきたい注意点について解説します。
男性クライアントが女性カウンセラーを選ぶ場合
男性クライアントが女性カウンセラーに相談する場合、相談内容そのものが性別を選ぶ場合は、同性のほうが良い場合もあります。
例えば、男性不妊や性的な悩みです。
異性か同性かによって、話す内容に変化が出てきてしまうと、カウンセリングの効果が薄れてしまいがちになります。
そのため、カウンセラーが性的に受け止めにくい内容だと判断できる場合は、同性のカウンセラーを選ぶほうが良いといえます。
女性クライアントが男性カウンセラーを選ぶ場合
女性も男性と同様に、相談内容そのものが性別を選ぶ場合は、同性のほうが良い場合があります。特に女性は、デリケートな問題が多いです。
例えば、生理不順をはじめ、不妊などの相談は男性カウンセラーには相談しにくい人が多いため、女性カウンセラーに相談するほうが適しています。
また、性的虐待や夫のDVなどについても、「男性カウンセラーには理解してもらいにくい」と捉える人が少なくありません。
なお、男性と話をすること自体が苦手だと感じる女性もいるため、この場合も女性カウンセラーを選ぶことをおすすめします。
同性のカウンセラー選ぶ場合
同性のカウンセラーを選ぶ場合に注意したいのが、率直に話せるかどうかです。同性であれば、気楽に話せるような気がしますが、虚勢を張ってしまったり、悪く見られたくないという気持ちになったりすることがあります。
例えば、女性が同性のカウンセラーに相談する場合、「自分のプライベートはうまくいっている」と思われたいという気持ちが働くことがあります。男性同士でも、「家庭の問題は隠しておきたい」と思う場合があります。
そのようなときは、異性のカウンセラーを選ぶことも検討してみましょう。
強みを生かしたカウンセラーが心強い
男性のカウンセラーと女性のカウンセラーのそれぞれの強みを紹介しましたが、これはあくまで一般論です。
カウンセラーによっても違いがあり、カウンセラーごとに独自の強みや専門性を持っています。「男性だから」「女性だから」という点にこだわりすぎず、カウンセラーの強みや得意分野を確認しながら選んでください。
相談内容によってもカウンセラーの選ばれ方が変わってくる
クライアントの相談内容によっても、選ぶべきカウンセラーの性別が変わってきます。
例えば、「男性に嫌悪感を感じる」という女性であれば、当然ながら男性カウンセラーには相談できません。
また、男性カウンセラーに夫のことを相談する場合、「男性ゆえに夫の味方をするかもしれない……」と感じて、男性カウンセラーを避けたいと考える女性もいます。
前述のとおり、性的な内容や状況によって選ぶべきカウンセラーが変わるため、相談したいことにあわせて決めるようにしましょう。
女性カウンセラーと男性カウンセラーは自分に合う方を選ぼう
女性カウンセラーと男性カウンセラーではそれぞれ強みも異なります。また、相談内容によっては、同性でなければ相談しにくい場合もあります。
どのような受け入れられ方、そして解決の仕方をしたいかをよく考えたうえで、自分にあったカウンセラーを選ぶようにしてください。