副業を始めた方、あるいは検討している方の中には、「副業に資格は必要?」「副業に役立つ資格は何?」と思っている方が多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、副業を始めるにあたって、資格の必要性や資格取得のメリット、職種別のおすすめ資格を詳しく解説します。

副業に関する資格について悩んだり、疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。

副業するのに資格は必要?

そもそも、副業をするために資格は必要なのでしょうか?

ここではまず、資格の必要性について解説します。

副業を始めるだけなら資格は必須ではない

多くの副業は資格がなくとも、すぐに始められます。

「高収入を得たい」といったこだわりがなく、「手軽に始められる副業をしたい」と考えている方であれば、資格がなくとも副業の選択肢は豊富にあります。

例えば、下記のような副業です。

  • ブログでアフィリエイトを始める
  • ライティングやデータ入力などの仕事を受注する
  • せどりで稼ぐ

本業でも副業でもプラスになるなら資格取得すると良い

多くの副業は資格がなくてもできますが、中には資格を必要とする副業や、資格を持っていることで信頼度が上がる副業も存在します。

副業の収入アップや、受注数を増やすために有利になる資格であれば、積極的に資格取得を目指しましょう。

また、本業でも生かせる資格があるなら、本業の仕事にもプラスになります。

他の分野へ挑戦する際に有効になる

本業とは異なる分野の副業を始めたいと考えたとき、資格を取得することで、その分野の知識を得られるというメリットがあります。

一から新しい分野の勉強をするのは大変ですが、資格を取得できるほどしっかりと学べば自信がつくでしょう。

また、資格を取得することにより、未経験で資格がない状態よりも仕事が受注しやすくなることもあります。

副業で資格を取得するメリット

副業のために資格を取得することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、副業で資格を取得するメリットについて解説します。

知識やスキルを身につけられる

資格取得のための準備や勉強を始めると、その資格にかかわる仕事について学ぶことができます。

今まで持っていなかった新たな知識やスキルを身につけられる場合もあり、これによって仕事の理解が進み、業務に必要なスキルがアップします。

また、実際に資格取得ができたらさらに自信がつき、モチベーションもアップするでしょう。

本業の社内での評価が上がる

本業にもかかわる資格取得を目指すことで、本業の知識やスキルが広がるというメリットがあります。

資格取得の勉強によって仕事への理解が深まり、視野も広がって、本業への取り組みや社内での評価にも反映されます。

難易度が高い資格の場合、仕事をしながらの勉強は大変かもしれませんが、しっかりと計画を立てて必ず資格取得をするという強い意志を持ちましょう。

転職する際も有利になる

資格取得は、本業に役立つだけでなく、転職する際にも役立ちます。資格を通してスキルや知識が証明されますので、評価が上がる可能性もあるでしょう。

特に、本業とは異なる分野に転職しようとする際には、資格を持っているかどうかで大きな差がつきます。転職にも有利になるため、積極的に資格取得を目指してみましょう。

定年退職したあとの将来にも役立つ

2000年に、年金受給年齢が60歳から65歳に引き上げられました。さらに、今後も引き上げが行われると言われています。

そのため、在職中から退職後の仕事を考えて、資格取得を目指す人が増えています。

例えば、商社で英語を使っていた人が、退職後は通訳案内士として独立するために、資格を取得するといったケースもあります。

資格を持てば、退職後の職業選択の幅、働き方の選択肢が増えます。

副業に役立つ資格一覧

資格・検定概要
応用情報技術者ITエンジニアとしての高度な知識やスキルを証明できる資格。経済産業省主催の国家試験。
ネットワークスペシャリストインフラ系やネットワークのエンジニアに関する高度な知識を証明できる国家資格。
データベーススペシャリスト情報処理技術者試験の最高ランクの試験。データ管理者やプロジェクトリーダーにおすすめ。
社会保険労務士従業員の労働や社会保険に関する専門家。一度取得すれば生涯使える。
ファイナンシャルプランナー(FP)お金に関する幅広い知識を要する資格。国家資格FP技能士1~3級と、民間の資格CFPとAFPがある。
年金アドバイザー銀行業務検定協会が主催する民間資格。
簿記1級経営管理や経営分析を行う能力を示す資格。公認会計士や税理士の登竜門的な資格。
税理士税に関する専門家。所得税や法人税などの申告や相談を受ける。国家資格。
会計士企業の会計監査の他にコンサルティングや税務業務も行う。国家資格。
行政書士行政への許認可申請の書類作成や官公庁に提出する書類の相談を行う。国家資格。
中小企業診断士中小企業の経営や課題に助言する業務が中心。1次試験と2次試験の合格率は3~5%と狭き門。
キャリアコンサルタント個人のキャリア選択と発展を支援する業務。学科試験と実技試験で構成される。国家試験。
メンタルヘルス・マネジメント検定労働者の精神衛生や労働環境の問題を未然に防ぎ、向上させることを目的とした試験。Ⅰ~Ⅲ種のコースがある。
調理師免許調理技術や食に関する知識を証明する国家資格。試験内容は6科目と幅広く出題される。
普通二種免許タクシーや代行など旅客自動車で人を乗せて運転するために必要な免許。

上記の表には、副業に役立ち、将来性や収益性が高い人気のある資格をピックアップしています。

ただし、資格を取得すれば収入が上がるといった資格は、同時に難易度も高くなりがちです。

資格を選ぶときには、事前にその資格の難易度も調べておきましょう。また、収入面だけを気にせず、業界・分野の将来性なども考慮して資格を選ぶことが大切です。

【IT関連】本業に生かせる副業の資格

IT業界は、その能力をアピールするために、資格取得が必要になるケースが多いです。

ここでは、IT関連の副業におすすめの資格を紹介します。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験とは、情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位に位置する資格でもあります。

合格率は20%前後で、難易度の高い資格です。出題範囲が広いため、実務経験だけでは対処できません。きちんと試験対策をする必要があります。

IT分野で仕事をしたい方や、IT分野の体系的な知識を身につけたい方におすすめの資格です。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験のスキルレベル1~4のうち、最高位のスキルレベル4に相当する資格です。

エンジニアとしては必須の資格であり、コンピュータネットワークの技術的な専門性を有することを認定する国家資格となっています。

合格率は、毎年10%台と難易度の高い資格のため、十分な準備が必要です。

ネットワークに関する幅広い知識を持ち、大規模なネットワーク環境を構築・運用できることが証明できる資格です。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、データベースの技術的な専門性を有することを認定する国家資格です。

企業が持つデータを管理し、効率的なデータベースを構築する専門家として、IT分野、特にインフラエンジニア・データベースエンジニアにはマストな国家資格と言えるでしょう。

合格率は例年10%台で、難易度が高くなっています。データベーススペシャリストの資格を保有していることで、さまざまな国家資格試験の一部が免除されるなど、多くの職種で優遇措置が受けられます。

【総務・人事】本業に生かせる副業の資格

総務・人事という仕事は、いずれも企業が活動を行うために必要不可欠なものばかりです。

ここでは、本業での評価にもつながり、将来的に、副業・独立なども視野に入れることができる資格について紹介します。

社会保険労務士

社会保険労務士とは、司法書士、弁護士などと並ぶ「八士業」の一つで、雇用や社会保険、労働問題、公的年金の分野では唯一の国家資格です。

社会保険労務士試験を受けるためには、一定の学歴、特定の仕事での実務経験、決められた国家資格取得者などの受験資格が定められています。

合格率は6~7%前後となっており、かなりの難関資格です。

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(FP)とは、税金や節約、投資、不動産、教育、相続などさまざまなお金に関する知識を持つ専門家です。

ファイナンシャルプランナーの資格には2種類あり、1~3級まである「FP技能士」という国家資格と、日本FP協会が発行する「AFP」「CFP」と言われる公的資格があり、AFPとCFPには有効期限があります。

FP技能士は日本FP協会よりも難易度が高めになっており、FP2級の学科試験の合格率で比較すると、日本FP協会は40~50%前後であるのに対し、FP技能士は20~30%前後となっています。

ファイナンシャルプランナーは、会社内での評価アップや将来の独立なども期待できます。

年金アドバイザー

年金アドバイザーは、銀行業務検定協会が実施している民間の資格で、2~4級(1級はありません)があります。特に受験資格はなく、2級と4級が年に1回、3級が年に2回試験が実施されます。

年金アドバイザーは、老後に不安を覚える方への年金についての相談やアドバイス、年金額の試算などを行います。

社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなどの有資格者の方が、さらなるキャリアアップのために取られる場合も多いです。合格率は、4級が60%程度、3級が35%程度、2級が25%程度です。

【経理】本業に生かせる副業の資格

経理業務では、経理に関する知識やスキルが必須となります。

ここでは、経理業務で生かせる資格について紹介します。

簿記1級

簿記検定には日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類ありますが、認知度の点では、日商簿記が群を抜いています。中でも簿記1級は、経理の専門家としてキャリアアップのためには必須の資格です。

簿記1級は、高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を習得し、会計基準や会計法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規をふまえて、経営管理や経営分析を行えるスキルを保有していることが証明できる資格です。

合格率は、10%前後と取得はかなり難しいため、有資格者は経理のエキスパートとして活躍できます。

税理士

税理士とは、所得税や法人税、相続税などの申告を納税者に代わって行うこと、およびそのための相談を受ける仕事です。

税理士資格は、税理士法に定める国家資格であり、弁護士や司法書士などと並ぶ八士業の一つです。

税理士試験を受けるためには、学歴、資格、経歴などの要件が定められていますので、まずは受験資格を確認する必要があります。

合格率は、20%前後と難易度が高く、試験科目は会計学に属する科目の2科目(必修)と、税法に属する科目3科目(選択2科目、必修1科目)と多いため、しっかりと目標を立てて計画的に勉強を続ける必要があります。

税金に関する知識に興味があり、将来独立も考えている方、転職で高年収を狙いたい方におすすめの資格です。

会計士

会計士は八士業の一つで、正式には公認会計士と言い、難関国家資格として知られています。

会計士は、企業の財務状況を監査し、その正しさを保証できる資格です。上場企業などに義務付けられる監査を行えるのは、会計士だけです。

公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格したうえで、2年以上の実務経験が必要です。公認会計士試験には、特に定められた受験資格はなく誰でも受験ができます。合格率は例年10%前後と、超難関となっています。

経理の経験があり、公認会計士として仕事のやりがいを感じたい方におすすめの資格です。

行政書士

行政書士は、国民にもっとも身近な「街の法律家」と呼ばれることもあり、法律の専門家として書類の作成から経営の相談などをする仕事です。

行政書士の仕事は、官公庁などに提出する書類の作成、契約書等の書類を代理人として作成、書類作成に関する相談、作成した書類等の提出代行、提出手続きの代理に大別されます。

合格率は、毎年10%前後で推移していて、難関資格の一つですが、他の法律系国家資格の中では比較的取得しやすく、法律系の入門的な資格と言われています。

行政書士の試験には、特に受験資格や実務経験も定められていないので、初学者からでも挑戦できます。

将来独立開業を考えている方、一生働ける仕事を探している方におすすめの資格です。

【コンサルティング】本業に生かせる副業の資格

コンサルティング業務、あるいはコンサルタント業務とは、コンサルティング(=相談)そのものを商品として対価を受け取る仕事です。

コンサルティング業務において、本業に生かせ、かつ副業としても活用できる資格を紹介します。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、経営コンサルタント唯一の国家資格です。企業の成長戦略や経営に関してアドバイスし、企業と金融機関・行政をつなぐ役割も求められるため幅広い専門知識が求められます。

総務の知識や営業の経験があり、将来的に中小企業診断士として経営コンサルタント業務で独立したいと考えている方におすすめの資格です。

中小企業診断士試験には、受験資格、実務経験等が必要ないので誰でも受験できます。ただし、科目免除制度というものがあり、ある定められた資格を持っている場合は、一定の受験科目が免除されます。

合格率は、一次試験が20~40%、二次試験が20%弱となっています。合格後は、コンサルタントとして独立することも可能なので、人気の資格です。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力の開発と向上に関する相談、アドバイス、指導を行います。2016年より国家資格となりました。

資格を取得できれば、企業に入ってキャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーとして、また大学やハローワークなどでも活躍できます。

試験は、厚生労働大臣が認定する講習を修了、指定の職務に3年以上の経験、技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験の合格者のうち、いずれか一つを満たせば受験できます。

試験は学科試験と実技試験があり、学科試験の合格率は60~70%、実技が55~65%程度となっており、比較的難易度が低く、合格しやすい国家資格と言えます。

人事労務系の知識がある方におすすめの資格です。

【その他】本業に生かせる副業の資格

最後に、特定の分野に限りませんが、持っていると本業、副業ともに活躍が期待できる資格を紹介します。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルスマネジメント検定とは、大阪商工会議所が実施する民間資格で、Ⅲ種(セルフケア)、Ⅱ種(ラインケア)、Ⅰ種(セルフケア)の3つのコースがあります。

従業員に起こりうるメンタルヘルスの不調に対処したり、問題が起こらないように予防策をとり、より健康な状態を目指せるよう、正しい基礎知識を習得することが目的の資格です。

受験資格に制限はなく、希望のコースを受験できます。 時期によって合格率は変動しますが、Ⅲ種で60~70%、Ⅱ種で45~70%、Ⅰ種で20%弱です。

個人的にメンタルヘルスに関心がある方や、企業の管理職の方などにおすすめの資格です。

調理師免許

調理師免許は、調理の技術や食に関する専門的な知識を持っていることを証明する資格です。

調理師免許を保有していなくとも、飲食店に就職して調理の仕事に就けますが、資格を持っているとスキルを証明でき就職にも有利です。

調理師免許を取るには、専門学校や養成施設で学んで卒業する方法と、飲食店などで2年以上の実務経験を積んだうえで、調理師試験に合格後、申請するという方法があります。

2年以上の実務経験は、非正規のパートやアルバイトでも既定の条件を満たせば受験できます。調理の仕事をすでにしている方でキャリアアップをしたい方は、ぜひ取得を目指しましょう。

普通二種免許

二種免許とは、人を載せて運び、運賃をもらえる旅客運送のために必要な免許です。タクシーや運転代行などの運転が可能なため、本業をしながら、週末などに副業として稼ぐことも可能です。

普通二種免許は、普通自動車免許を取得してから通算3年以上の運転経験で21歳以上の人が取得できます。 観光バス、路線バスなどの運転には、大型二種免許が必要です。

取得するためには、教習所で学ぶ場合と、免許試験場での合格に大別されます。免許試験場での一発試験の合格率は、10%以下となっています。

車や運転が好きで、それを生かした副業を考えている方に、おすすめの資格です。

サラリーマンの副業は本業に影響が出ないように始めましょう

副業をするために、資格は必須ではありません。しかし、特定の資格を持っていると、副業としてだけでなく、本業でも評価されるなどの効果が期待できます。

ただし、難易度が高い資格、人気の資格ほど、時間も費用もかけて準備する必要があるため、しっかりと計画を立ててモチベーションを維持する必要があるでしょう。

どのような副業をしたいのか、また資格取得によって何を目指したいのかを明確に決めたうえで、必要な資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。