コーチングという言葉を聞いたことがあっても
「どのように活用すればいいのか分からない」
「ティーチングやコンサルティング、カウンセリングとどう違うの?」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
実際にコーチングを活用できる場面についても掲載しているので、副業を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
コーチングとは?意味と歴史を解説
ここでは、コーチングの正しい意味や歴史について解説していきます。
コーチングの意味
コーチングとは、馬車を意味する英語の「Coach(コーチ)」が由来です。「大切な人を望む場所へ送り届ける」という意味で使用され、人の目標のサポートをすることを意味します。
コーチングの最大の特徴は「相手自身から、様々な考え方や行動の選択肢を引き出す」という点。コーチングする人が「答えを教える」のではなく、コーチングを受ける人が自ら気づき、答えを得られるようにサポートするのです。
よって、直接的な答えを提示するのではなく、その人の自主性を促すことを目的とします。
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コーチングの歴史
コーチングは「コーチ」という言葉から派生したものですが、そもそもコーチという言葉は、1840年代にイギリスのオックスフォード大学で受験指導をする個人教師のことを「コーチ」と呼んでいたことから始まりました。
その後、1880年代にはボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれていたことが他のスポーツにも広まり、スポーツの指導者を「コーチ」と呼ぶようになったのです。
また、ビジネスの分野で「コーチ」が使われ始めたのは1950年代のこと。
ハーバード大学助教授だったマイルズ・メイス氏が著書の中で「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」と紹介し、その後様々なコーチングに関する出版物が登場したことで、米国で広まりました。
コーチング・ティーチング・コンサルとの違い
コーチングには混同されやすい言葉が3つあります。
- ティーチング
- コンサルティング
- カウンセリング
コーチングとの具体的な違いを確認していきましょう。
「コーチング」と「ティーチング」の違い
ティーチングは「目標達成に向けた支援を行う」という点は同じですが、アプローチの仕方が異なります。
まず、ティーチングは指導者が相手に「教える」というコミュニケーション方法です。すなわち、生徒と教師のような上下関係があります。
対して、コーチングは相手に教えることはせず、気づきを与えられるように促すのが目的です。双方でコミュニケーションを取っていくため上下関係もありません。
「コーチング」と「コンサルティング」の違い
コーチングとコンサルティングの目的はどちらも相手の問題を解決することですので、ゴールに大きな違いはありません。
ただし、コンサルティングはコンサルタントが持っている知識や経験、スキルなどを使って、解決のために相手に具体的なアドバイスをします。また、「明確な答えをすぐに教えて欲しい」というときに選ばれる方法であるため、短期間で問題解決を求められることも少なくありません。
一方、コーチングは先に解説したように、自主性を促すアプローチのため、ある程度時間がかかることを前提に取り組むのが基本です。
「コーチング」と「カウンセリング」の違い
コーチングとカウンセリングも共通しているのは、双方のコミュニケーションであることです。どちらかが一方的に話すのではなく、対話しながら目的達成を目指します。
ただし、カウンセリングは、解決したいことが心の「悩み」や「不安」などを基本としますが、コーチングは「希望」「これからの目標」といったものが基本となるため、そもそもの目的が異なるケースが多いです。
対して、コーチングは目標達成のための行動や自身の新しい可能性などに自分で気づけるよう「考えさせること」を重要視するのです。
コーチングで必要な3つの基本スキル
コーチングには以下の3つのスキルが必要です。
- 傾聴スキル
- 承認スキル
- 質問スキル
傾聴スキル
コーチングを実施する上では、傾聴スキルがとても重要となります。
傾聴スキルは、相手のことを深く理解するためにしっかり話を聞くための手法であり、話を引き出すことも主な目的です。
具体的には相手の言葉だけではなく、感情面にも配慮します。
「どうしてその発言をしたのか?」「今、何を望んでいるのか?」といった心のうちまで考慮し、仕草や表情などを観察して相手の内情まできちんと見ましょう。
関連記事:コーチングに必要なスキルとは?3つの基本スキルを徹底解説
承認スキル
承認スキルとは、シンプルに言うと相手の長所を褒める手法です。
人間には承認欲求があるため、認められることでモチベーションや自主性の向上につながります。そして、ほとんどの場合は「また承認されたい」と考えるため、一度褒められた行為を繰り返すでしょう。
そのため、承認スキルで的確に褒められるようになれば、相手が自主的に動きやすくなり、コーチングの成功率が上がりやすくなります。
ただし、相手がしていないことを褒めてもただのお世辞になってしまうので、実際に成長や成果が見られたときに、明確かつ具体的に褒めてあげることが大切です。
質問スキル
質問スキルは、自主性を促すために的確な質問をするためのスキルです。
質問によって思考を広げてもらう必要があるため、あえて「気づき」が得られるようなヒントを盛り込みます。
たとえば、仕事でミスをして怒られた場合、コーチングでは「なぜそんなミスをしたの?」と問い詰めたりはしません。
「ミスをした原因は何だと思う?次にミスしないためにはどうすればいいと思う??」と具体的に考えるべきことを質問するほうが、相手が問題に対して自分で考え、分析しやすくなるでしょう。
コーチングを実施するメリット
ここからは、コーチングを実施する効果やメリットを解説します。
いずれも重要なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
自発的に行動できるようになる
コーチングで成長した人材は、自発的に行動できるようになります。
何度もお伝えしているとおり、コーチングは自主性を伸ばすことが目的です。そして、自主性を身につけた人材は自分の行動基準や考えを持つようになり、誰かに指示されなくても能動的に動けるでしょう。
生産性が上がる
コーチングを受けた人材は、自身で仕事を設計できるよになるため、生産性が向上するメリットもあります。人から指示されるよりモチベーションも高く、常に安定したパフォーマンスが期待できるでしょう。
事実、上司から「仕事をやっておけ」と押し付けられるより、「この仕事に取り組もう」と自分から行動したときの方が成績は上がりやすい傾向。
適性が分かる
コーチングは、対話を通して相手を深堀りすることから、「どんな仕事が向いていそうなのか」といった適性も見抜けるようになります。
実際に、コーチングによって能力が開花した結果、本人が今まで考えつかなかった、本当にやってみたいことを発見できるケースもあるのです。
コーチングを実施するデメリット
コーチングには様々なメリットがある一方、当然デメリットも存在します。
実施前に知っておかなけば、上手くコーチングが進められない原因にもなるため、しっかりと確認しておきましょう。
効果が出るまで時間がかかる
コーチングは相手の自主性を促す方法となるため、効果が出るまで時間がかかります。
ティーチングのように「これを実行しなさい」と具体的に指示するわけではなく、対話を繰り返しながら相手に自分で気づいてもらう必要があり、こればかりはどうしようもないでしょう。
長期的な視点で取り組む必要があることから、短期間の人材育成やリソース不足を補いたいなら、ティーチングやコンサルティングの方がおすすめです。
関連記事:コンサルタントが副業におすすめの理由は?始め方や注意点を解説
目的が曖昧になることがある
コーチングは数値や結果が表示されるわけではないため、定量的な成果が分かりづらく、目的が曖昧になる恐れがあります。
そのため、コーチングをするときはある程度の目標設定が必要です。具体的には、「もっと自分で考えて発言できるようになって欲しい」「会議で発言する人を増やしたい」など、定性的でも構わないので、ある程度の目標を設定しましょう。
コーチのスキルで効果が左右される
コーチングには専門的なスキルが必要であり、当然コーチが未熟では十分な効果は得られません。
的確な質問ができないと相手に自主性を促せず、フォローしすぎても相手に答えを与えてしまうことになるでしょう。信頼関係を上手く築けず一方通行にならぬよう、しっかりとスキルを身につけてからコーチングを行ってみてください。
コーチングで活用できる資格
コーチングには様々な資格があり、それぞれで難易度や知名度も異なります。主な資格は以下の通りです。
- 国際コーチ連盟(ICF)
- 日本コーチ連盟(JCF)
- 一般財団法人生涯学習開発財団
上記の他に、チャイルドコーチングなどのより専門的な資格も存在するので、以下の記事を参考に自分に合ったものを探してみてください。
コーチングを学習する方法
副業としてコーチングを学びたいのなら、以下の方法を検討すると良いでしょう。
- 専門書籍で学ぶ
- 先輩コーチから教えてもらう
ちなみに、セミナーで学ぶのもおすすめですが、個別指導が受けにくいので、仙道塾の会員コミュニティのような場を利用し、プライベートに近い形で教えてもらった方が良いでしょう。
関連記事:コーチングを学ぶのにおすすめの本11選!初心者向けに厳選
コーチングの活用場面
ここからは、具体的なコーチングの活用シーンについて解説していきます。
必要な知識はあるのに業務を円滑に進められていないとき
「従業員に必要な知識はあるはずなのに業務が上手く進まない」という現象は、モチベーションの低下やコミュニケーション不足が原因である可能性があります。
従業員のモチベーションが低いと業務のスピードは落ち、コミュニケーション不足の場合は報告や連絡が十分でなく、やはり業務が円滑にいきません。上記のケースでは、コーチングを導入することで解消する可能性が高いでしょう。
時間や労力を使っているのに従業員の行動に変化がないとき
「いろいろな方法を試したけど従業員の行動に変化が見られない」という場合、従業員の自主性が欠けている恐れがあります。
自主性が欠けていると自ら行動しようとせず、毎日の業務をただこなすだけの受身になってしまうでしょう。しかし、コーチングなら能動的な行動を促せるので、効率的な改善が見込めます。
自信が持てず行動にふみ出せないとき
「スキルや能力は十分なのに、自信がなさそうに仕事をしている従業員が多い」というときは、コーチングを導入して承認の機会を増やすことが重要です。
自信がないのは「本当にこれで良いのか?」「自分は職場で役に立っていないのでは?」というような迷いや不安が原因であることが多く、自己肯定感も低下しています。
一方、コーチングで承認される機会が増えれば、従業員に自信がつき、積極的に行動しやすくなるでしょう。
コーチングは副業にもおすすめの専門技術
本記事では、コーチングの概要やメリット・デメリットを解説してきました。
コーチングは、自主性や目的意識の向上をサポートするコミュニケーション手法であり、「相手自身に気づかせる」ということを重視しています。
直接的な「教え」や「アドバイス」は行わないため、即効性はやや劣りますが、本人ですら気づいていない才能や能力の開花に大変有用といえるでしょう。