コーチングは昨今、日本でも人材育成の一つの手段として有効活用されていますが、一部では「意味がない」というイメージを持たれています。
そこでこの記事では、「コーチングは意味がない」と思われてしまう理由から、コーチングを意味あるものにするポイント、そしてコーチングにはどのような人が向いていないのかを詳しく紹介します。コーチングに疑問を抱いている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
コーチングサービスは意味がないと思われてしまう理由
ここではまず、「コーチングサービスは意味がない」と思われてしまう理由について紹介します。もしかすると、あなたも気になっている部分があるかもしれませんので、一緒に見ていきましょう。
コーチングの認知度が低いから
「コーチングは意味がない」と思われてしまう大きな要因として、認知度の低さが挙げられます。
アメリカやイギリスでコーチングが誕生したのは1990年代ですが、日本で広まり始めたのは2000年代に入ってからだといわれています。このため、日本ではまだまだコーチングの文化が根付いていません。
また、コーチングがそもそもどのようなものなのかを知らない人や、コーチングについての基礎知識がない人は、まずコーチングとは何なのかについてあらためて調べ直してから判断することをおすすめします。
また、自分がコーチングをする立場になる場合は、まずは相手にコーチングとは何なのかを知ってもらい、「コーチングの有用性」について理解してもらうことも大切です。
コーチのスキルや伝え方に問題があったから
コーチングを受けたことのある人が、「コーチングなんて意味がない」と思っている場合もあります。
コーチングを受けたのにもかかわらず、意味がないと思ってしまった原因の多くは、コーチのスキルが足りていなかったり、伝え方に問題があったりするケースが多いです。
コーチングスキルを習得したコーチであっても、クライアントとの向き合い方や質問の投げかけ方などに問題があると、コーチングの効果は発揮されません。
極端な例ですが、クライアントの自主性を重んじてくれないコーチだった場合、コーチングの効果が発揮できないため、「コーチングを受けても意味がなかった」と思われてしまうでしょう。
コーチングというサービスだけではなく、それを実践するコーチも慎重に選ぶ必要があります。
コーチングを受ける側がコーチ任せだったから
「コーチ側に問題がある」という話をしましたが、「コーチを受ける側にも問題がある」可能性もあります。
コーチングとは、「自分で考えて答えを探していく」ものです。あくまでもコーチはそれをサポートしてくれるだけであり、答えを与えてくれる人ではありません。
しかし、「コーチングを受け始めた」という事実だけに満足してしまい、それ以降は全てコーチ任せになってしまう人もいます。
そうなってしまうと、コーチングの効果が発揮されることはありませんし、「コーチングは意味がない」と思ってもおかしくありません。
コーチングの効果を最大限享受するためには、コーチングとは何なのかについてしっかりと理解することが大切です。
コーチとクライアントで信頼関係が築けなかったから
コーチングの効果は、コーチとクライアントの間で信頼関係が築かれることで発揮されます。
コーチと相性が悪かったり、前述のようにコーチのスキルや接し方に問題があると、コーチングを続けていても満足のいく結果になりません。
コーチングを続けていて、もし「このコーチとはあわないかもしれない」と感じたら、すぐにコーチを変更してみてください。自分と相性の良いコーチに巡りあえれば、「コーチングを受けて良かった」と思える可能性が高まります。
「コーチに対して少しでも不安があるときは変更を検討する」、これもコーチングの効果を享受するためには必要なことです。
短期間での結果を期待しすぎたから
コーチングは、ゆっくりと時間をかけて自分の中から答えを引き出すものです。もちろん、コーチは少しでも早く結果が出るように努力しますが、短期間で効果が出ることはほぼありません。
そのため、「コーチングは短期間で答えが出るもの」と思い込んでいる人ほど、「コーチングに意味はない」と勘違いしてしまう傾向があります。
もし、短期間で結果が出ると思っている人は、「コーチングは時間をかけて答えを導くもの」ということを理解しておきましょう。また、目標が高ければ高いほど当然、必要な時間は増えます。
コーチングの効果が出るまでの時間に関しても、正しい認識を持って再度コーチングを受けてみてください。
コーチングに向いていないテーマを扱ったから
コーチングとは、自分の中から答えを導き出すもののため、効果を発揮するためには、自分の扱うテーマに関する知識や経験が蓄積されている必要があります。
そのため、自分が何も知らないテーマに関しては、いくらコーチングを続けたところで目に見える効果が出にくいです。もし、今のテーマに不安を抱いている場合は、コーチングではなく「ティーチング」を受けてみるのも良いでしょう。
ティーチングでは、そのテーマに関するプロがあなたの悩みを解決するために、さまざまなスキルやノウハウを提供します。ティーチングを受けて、知識や経験を蓄えてからコーチングに移るのも一つの手です。
関連記事:ティーチングとコーチングの違いは?活用例とメリット
コーチングに向く人と向かない人の違い
コーチングに向いていない人がコーチングを受けても「気持ち悪い」「意味がない」「洗脳されているのではないか」と感じる傾向にあります。
反対に、本来コーチングを受けたほうがいい人が、勝手なイメージだけで受けないのは、成長の機会を手放しているようなものとなり、非常にもったいないです。
ここからは、自分がコーチングに向いているのか、向いていないのかを確認していきましょう。
コーチングに向いている人(受けると良い人)
- これから起業する人、したい人
これから起業を検討している人、特に初めて起業しようとしている人はどのように進めていけばよいのか分からないことが多いでしょう。
起業を志す方はすでにその分野の知識や経験を蓄積されている場合が多いため、コーチングが効果的であるといえます。自分がどのように進んでいけばよいのかを知るきっかけを、コーチングで見つけていきましょう。
- 客観的なフィードバックが欲しい人
コーチングは、自分で答えを出すことがベースですが、それにくわえてコーチによる客観的なフィードバックもあります。
マネジメントや経営など、客観的な意見をもらいにくい内容であれば、コーチングでフィードバックをもらうことは、貴重な糧となります。
- ビジネスを成長させたい人
ビジネスを成長させたいという明確な目標がある方にもコーチングが向いています。コーチングは目標が明確であればあるほど、進んでいく方向がはっきりしているため効果を発揮しやすいです。
経営に関する課題など、具体的な課題があるほうがコーチも質問を投げかけやすく、より円滑にコーチングが進んでいきます。
コーチングに向いていない人(受けないほうが良い人)
- 自ら行動しようとしない人
コーチングは、コーチからの質問に答えながら自分の中にある答えを自分自身で探していくものです。
そのため、コーチングの効果を最大限発揮するためには、受ける側に自ら行動しようとする気持ちが必要となります。受け身で自分から行動したくはないと考えている人は、コーチングには向かないのです。
- 現状に不満があるものの変わりたくない人
「成長を求めていない」「現状維持をしたい」と考えている人もコーチングは向いていません。
コーチングはコーチとのやりとりを通じて、問題解決に必要な答えを自分で導き、自分自身を成長させる効果があるからです。
「不満はあるけれど、現状維持でよい」と思っている人は、コーチングを受けても「何でこんなことをしなければならないの?」と思ってしまうかもしれません。
- コーチとの関係を肯定的に考えられない人
コーチングでは、当然コーチとの人間関係を築いていきます。そのため、コーチとの関係を否定的に考えてしまい「一人で考えるほうが楽」と思いやすい人にもコーチングは向いていません。
コーチングの意味と目的をおさらい
コーチングは、コミュニケーションスキルの一つであり、コーチがクライアントとのやりとりを通じて目標達成のためにサポートをするものです。
問題解決の答えをコーチが与えるのではなく、クライアント自身が考えるものであり、コーチはそのためのサポートをしてくれるだけの存在です。
そのため、コーチに対する依存が強く「コーチがいるから大丈夫」と考えてしまうようでは、コーチングの効果を享受できません。
コーチングを導入する企業が増えている
日本よりも早くコーチングが広まったアメリカやイギリスの企業では、組織のパフォーマンスを向上させるためにコーチングを導入し始めています。
日本国内でも、いち早くコーチングを導入し、その効果を実感している企業もあります。特に、リーダーや経営者には効果大のようです。
また、人材教育のためのマネジメントスキルとしても注目が高まってきており、教育関係者、医療関係者、個人の人たちなどにコーチングの実践者が増加しています。
コーチングの種類
ここまで「コーチング」という言葉を何度も述べてきましたが、実はコーチングにはいくつかの種類があります。
コーチングについて理解するために知っておきたい種類としては、ビジネスコーチング・パーソナルコーチング・セルフコーチングの3種類です。
コーチングの種類によって得意なコーチ、不得意なコーチが存在するため、利用前に必ず確認しておきましょう。
ビジネスコーチング
ビジネスコーチングとは、その名のとおりビジネスの場面で効果を発揮するコーチングです。
組織のパフォーマンス向上や、目標達成のために、自主的に考えたり、行動できたりする人材を育成するために用いられます。社員一人一人が成長し、組織全体の成果が上がるため、企業に人気のあるコーチングです。
この中には、管理職や役員、経営者を対象としたエグゼクティブコーチングが含まれることもあります。
パーソナルコーチング
パーソナルコーチングは、組織などではなく、個人を対象に行われることが多いコーチングです。
仕事だけではなく、人間関係やお金のこと、家族のことなど、プライベート全体がコーチングの対象となります。そのため、パーソナルコーチングの中でもそれぞれのジャンルに特化したコーチが存在します。
クリントン元大統領やマーク・ザッカーバーグ、レディー・ガガなど、各分野のトップの人たちが受けていたのも、パーソナルコーチングだといわれています。
セルフコーチング
セルフコーチングとは、コーチも自分、クライアントも自分という少し変わったコーチングスタイルです。
自分だけで完結するため今すぐにでもできますし、お金も一切かからないというメリットがありますが、自分自身にコーチングのスキルがないと効果を期待できないという弱点もあります。
また、挫折した場合も自分一人で解決せねばならず、コーチングの難易度は高いです。
コーチングサービスで得られること
ここからは、意味のあるコーチングをしたときに得られる効果について紹介します。これまでコーチングの効果について疑っているところがあった方は、ぜひ最後までお読みください。
主体的に物事に取り組む力が育つ
コーチングは、自分自身を振り返り、答えを導き出すことを重要視しています。そのため、コーチングを続けることで、自分の中に自主性が育ち、物事に対して主体的に取り組む力が育ちます。
それまで受け身だった人を、コーチングを通じて少しずつ自主性を養っていくことにより、今までには想像できなかった素晴らしい人材へと成長させることもできます。
また、クライアント本人も主体的に生きていくことができるようになるので、人生の満足度も上がっていきます。
問題解決の能力が上がる
コーチングでは、自分の中にある答えの引き出し方を身に付けられます。答えの引き出し方が分かれば、誰からも答えやヒントを与えられなくても、自分一人で適切な答えを導けるようになります。
問題解決能力が上がることで、仕事を前に進められるようになりますし、組織に所属している場合は貴重な人材として認識してもらえるようになります。
日々のパフォーマンスもアップするため、結果を出しやすくなります。
自己肯定感や自信が高まる
前述のとおり、主体的に物事に取り組む力が育ち、問題解決の能力が上がると、自信がつくようになります。また、自信は仕事だけでなく生活全体にポジティブな影響を及ぼす「自己肯定感」も高めてくれます。
自信がつくことで行動に迷いがなくなり、「自分には無理かもしれない」と考えていたような新しいことにも挑戦できるようになっていきます。
コーチングを意味のあるものにするポイント
続いて、コーチングをより意味のあるものにするためのポイントを紹介します。コーチングの受け方を変えたいとお考えの方や、これからコーチングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
コーチングを受ける理由を明確にする
コーチングを受ける人には「今の自分を変えたい」という思いがあるはずです。
コーチングを意味あるものにするためには、「自分をどう変えたいのか」「どうして変わりたいのか」という理由や目的を明確にしておくことが大切です。
そうすることで、コーチも質問を投げかけやすくなり、円滑にコーチングが進むようになります。円滑なコーチングはコーチとの信頼関係にも影響するため、コーチングを受ける理由は必ず明確にしておきましょう。
疑問や不安は納得できるまで話し合う
コーチングを進めていく中で、疑問や不安が生じた場合は、迷わずに話し合いましょう。
自分の中に何かモヤモヤが残っている状態では、コーチングの効果を最大限享受することができません。
コーチングは自分が思っていることを素直にコーチへと話すことが大切です。スキルの高いコーチならば、どのような悩みを話してもあなたが問題を解決できるように導いてくれます。
コーチに気をつかわず、自分が納得できるまで徹底的に話し合うようにしましょう。
コーチングに向いているテーマを選ぶ
コーチングを意味あるものにするためには、コーチングに向いているテーマを選ぶことが大切です。
コーチングは長い時間をかけてゆっくりと問題解決を目指していくものです。そのため、緊急性のある問題や今すぐに解決したい問題、明確な答えがある問題は向いていません。
コーチングを受ける場合には、明確な答えがなく、長い時間をかけて解決すべきテーマを扱うようにしましょう。
コーチングを受ける側が主体的に参加する
コーチングを受けるときには、とにかく自分が主体的になることが重要です。前述のとおり、受け身のままコーチングを受けているようでは、意味のあるコーチングを実現できません。
そのため、今は受け身の人でも、コーチングを受けるとなったら、少しずつで良いので勇気を出して主体性を意識し、意味のあるコーチングができるよう頑張りましょう。
自分にあったコーチやコーチングサービスを利用する
コーチングは、コーチとの人間関係を築いていくことになります。そのため、意味のあるコーチングを実現するためには、自分とあったコーチングサービスを利用したり、コーチとの関係を築いていったりする必要があります。
コーチングサービスやコーチの情報は、事前に公式サイトやSNSを確認して、自分とあうのかどうかを確認しておくのがおすすめです。
また、サービスに関して気になることがあれば何でも迷わずに問い合わせてみることが大切です。
コーチとクライアントで信頼関係を築く
コーチングには、コーチとクライアント間の信頼関係が大切です。
特に、クライアントがコーチのことを信頼していない状態でコーチングを進めても「本当にこの選択で良いのだろうか」と疑心暗鬼になってしまい、自分自身の成長を妨げてしまいます。
コーチの人間性と自分がマッチせずに信頼できないという場合は、すぐにコーチの変更を検討してください。
信頼できないコーチと関係を続けて、コーチング自体に対する信頼感まで失ってしまっては本末転倒です。コーチングの効果を発揮するためにも、信頼できるコーチ探しは重要です。
ポイントを押さえて意味のあるコーチングにしましょう
この記事では、コーチングが意味ないと思われる理由や、コーチングに向いている人・向いていない人について紹介しました。
コーチングに対して不信感を抱いていた人は、コーチングの正しい情報や効果が発揮するまでの時間を知ることで、コーチングを見る目が変わったのではないでしょうか。
また、事実として、コーチングには向いている人・向いていない人がいます。主体的になれない人や現状に満足している人は、コーチングには向いていません。しかし、客観的なフィードバックが欲しい方や、どんどん成長していきたいという方にはコーチングが役に立ちます。
「コーチングは意味がない」と感じている人も、コーチングを初めて受ける人も、紹介したポイントを押さえて、意味のあるコーチングを実現できるようにしてください。