この記事では、コーチングにおける4つのタイプと特徴を紹介します。

加えて、タイプ別のコミュニケーション方法や、タイプ分け診断を活用する際の注意点についてもまとめています。

「コーチングで使われるタイプ別診断について知りたい」「4つのタイプの見分け方や特徴がわからない」と疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。

*当記事は株式会社コーチ・エィと鈴木義幸氏の書籍を参考に、株式会社マーケティングフルサポートが再解釈し、編集しております。そのため、当記事は株式会社コーチ・エィの記事や鈴木義幸氏の書籍で説明されている内容と異なる部分があることにご注意ください。

出典資料:図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく

出典資料②:【図解】「タイプ分け™」とは 〜あなたはどのタイプ?タイプ分けで上手くいくコミュニケーション

コーチングにおける4つのタイプと特徴

コーチングにおけるタイプ分けとは、株式会社コーチ・エィが開発した4つのコミュニケーションタイプ分類と、それぞれのアプローチ方法が一般的に知られています。

「人を最も特徴づけるのは他者とのコミュニケーションだ」という前提で、臨床心理学や組織行動学などをベースにして作られたコミュニケーションの分類方法となっています。

ここでは、コーチング式タイプ分け診断として、人間関係の型を4つのタイプに分け、それぞれの行動の特徴や、得意なこと、不得意なことなどを詳しく紹介します。

また、コーチングのタイプ分けについては、株式会社コーチ・エィのブログでも詳細に解説しているので、こちらも読んでおきましょう。

【図解】「タイプ分け™」とは 〜あなたはどのタイプ?タイプ分けで上手くいくコミュニケーション

*当記事は株式会社コーチ・エィと鈴木義幸氏の書籍を参考に、株式会社マーケティングフルサポートが再解釈し、編集しております。そのため、当記事は株式会社コーチ・エィの記事や鈴木義幸氏の書籍で説明されている内容と異なる部分があることにご注意ください。

コントローラー(ドライビング)

得意なこと・物事を一人で進める・結果を出す・状況をコントロールする・リーダーシップを発揮する
苦手なこと・自分の内面に目を向ける・気持ちを表現する(表情)・他の人のペースにあわせて行動する・人の気持ちを察する
向いている職業・起業家・経営者
接するときの注意点・話すときは結論から話す・話は手短にする・重要な話は要点から

コントローラー(ドライビング)タイプは、自己主張が強く、自分で進む道を決めるタイプのことです。コントローラータイプに該当する方は感情をあまり表現しない傾向にあります。

コントローラータイプは「自分で決めたい」「結果を出したい」という欲求が強く、人との関係や感情よりも仕事を優先するタイプで、データや事例を重要視します。

効率よく結果を導き出したいと考えており、無駄を嫌います。結果を残すためだったらリスクを負うことも恐れません。自分で決めたいという欲求が強いため決断力も高い傾向にあります。

また、コントローラータイプの人は行動力もあり、話すのも早いため決断するスピードも速いのが特徴です。

プロモーター(エクスプレッシブ)

得意なこと・周りのモチベーションを上げる・面白いことをする・アイデアを創造すること・臨機応変に対応すること
苦手なこと・淡々と作業を継続すること・計画通りに動くこと・同じ作業を繰り返して行う
向いている職業・芸能(タレント、お笑い芸人)・営業職・人と関わる仕事や人前に出る仕事
接するときの注意点・リアクションを大きくとる・話を徹底的に聞く・面白い話をする

プロモータータイプは、感情や主張を表に出し表現します。自分自身が人に対して影響を与えたいと考えており、注目されたいという欲求があります。

人に影響を与えることや注目されることが欲求の一つなので、物事の判断を行うときは、いかに斬新で、楽しいことかを考えて行動します。

また、アイデアが豊富で、人といることを楽しむ傾向にあります。プロモータータイプが身近にいると、身振りや手振りも大きくその場が賑やかになるといった特徴があります。

話すスピードや判断力、行動力もありますが、同じことを繰り返すような単調な作業は苦手です。

サポーター(エミアブル)

得意なこと・人を癒やす・周りの気配りやサポート・穏やかな場所を作ること
苦手なこと・目標設定や計画を行うこと・自分主導で物事を進めること・自分の意思を主張すること
向いている職業・人と関わる仕事や人前に出る仕事
接するときの注意点・話をゆっくり聞いてあげる・話すときはゆっくりわかりやすく・本当の意見を聞いてあげる

サポータータイプは、感情は表に出すものの、自己主張が少ないといった特徴がある人です。

サポーターが重要視しているのは「周りの人間と調和し合意する」ことであり、人に対して貢献することを好みます。人の心に敏感であり、みんなが楽しく穏やかに過ごせるように周りを和ませます。

相手に対して貢献したいという欲求が強いため、自分よりも周りを優先してしまう傾向にあります。

それゆえに、本当に嫌なことでも「嫌」といえないことも多いです。

ペースがゆっくりなので、行動や話し方もまったりとしています。

アナライザー(アナリティカル)

得意なこと・分析と計画・作業を淡々と進める・問題解決能力・細かく規則に縛られた仕事
苦手なこと・変化や臨機応変に動くこと・ノリで動くこと・感情表現・大人数で集まること
向いている職業・マーケティングや分析を用いる仕事
接するときの注意点・真面目な話のときはふざけない・伝える情報は正確に

アナライザータイプは、感情を抑制し、自己主張をしない特徴があります。重要視しているのは「理論」と「正しさ」であり、データや事例を集めて細かく分析して今後の動きを判断します。

そのため、極力失敗は避けたいと考えている人が多く、慎重派であるといえます。

リスクを負うことを苦手としており、念入りに計画を考えリスクを避けるため、決断まで時間を要してしまう特徴があります。

コーチングにおける4つのタイプの見分け方

では実際に4つのタイプの人を見分けるには、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、コーチングにおける4つのタイプの見分け方について紹介します。

診断テストやアプリを使って見分ける

診断テストやアプリなどを利用して、相手の4つのタイプを割り出していく方法です。

コーチングスキルが高い方は、これらを使わなくてもタイプを見分けられますが、コーチングを学びはじめたばかりの方は、その人の言動や行動だけで判断するのが難しい場合があります。

そこで、診断テストやアプリなどを活用することにより、比較的簡単にその人の特徴やタイプを見分けることが可能となります。

質問して見分ける

相手に質問を投げかけて、それに対する返事の内容によりタイプを見分けるという方法もあります。

例えば、「近頃どんな感じですか?」というあいまいな質問をしてみましょう。

コントローラータイプの場合は「調子いいですよ」と即答をするか、「いや、そんなことよりも」と他の話題に変えてしまう対応が考えられます。

プロモーターの場合は「すごく楽しいですよ」「こんなことがあってとても面白かった」などさまざまな具体的なエピソードが次々と出てきます。

サポーターの場合は、回答に少し迷いながら「私はまあまあですが、あなたはどうですか?」と反対に質問をしてくる可能性があります。

また、アナライザーであれば「何がですか?」「どんなことに対してですか?」と、具体的に何を聞きたいのかを聞き返してくる対応が考えられます。

シンプルな質問であるほど相手の反応がわかりやすいため、アプリの診断テストなどを活用できない場面では、このような質問での反応で確認してみましょう。

さまざまな場面を観察して見分ける

さまざまなシーンで観察しながら、4つのタイプを見分けるという方法もあります。

例えば、職場で確認してみましょう。コントローラーとサポーター、アナライザー、プロモーターがいる場所で、仕事の話をしているとします。

コントローラーは仕事に対する熱意が強いため、早口で強く自分の意見を主張します。サポーターの場合は、気配りや目配りを得意とするため、周りでなかなか意見できない人に質問やアドバイスを行い、その場のコミュニケーションを活発にさせます。

アナライザーの場合は、分析と計画を綿密に立てるため、話を聞き取り、自分なりの分析を行って意見を述べます。プロモーターは、その場の雰囲気を盛り上げ、他の人を褒めてモチベーションを上げながら、アドバイスや新しい考えを発してくるでしょう。

このように、その場の雰囲気や話題によって、その人それぞれが持っている特徴が現れるため、場面を観察することで比較的簡単に見分けることが可能です。

4つのタイプのコミュニケーションの取り方

では、4つのタイプ別に、具体的にどのようなコミュニケーションをとれば良いのでしょうか。

ここからは、それぞれのタイプの人とのコミュニケーションの取り方について、詳しく解説します。

情報提供や提案を行う場合

コントローラー・簡潔に要点をまとめて情報提供や提案を行う・ダラダラと終わりの見えない話を嫌う傾向にあるので、提案などを行う際は結論から話す
プロモーター・面白いことや新しい情報を好む傾向にある・今までなかった新しい提案や面白い情報提供を行うことで興味を持って話を聞いてもらえる
サポーター・周りの意見に同調し、周りの気配りやサポートを好む傾向にある・その提案や情報が周りの人を幸せにするかしないかに重点を置いて話してみる
アナライザー・理論的で正しい情報を求める傾向にある・その情報がいかに正確で正しいのか、もしくは分析を得てそのデータを得ているのかについて重点を置いて提案する

4つのタイプの人に対して情報提供や提案を行いたい場合、どのように対応すべきかを表にまとめました。

タイプ別に提案方法を変えることで、スムーズに受け入れてもらいやすくなります。

仕事で部下に対して褒める場合

コントローラー・仕事において成功したところを徹底的に褒めてあげる・褒めるときはより具体的で簡潔に褒めることでより効果的
プロモーター・プロモーターが行った仕事がいかに他の人に影響を与えたのかに重点を置いて褒めてあげる
サポーター・サポーターの行った仕事が周りの人から好評または上司が喜んでいて賛同していたと伝えることで喜びを感じモチベーションにつながりやすくなる
アナライザー・アナライザーの仕事がいかに理論的であり正しかったという旨を伝えて褒める・慎重で失敗を避けたい傾向にあるため、満足いくまで仕事をさせてあげる

次に、仕事で部下に対して褒める場面で、どのようにして褒めればいいのかを確認していきましょう。

人に褒めるときに方法を間違えると、反対に不愉快な気分にさせてしまうことがあります。そのため慎重にタイプを見分けることが大切です。

仕事で部下に対して怒る場合

コントローラー・ミスをした際にただ怒るだけではモチベーションの低下につながってしまう・効率よく結果を導き出したいと考えるタイプなので、次にミスをしないためにはどのようにすれば良いのかについて考えさせるようにする
プロモーター・ミスをした際は周りよりも楽観的に捉える人が多いものの、反対に落ち込んでしまう人もいる・アイデアや想像力があるタイプなので、仕事の過程を褒めてあげることでモチベーションにつながっていく可能性がある
サポーター・自分の意思を主張することが苦手なため、相手の考えや思いを聞き入れてあげる・考えや悩みを内側に閉じ込めがちなため、ミスを指摘しつつ、意見も聞いてあげる
アナライザー・アナライザーは自分なりのベストを尽くして仕事をしているため、仕事を全否定で叱るのではなく、相手を褒めながら叱る方がモチベーションが下がりにくい

最後に、仕事でミスをした部下に怒る場面での対応方法について確認していきましょう。

部下に怒る場面は対応が特に難しく、間違えると部下のモチベーションを大きく下げてしまう可能性があるため、タイプを見極めて怒り方を工夫してみてください。

反対のタイプの人とのコミュニケーション例

ここまで、4つのタイプを紹介しましたが、自身のタイプとはまったく反対のタイプとコミュニケーションをとる必要がある場合、どのように対話をすればいいのでしょうか?

ここからは、それぞれ反対のタイプの人とのコミュニケーションの取り方について解説します。

コントローラータイプとサポータータイプ

まずは、コントローラータイプとサポータータイプが対話をする際の注意点について解説します。

コントローラーがあなたでサポーターが部下の場合、サポーターはあなたからの要望にできるだけ応えるようにがんばります。その一方で、あなたから認められることも望んでいます。

そのため、結果について褒めるだけでなく、その過程もしっかりと認めて褒めてあげましょう。

反対に、自分がサポーターでコントローラーが部下の場合、部下は決断や判断が的確で早い人を尊敬する傾向にあります。

しかし、サポーターのあなたは決断スピードが遅くなりがちなため、コントローラーの部下から軽視されてしまう可能性があります。

そのため、できるだけいい切りの言葉を意識して使い、簡潔にこちらの意志を言葉でしっかりと表現することが大切です。

プロモータータイプとアナライザータイプ

次に、プロモータータイプとサポータータイプが接するときの注意点について解説します。

プロモーターがあなたの場合、アナライザーの部下は細かく練られた計画や確実に遂行できることを望んでいるため、プロモーターの自由さや臨機応変さはお互いにあわないでしょう。

接するときには、具体的さや正確さを意識してみてください。何か仕事を依頼する場合は、目的や根拠が明確であり、正しいデータなのかを考えながら提案していきましょう。

反対にアナライザーがあなたの場合、プロモーターの部下による思いつき行動が目につくことがあるかもしれません。

プロモーターはプロモーターなりの考えや目的があって行動しているため、どのようなことを考えているのかを聞き出すようにしてください。

また、プロモーターを褒めるときは、わかりやすく大げさに褒めてあげるとモチベーションが上がりやすくなります。

コーチングにタイプ分け診断を活用する際に気をつけるポイント

ここまでタイプ別の診断について解説してきましたが、コーチングにタイプ別診断を活用する場合にはいくつかの注意点があります。

具体的にどのような点に気をつければいいのか、確認していきましょう。

タイプ分けは優劣をつけるものではない

ここまで紹介してきた4つのタイプには、それぞれ違った特徴がありますが、「コントローラーだから優れている」「アナライザーだから劣っている」ということではありません。

タイプ分けはその人をより深く知るための入り口であり、その人のタイプの傾向を観察するためのものです。

決して優劣をつけるものではないということを忘れないようにしましょう。

コーチングはすぐに効果が出るわけではない

コーチングは基本的に長期的に行うことで結果を出していくため、効果が出るまでにかなりの時間を要する場合もあります。

中には「すぐに効果が出る」と勘違いしている人もいるため、コーチングは短期間で効果が出るものではないことを再認識することが必要です。

また、タイプ別診断を活用してコーチングを行うと、今まで気付かなかった新しいアプローチ方法を試せる可能性もあります。

相手にはどんなアプローチ方法が効果的なのか、タイプ別の特徴を確認しながら、効果的な方法を探してみましょう。

4つのタイプを理解したうえでコーチングを取り入れましょう

コーチングを実施する際、相手が4つのどのタイプにあたるのかを見分けることで、より効果的にコーチングを行えるようになります。

タイプによって効果的な褒め方、怒り方も違ってきますので、対応を間違えないように、慎重にタイプを見分けることが大切です。

ただし、人は単純に4つのタイプだけに分かれるわけではありません。

そのため、安易にタイプ分けによって相手の性格を決めつけず、あくまで参考程度に考え、実際にコミュニケーションをとっていく中で相手をより深く理解していきましょう。