コーチとして活動していくにあたり、子どもを対象にした「チャイルドコーチング」に興味がある方は少なくありません。

子どもの自発性を育て、潜在能力を引き出せる可能性があるチャイルドコーチングは、教育現場や家庭など多方面から注目されています。

そこでこの記事では、チャイルドコーチングの仕事内容に加え、チャイルドコーチングに関する資格の種類やメリットについて、詳しく解説します。

チャイルドコーチングとは

チャイルドコーチングとは、子どもを対象としたコーチングのことです。子どもが自分自身の力で答えや解決策を導き出せるようにしていくコミュニケーション技術を指します。

この章では、チャイルドコーチングの仕事内容、そしてチャイルドコーチングが注目されている理由について解説します。

チャイルドコーチングの仕事内容

チャイルドコーチングは、子どもとコミュニケーションをとっていく中で、子ども自身が考えて行動し、前向きに生きていく力を付けるサポートをする仕事です。その中で、以下の技術が必要になります。

  • 子どもの話を五感を用いてしっかりと聴く
  • 子ども自身が自発的に考え行動できるよう質問をする
  • 子どもの意見や行動を認め、共感や尊重をする

このように、子どもが自発的に考え行動できるよう、答えが「イエス」「ノー」ではなく、考えて答える必要がある質問をし、その意見や行動を認め尊重します。

幼児期を含め子どもがクライアントとなるため、教育や子育て、子どもについての知識を身につける必要があるのに加え、成長過程によってコミュニケーションの取り方も工夫する必要があります。

チャイルドコーチングが注目されている理由

昨今は、新型コロナウイルス感染症の流行によって制限が多い暮らしとなってしまったことや、今と昔の子どもを取り巻く環境の変化などさまざまな事柄から、ストレスや不安を抱える子どもが増えています。

そんな時、チャイルドコーチングを行うと、子どもが抱えているストレスや不安を引き出せるのに加え、子どもの潜在能力や資質を引き出すことも可能です。

また、子どもが前向きに生きていくためのサポートもでき、家庭教育にも生かせるため、幼稚園や保育園をはじめ、子どもに関わる場所でチャイルドコーチングの需要が高まっています。

チャイルドコーチングとチャイルドマインダーの違い

チャイルドコーチングの他に、「チャイルドマインダー」がありますが、これらは何が違うのでしょうか。どちらも、子どもに関係する点では同じであるものの、実は大きな違いが3つあります。

子どもの対象年齢が違う

1つ目は、対象年齢の違いです。

チャイルドコーチングは、対象年齢が1歳から18歳までと幅広い一方、チャイルドマインダーの対象年齢は、0歳から12歳までの子どもを対象としています。

チャイルドコーチングは、子どもとコミュニケーションをとる手法のため、会話ができる幼児期からの子どもが対象となりますが、チャイルドマインダーは保育をするため、0歳から12歳までの子どもが対象となっているのです。

仕事内容が違う

チャイルドコーチングチャイルドマインダー
自発的に行動できるよう成長をサポートする家庭内で保育のサポートをする

2つ目は、仕事内容です。

チャイルドコーチングは民間資格を持ち、子どもが成長していく中で自発的に考え、行動ができるよう成長をサポートしていくのが仕事の内容となっています。

一方、チャイルドマインダーは民間資格を持つベビーシッターに近い仕事になっており、1人から3人の子どもを家庭内で保育するというのが仕事内容です。

子どもの精神面をサポートするのか、保育を目的に仕事をするのか、において違いがあります。

働き方が違う

3つ目は、働き方です。

チャイルドコーチングについては、働き方が限定されていません。例えば、学校や教育機関の職員がチャイルドコーチングを取り入れるケースや、セミナー講師が資格を取得して現場で活用するケースなどがあります。

チャイルドコーチングは勉強のみならず、子どものさまざまな可能性や能力を引き出すことが目的となるため、あらゆる場面で活用できます。

一方、チャイルドマインダーについては、子どもの「保育」が目的となるため、家庭保育に限定した働き方となります。

チャイルドコーチングの資格の種類

チャイルドコーチングの資格は民間資格となっており、難易度もそれほど高くありません。

資格の種類としては2種類あり、資格取得の方法がそれぞれで異なるため、以下で詳しく解説します。

1.チャイルドコーチングアドバイザー資格

チャイルドコーチングアドバイザー資格は、一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)が認定する民間資格です。

この資格は、子育ての知識から親子関係についての知識、コーチングに必要な「聴くこと・質問すること・承認すること・共感すること」について学習し、さまざまな場面で対応できることを証明する資格となっています。

資格を取得することでコーチングのみならず、子育てや子どもに関する知識が身についていることを証明できます。

JADPが認定する通信講座を受講し、全カリキュラムを修了することで、チャイルドコーチングアドバイザーの受験資格を得られます。ただし、その後必ず自宅で検定試験を受験し合格する必要がありますので、通信講座受講だけで終わらないよう注意が必要です。

2.チャイルドコーチングマイスター資格

チャイルドコーチングマイスター資格は、一般社団法人 日本能力教育促進協会(JAFA)が認定する資格です。

子どもとの信頼関係を築いて、子ども一人一人の個性を尊重し、将来子どもが自己を律するスキルまで持てるようになることを目的とした資格です。子どもと関わる仕事に就いている方はもちろん、家庭での子育てにも大いに役立ちます。

チャイルドコーチングマイスター資格も、JAFAが認定する通信講座での受講が必須となり、受講終了後は認定講座が実施するWeb試験を受験することで資格取得ができます。

チャイルドコーチングの資格を取得するメリット

ここでは、資格を取得したことで得られるメリットについて解説します。

子どもの潜在能力を引き出せる

チャイルドコーチングの資格を取得することで、子どもの潜在能力を引き出すコミュニケーションスキルを身につけられます。

子どもとの対話の中で潜在能力を引き出すことができれば、勉強のみならず、さまざまな所で意欲的に考え行動できるようになるでしょう。

また、子どもが自身の潜在能力や資質に気づけると「それを伸ばすために、次はどのようにしたらいいのか」と繰り返しコーチングができ、結果として子どもが自発的に行動する力を身につけられます。

コーチングスキルを子ども以外にも生かせる

チャイルドコーチングの資格を取得する際は、子どもに対してだけでなく、基本的なコーチングの技術も身につくようカリキュラムが組まれています。

そのため、チャイルドコーチングのみならず、子ども以外のコーチングにも生かせます。例えば、子育てに悩む母親へのコーチングや、自分自身の子育てにも活用できる点は大きなメリットです。

保育士としてのキャリアアップにつながる

現在、保育士として働いている方にとっては、チャイルドコーチングの資格取得がキャリアアップにつながる可能性があります。

チャイルドコーチングによって、子どもの話にしっかりと耳を傾けたり、肯定したりする力を身につけることで、子どもの行動や考えを理解しやすくなります。

また、子ども同士の人間関係の問題などもチャイルドコーチングの資格を取得することで、解決しやすくなります。

チャイルドコーチングの活用により、子どもたちとの信頼関係を深め、問題を円滑に解決できれば、職場でも重宝される人材になるでしょう。

子どもの個性や状況に対応して健やかな成長を導ける

子どもには一人一人違った個性があり、育児の参考書や他人の子育ての話を参考にしても、当てはまらない場面が多々あります。

しかし、チャイルドコーチングの資格取得では、子どもと向き合いコミュニケーションを取る技術が身に付きますので、子どもの個性や今置かれている状況を把握しやすくなります。

これまで「できない」で終わらせていたこともチャイルドコーチングを行うことで、子ども自身に「どうすればできるのか」を考える力と、自発的に行動する力が備わっていきます。

いじめによる悩みなどを解決へ導けるようになる

チャイルドコーチングの資格を取得すると、五感を使って子どもの話を聴いていく技術が身に付きます。そのため、子どもがいじめを受けている場合や悩みがある時にも、子どもの感情の変化に気づきやすくなるでしょう。

チャイルドコーチングの技術を用いて一緒に解決策を模索してあげられれば、子どもが自分で考え行動し、これから先の成長過程でぶつかるであろう困難な壁にも自分自身の力で対応できるような力を備えることも可能となります。

保育園だけでなく幼稚園や児童福祉施設、塾でも生かせる

チャイルドコーチングは、幼児期の保育園や幼稚園以外にも、児童福祉施設や塾、習い事のコーチなど、教育や子どもに関わるさまざまな場所で活用できます。

子どものみならず、子どもを持つ親向けのセミナーや、子どもに関わる方向けのセミナーなど、大人向けにチャイルドコーチングのセミナーを開催することも可能です。

チャイルドコーチングで起業する場合の手順

チャイルドコーチングは働く場所が限定されないため、スキルさえあればコーチとして起業をすることも可能です。

ここからは、チャイルドコーチングで起業する場合の手順を解説しますので、将来起業や独立を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

チャイルドコーチングの資格を取得する

チャイルドコーチングのコーチとして起業する場合、まずは資格を取得することから検討してみてください。

コーチングの仕事は資格がなくてもできますが、その場合集客がしにくくなるというデメリットがあります。

資格取得については、前述した2種類の資格があり、それぞれ特徴が異なるため、内容を確認したうえで、どちらの資格を取得するか決めるようにしてください。

事業の内容や目標を決める

続いて、事業の内容や目標を決めていきましょう。起業するにあたって、どのようなチャイルドコーチングをしていきたいのかは、起業のスタイルによって事業内容が変わります。

  • 個人サロンを開業する場合

対面あるいはオンラインでチャイルドコーチングを実践する場合は、個人サロンがおすすめです。対面の場合は部屋を借りる必要があり、初期費用がかかりますが、オンラインでの開業であればその必要はありません。ただし、オンラインでコーチングを行う際は、インターネットの環境を整えておくようにしてください。

  • ブログやSNSを通じて開業する場合

ブログやSNSでチャイルドコーチングについて発信したい方や、子育てへの生かし方などを発信したい方におすすめです。この場合、ブログでの広告収入など、アフィリエイト報酬が収入となるため、収入を得られるまでに時間がかかることを認識しておきましょう。

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チャイルドコーチング事業の集客をはじめる

事業の内容や目標が決定したら、集客をします。

インターネットでの集客方法であれば、ホームページの作成や、ブログやSNSを使った集客などがあります。インターネット以外であれば、知人や友人に声をかけて個人サロンに足を運んでもらったり、ブログやSNSを見てもらい周りに広めてもらったりするのも効果的でしょう。

また、スキルマーケットなどを活用して集客をすることも可能です。はじめのうちは相場よりも安い料金を設定してクライアント数や知名度をあげていき、少しずつ値段の設定をあげていくのも効果的です。

SNSやホームページでの集客のみでは「SNSのフォロワー数を地道に増やす」「ホームページのSEO対策が必要」といった作業が必要となるため、集客までに時間がかかります。そのため、スキルマーケットや知人、友人の力なども借りながら、集客をしていきましょう。

仕事内容を理解してチャイルドコーチングに挑戦しましょう

チャイルドコーチングの技術を習得すると、子どもが未来に向かって前向きに、自らの力で考え行動できるようサポートできます。

教育関係の仕事をしている方だけでなく、子育てをしている方も活用できるのは大きな魅力です。

チャイルドコーチングの資格は通信講座での取得が可能ですし、自宅から受験ができ、難易度もそれほど高くないため、比較的とりやすい資格といえます。

「子どもに特化したコーチングを提供したい」「子どもと関わる仕事をしたい」という方は、ぜひ検討してみてください。