近年は、一般的なビジネスコーチングだけでなく、経営者や経営幹部に向けて行う「エグゼクティブコーチング」の需要が高まっています。

そこでこの記事では、エグゼクティブコーチングの仕事内容や目的、取り入れるメリットついて詳しく解説します。

「エグゼクティブコーチングの仕事内容を知りたい」「具体的な手順を知りたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

エグゼクティブコーチングとは

エグゼクティブコーチングは、企業の経営幹部の方々が、より一層優れたリーダーとして周囲に肯定的な影響を及ぼせるよう、意識変革や行動変革をしていくためのコーチングです。

ここからは、エグゼクティブコーチングの3つの特徴を解説します。

エグゼクティブコーチングの仕事内容

そもそもコーチングは、対話を通じて相手の自己表現や目標達成を支援する手法のことを指します。

自発的な行動や自発的な成長を促すことを目的としており、相手の話をよく聴き、質問を投げかけ、得られた回答から相手をゴールまで導きます。

また、一般的なビジネスコーチングでは、自己実現や自己目標を達成することを目的としています。

一方でエグゼクティブコーチングは、経営層や経営幹部がコーチングを通じて組織の課題を解決させると同時に、ビジネスで成果を上げること、経営者自身の悩みを解決することなどを目的としています。

エグゼクティブコーチングが必要とされる理由

近年は、新型コロナウイルス感染症などにより、市場予測が年々難しくなっています。

企業の経営幹部はそんな状況の中でも、未来を見通し、組織を正しい方向に向けられるスキルと、冷静な判断力を持ったリーダー像が求められます。

エグゼクティブコーチングでは、「恐怖や不安に対してどのように対処するか」という観点のアプローチを行うことが可能なため、経営幹部にとっては、時代の変化に対応する有効な手段の一つとされているのです。

不安定になりがちな現代でも、成果を見込める戦略を立案し、生き残ることのできるリーダーの育成を目指せるのも、エグゼクティブコーチングの魅力といえるでしょう。

ビジネスコーチングとの違い

ビジネスコーチングは、主にビジネスパーソンを対象としています。上司が部下に対してコーチングを行うことで、組織力を高める、あるいは成果を上げるなど、部下の自発性を促すことを目的としています。

多くの企業で研修として取り入れられており、部下の育成や職場課題の解決などをテーマとしています。

それに対し、エグゼクティブコーチングは、企業の経営幹部を対象としています。企業の経営戦略や意思決定、課題解決など、経営に関するテーマに絞って行われることが一般的です。

また、経営者自身の個人的な問題や悩みが日々の業務に支障をきたしている場合は、それらに関する悩みや相談にも、エグゼクティブコーチングを活用できます。

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エグゼクティブコーチングの3つの目的

エグゼクティブコーチングは、主にどのようなことを目的として行われるのでしょうか?

ここでは、エグゼクティブコーチングの目的について、それぞれ解説します。

目的1.経営者の相談相手をつくる

エグゼクティブコーチングの対象者は、社長をはじめとした経営陣や経営幹部候補など、事業全般に責任を持つ人々です。

経営者層は、自身の判断次第で社運を左右させる可能性もあることから、ビジネスに関する悩みや課題を打ち明けられる相談相手がいない方が多く、孤独感を感じやすい立場です。

また、第三者に悩みを相談するとなると、自社の機密情報や社内情報が外部に流出してしまうリスクを考慮する必要があります。

その点、エグゼクティブコーチングは守秘義務のあるコーチが相談相手になるため、悩みや課題解決に対して、向きあいやすいです。

なお、エグゼクティブコーチングを担当するコーチは、クライアントの味方となって寄り添うため、経営者の精神的な負荷を軽減できるほか、問題についてのヒントも探ってもらえます。

人には気軽に話せない悩みを、ともに考えてくれる相手がいることは、大きなメリットといえるでしょう。

目的2.経営幹部になる候補者を育てる

エグゼクティブコーチングは、現役の経営者に限らず、将来会社を担うであろう人材にも有用です。

経営者は社会環境や市場の動きを観察し、マクロ的観点からビジネスを捉える必要があります。

エグゼクティブコーチは、そのような経営者の考え方や思考のプロセスを熟知しているため、経験がない幹部候補者であっても、経営に必要なスキル、思考プロセスを学ぶことができます。

エグゼクティブコーチングによって、より高い意識を持って行動計画を立てられるほか、思考力も養えるため、エグゼクティブコーチングは幹部候補者にも向いているのです。

目的3.経営者を安定した精神状態にする

経営者は、常に大きなプレッシャーや責任を背負っています。それゆえに、経営者が精神的に不安定な状態に陥ってしまうと、決断が迫られた場面で、適切な判断ができない可能性もあるでしょう。

その点、エグゼクティブコーチングは、経営者の精神面の強化になり、悩みや課題を整理することもできます。

また、決断に迫られている場合、次の一手が明確になることで不安の軽減にもつながります。このように、エグゼクティブコーチングでは、安定した精神状態を維持することにも役立つのです。

エグゼクティブコーチングの料金

エグゼクティブコーチングの料金相場は、1回のセッションあたり5万円〜10万円前後、もしくはそれ以上の場合もあり、コーチによって大きく変動します。

エグゼクティブコーチングは、取り扱うテーマが高度であることや、高いスキルを持つコーチを選定する必要があることなどから、一般的なコーチングよりも料金が高く設定される傾向にあります。

コーチングを利用する経営者としては、高い料金に見合ったコーチングを受けられるコーチを慎重に探すことが大切です。

エグゼクティブコーチングの手順

では、実際にエグゼクティブコーチングはどのような手順で進められるのでしょうか?

ここからは、エグゼクティブコーチングを実施する大まかな手順について解説します。

意思の確認と事前のヒアリングを行う

一般的にエグゼクティブコーチングは、通常のコーチング同様、1対1の対話で行われます。また、コーチングを行うにあたって、まずは意思の確認と事前のヒアリングを行います。

コーチは、お互いの信頼関係を築くために、クライアントの様子をうかがいながら、対話のテーマや時間を調整します。そのほかに、クライアントの部下などにもヒアリングを行い、多角的な視点からクライアントに関する情報収集を行います。

それらを踏まえたうえで、クライアントとともにすり合わせをしながら、課題解決やゴール設定を進めていきます。

セッションを行う

意思の確認と事前のヒアリングを終えると、実際にコーチングセッションに移行します。セッションでは毎回テーマを設定し、対話を通じてクライアントが解決すべき課題や目標を探ります。

課題や目標が明確になったら、課題解決や目標達成までのプロセスや、必要なアクションについて検討します。

セッションの最後には、次回までの目標となる具体的なアクションをクライアントとともに決定し、終了となります。

エグゼクティブコーチングの内容を振り返る

エグゼクティブコーチングは、ビジネスに関する課題解決や目標達成を目的としています。そのためセッションの終了後には、クライアントとともに成果の達成度について確認と振り返りを行います。

クライアント自身や組織全体に、どのような変化があったのか、できる限り客観的な指標とともに確認を行います。

エグゼクティブコーチングをするメリットや成果

ここでは、エグゼクティブコーチングを受けることでクライアントが得られる、メリットや成果について見ていきましょう。

経営者の意識や行動の改革につながる

予測が困難な経営の世界において、経営幹部の判断はとても重要です。経営陣の判断や行動が遅くなれば遅くなるほど、会社全体の動きも鈍くなりますし、悪い方向に進む場合もあります。

エグゼクティブコーチングでは、そのような経営者の悩みや課題を主なテーマとして扱います。エグゼクティブコーチングによって得た知識や対話は、経営者の意識改革や行動改革につながり、経営者としてのスキルもアップします。

また、会社の中心となる経営幹部の意識や行動の変化は、部下の意識、行動の変化にも影響を与えます。

そのため、経営者や経営幹部がエグゼクティブコーチングを受けることにより、組織全体により良い影響を与えられるというメリットがあるのです。

意思決定が早く確実にできるようになる

経営者は常に選択と決断に迫られ、大きなプレッシャーや焦燥感を覚える人も少なくありません。

エグゼクティブコーチングでは、そのような不安や焦りなどへの対処法に関してアプローチを行うことで、クライアントにとっての精神的な支えにもつながります。

また、最終的な意思決定は経営者自身が下しますが、意志決定に至るまでのプロセスについてコーチからサポートを受けることで、一人で悩むよりも冷静で適切な判断ができるようになります。

組織全体に好影響をもたらせる

経営幹部の意識、行動変化は、社員や部下の変化にもつながります。

また、エグゼクティブコーチングを通じて、クライアント自身もコーチングのスキルを身につけられると、社内でのより良いコミュニケーションがとれるようになるでしょう。

結果として、会社全体の雰囲気が改善され、組織全体の風土も変わっていくのです。

ポジティブな感性を持てる

エグゼクティブコーチングに限らず、コーチングでは「自分がどの立場に立っていて、どのようなことをすれば抱えている悩みや課題が解決されるのか」を、常にクライアント自身で考え、解決していきます。

このプロセスを繰り返すことで、これまでの価値観や考え方に変化が起こった結果、ともに働く従業員に対しても肯定的な考え方や捉え方で接することができるようになります。

例えば、これまで社員の失敗を一切許容できなかった経営者が、エグゼクティブコーチングを受けることで、失敗した社員に対しての見方が変わり「次はどのように行動させるべきか」などポジティブな見方ができるといった効果もあります。

エグゼクティブコーチングにより、経営者自身の変化や成長につながることも、大きなメリットといえるでしょう。

エグゼクティブコーチングを利用して経営幹部の成長につなげましょう

エグゼクティブコーチングは、経営者自身の意識や行動改革につながり、組織全体に良い影響を与えます。

ただし、一般的なビジネスコーチングよりも費用が高く、コーチを選ぶ基準も厳しいものとなります。

そのため、コーチを選ぶ際は「ビジネスや経験経験が豊富か」「経営者のやる気を引き出せるか」「深い学びを支援してくれるか」の3つに着目してみてください。

資格や経歴だけで判断せず、傾聴する姿勢や費用についても、相場とサービス内容を比較しながらパートナーを選ぶことが重要です。