この記事では、コーチングスクールに通うメリット・デメリットや、スクールを選ぶポイントについて詳しく解説します。注意したい点についても触れているため、コーチングスクールについて知りたい方は、ぜひ最後までお読みください
コーチングには3つの分野がある
コーチングと言っても実は、3つの分野が存在します。それぞれの分野で得意としていることや活躍するフィールドが異なるため、まずは3つの分野についてそれぞれ確認していきましょう。
1.ライフコーチング
ライフコーチングは、コーチングという概念が誕生した初期のアメリカで始まったコーチングの分野です。パーソナルコーチングと呼ばれていることもあり、そちらのほうが馴染み深い方もいらっしゃるかもしれません。
ライフコーチングはその名のとおり、人生の全てに関わるコーチングです。人生における目標を見つけ、それを達成・実現するためにどのように進んでいけば良いのかをコーチと話しながら探していくというものです。
ライフコーチングは人生そのものを対象としているため、家族関係のことなのかキャリアのことなのか、あるいは金銭的なことなのかさまざまな分野を専門とするコーチが存在します。
2.ビジネスコーチング
ビジネスコーチングは、ビジネスシーンでの活用に特化したコーチングです。経営者や会社員を対象とし、組織全体の生産性向上や、モチベーションアップを図ります。
また、経営者や管理職の方が対象の場合は、エグゼクティブコーチングと呼ばれるコーチングもあります。
ビジネスシーンでの目標達成をメインとしているビジネスコーチングは人気が高く、ビジネスコーチングを専門としたコースを設置しているコーチングスクールも多いです。
3.スポーツコーチング
スポーツコーチングは基本的に、スポーツの分野で長く経験を積んできた方や、実績のある選手がなることが多いです。ライフコーチングやビジネスコーチングとは性質が異なるものの、根本的なコーチングの考え方は同じです。
ですが、スポーツコーチングで特に重要となるのは、メンタル面のコーチングです。試合や本番に向けての精神面のサポートから、モチベーションの向上など、幅広く対応していく必要があります。
コーチングスクールに通うメリット
ここからは、コーチングスクールに通うメリットについて解説します。コーチングスクールを検討している方は、通うことによってどのようなメリットが生じるのかを考えながら、読みすすめてみてください。
質の高い面談(セッション)ができるようになる
コーチングスクールに通い、スキルを習得できれば、質の高い面談を実施できるようになります。他の分野に比べてコーチングは、経験値に左右されづらいという特徴があるためです。
通常、採用面談などの場面では、聞き手のスキルに依存する部分がありますが、スクールに通うことでコーチングの「マニュアル」を手に入れられれば、これによって再現性の高い面談ができるようになります。
もちろん、心理的安全性の確保や、相手を観察しながらコミュニケーションを取るのが重要となるため、一筋縄ではいかない部分もあります。
同志や仲間が増える
コーチングを学びたい人同士が繋がるということは、コーチとして活動していくうえで大きな財産になります。お互いを高めあい、それぞれの実力を伸ばすことができれば、その後も良い関係を築けるでしょう。
同じ目的を持った人脈を得られるというのは、コーチングスキルを手に入れる以上に、実は大きなメリットと言えるかもしれません。
学ぶ環境に身を置くことができる
コーチングスクールに通うためには当然、費用がかかります。そのため「お金をかけたぶん、絶対にスキルを習得するぞ」というモチベーションに繋がります。
コーチングは独学も可能ですが、スクールに通うほうがスキルアップや効率という点でメリットが多いです。
コーチングの実践相手ができる
スクールに通えば、コーチングの実践相手ができます。スクールの仲間であれば、練習できるだけでなく、フィードバックを得ることも可能です。
何事も勉強した内容を効率よく定着させるには、実践練習を積むことが大切ですが、実践相手が常にいれば、それだけ早くスキルを習得できます。当然ながら、自分が練習相手になることもあるため、コーチングを受ける側の気付きも得やすいです。
コーチングスクールに通うデメリット
スクールに通うメリットに続いて、ここからはデメリットを解説します。
料金がかかる
コーチングスクールでは当然、スクールに通うためのお金がかかります。料金設定はスクールによってさまざまですが、数十万円かかることも少なくありません。
もちろん、1カ月だけ受講するというような場合であれば、数万円の出費で済むかもしれませんが、確実にコーチングスキルを定着させたいと思うのであれば、それ以上の金額が必要です。
受講するのに時間がかかる
コーチングスキルの取得は、マニュアルを読み込んで知識を詰め込むだけではありません。インプットした知識を実際にアウトプットし、フィードバックを受けることで少しずつ成長していきます。
そのため、コーチングスクールでは短くても半年〜1年のカリキュラムが組まれるケースが多いです。そうなると、仕事などで時間を確保しにくい人や、自分のペースで学習を進めたい人にとってはデメリットになるかもしれません。
マニュアル習得が目的になってしまうことがある
コーチングスキルを身に付ける理由や、達成したい目標は人それぞれです。しかし、コーチングスクールに通う人の中には、マニュアルの習得が目的になってしまう人も少なくありません。
大切なのは、「コーチングを身に付けることによって、自分がどうなりたいのか」という点です。マニュアルを習得したからと言って、良いコーチングを提供できるわけではないことを肝に銘じておきましょう。
コーチングスクールを選ぶポイント
「コーチングスクールに通いたい」と思っても、どんなコーチングスクールが自分に合っているのか、始めのうちは分からない方が多いです。ここからは、コーチングスクールを選ぶ際のポイントを解説します。
国際コーチング連盟(ICF)認定プログラムかどうか
コーチングスクールを選ぶ際、一つの目安になるのが「国際コーチング連盟認定プログラム」として、登録されているかどうかです。
国際コーチング連盟(ICF)とはなにか
国際コーチング連盟(International Coaching Federation:以下ICF)は、アメリカで1995年に設立された非営利団体です。2021年時点では、世界150カ国で42,000を超える人が所属し、コーチング団体としては最大級、コーチングをしている人ならば知らない人はいないほど大きな団体となっています。
ICF認定プログラムの特徴
2022年現在、コーチングに関する国家資格は存在しません。そのため、実力が伴っていなくても「私はプロコーチです」と名乗ることができてしまいます。
そこで一目置かれているのが、ICF認定プログラムです。ICFでは3つの資格を発行しており、コーチとしての熟練度が高い順にMCC、PCC、ACCがあります。現在日本人全体ではMCCが47人、PCCが333人、ACCが360人となっています。
ICFの認定プログラムは世界基準の品質であるため、ICF認定プログラムであるかどうかを一つの判断材料にするのも有用と言えます。
学習する環境が整っているかどうか
コーチングスクールがどのような学習環境を整えているかどうかも、大切な見極めポイントです。
授業の録画動画を見られるか
授業の録画動画を見られれば、一度では理解できなかったポイントを復習できたり、新しい気付きを得たりすることができます。
対面のコーチングスクールでは、授業の録画をしないケースもあるため、録画動画を見返しながら勉強をしたいと考えている方は、オンラインでのコーチングスクールを選ぶのもおすすめです。
講師からフィードバックはあるか
コーチから「フィードバックがあるかどうか」も大切です。プロコーチから直接フィードバックを受けることで、さらなるスキルアップが実現します。
例えば受講生同士での練習や、自分が録音した面談に対してのフィードバックがもらえれば、課題がすぐに分かり、成長スピードも早まるでしょう。
コーチングのプロである講師から、どれぐらいのフィードバックが可能なのかを事前に確認しておけば、スクールに通い始めてから不満を抱く機会も少なくなります。
実践的な授業かどうか
コーチングは椅子に座って授業を聞いているだけで実力が向上するものではありません。スポーツと同様、実践練習を繰り返すのが一番のスキルアップに繋がります。
そのため、コーチングスクールを選ぶときには「授業内にどれだけ実践の機会があるか」にも注目してください。
具体的には、受講生同士の練習時間や、その中で得た気付きを共有する時間がどれぐらい設けられているか、という点です。もちろん、座学も必要ですが、それ以上にコーチングでは実践の時間とその振り返りの時間が重要となります。
受講生同士のコミュニケーションは活発かどうか
これまで解説してきたように、コーチングスクールでは受講生同士の実践練習や反省の機会が設けられているケースが多いです。
そのため、受講生同士のコミュニケーションが活発に行われているかどうかも、コーチングスクールを選ぶうえで重要なポイントです。
当然、コミュニケーションは活発なほうが、数多く練習できますし、仲間からのフィードバックや気付きも得られます。授業を通して受講生同士が繋がり、スクール以外でもお互いを磨きあえるような環境が構築されれば、スキルアップという意味では理想的です。
コーチングのスタイルは自分に合っているかどうか
コーチングのスタイルには、コーチングスクールの数あるいはコーチの数だけあると言って過言ではありません。そのため、コーチングスキルを得て、どのように活用していきたいのかを考え、それにあったスタイルのスクールやコーチを選ぶことが大切です。
ただし、問いかけによって相手の言葉を引き出し、行動を促進するという根本的な考え方はどのスクール、コーチでも変わりません。そのため、初めてコーチングの勉強をする方は、あまり深く考えすぎなくても良いでしょう。
実際に無料セミナーなどを受けてみて、どのスタイルが自分に合っているのかを考えながらスクールを選ぶのも一つの手です。
自分に合ったコーチングスクールを選びましょう
コーチングは相手や自分の可能性を最大限に引き出し、目標達成を支援するコミュニケーションスキルです。コーチングスキルを身に付けると、職場での問題解決や人間関係の改善などに活用できるほか、副業または独立をしてコーチとして活動することもできます。
良いスクールなのか悪いスクールなのかは一概には言えませんが、最終的には「自分にとって良いのか、悪いのか」が重要です。この記事で紹介したポイントと、あなたの中にある判断軸を信じ、自分の意志で「通いたい」と思えるスクールを選んでください。