昨今、コーチングは子育てやビジネスにおける人材育成の手法として注目されています。そこでこの記事では、コーチングを学ぶメリットやコーチングを学ぶための具体的な方法、注意点を詳しく解説します。

あわせて、コーチングの資格についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

コーチングを学ぶメリット

まず、コーチングとは「答えを教える」のではなく、コミュニケーションによってコーチングする相手が「答えを導き出す」「答えを自分で作り出す」のをサポートする手法を指します。

コーチングに似た手法として「ティーチング」がありますが、ティーチングは「指導する」ことを目的としているため、指導者からの一方通行なコミュニケーションになりがちです。

一方、コーチングは話し合うことで相手から答えを導き出すのを目的としているため、ティーチングとは基本的に指導方法が異なります。

ここからは、コーチングを学ぶことによるメリットを具体的に見ていきましょう。

傾聴力や質問力が鍛えられる

コーチングを受ける相手は、コーチとのさまざまな対話を通じて新たな気付きを得られます。

例えば、今後のキャリアプランを議題に話し合いをする場合、自分一人で考えていてもぼんやりとしたプランしか思いつかなった人が、コーチングをきっかけに別の視点を持ち、自分を見つめ直すことができるようになるなどのケースです。

コーチングをする側も同様に、練習を重ねることで相手に対する「傾聴力」や、相手の気付きを促す「質問力」などが鍛えられます。

結果、人との対話や意思疎通が円滑になり、良好な人間関係を築けるようになるのです。

意思決定がしやすくなる

コーチングは、自分にとってより良いライフプランを考えたり、自分について理解を深めるきっかけにもなります。コーチングを通じて、課題や今後必要なアクションプランを導き出せれば、実行に移しやすくなります。

よって、自分自身に関することはもちろん、ビジネスや人間関係における意思決定においても、ベストな選択をしやすくなるというメリットがあるのです。

部下の育成や子育てに活用できる

前述のとおりコーチングは、 相手が本来持っている能力や、その可能性をできるだけ発揮できるよう支援するコミュニケーション技術です。そのため、正しいコーチングを学ぶことで、部下の育成や子育てにも活用できるようになります。

例えば、部下が仕事で問題に直面しているときに、コーチングによって「何が問題なのか」「どうすれば解決できるのか」を自分自身で見つけ出す手助けができると、部下の自信や成長につながります。

また、子どもも同様で、何かに悩んでいる子どもに対し、親が指示するのではなく、子どもが自身で答えを導き出せるようになると、自分で考えて実行できる人間として成長させることができるのです。

人生・価値観に良い影響がある

コーチングにはセルフコーチング(自分に対して行うコーチング)という手法もあり、自分自身を見つめ直すことで、自分についてより深く知ることができるのもメリットです。

現状は何に満足しているのか、反対に何が足りていないのかなどを考えることで、これからの人生において、自分は何に重点を置いて歩むべきかを整理できます。

人間関係やビジネスの面だけでなく、自分自身についても良い影響をもたらすのが、コーチングの大きな魅力です。

本業や副業として仕事にできる

コーチングを本格的に学ぶことで、将来的に仕事にすることも可能です。実際に、コーチングを一から学び、フリーランスとして活躍している方は少なくありません。

本業または副業を目的にコーチングを学びたい方は、コーチングスクールの利用や資格の取得をおすすめします。

関連記事:コーチングに必要な資格とは?種類や特徴を徹底解説

コーチングに必要なスキル

コーチングは相手とのコミュニケーションが重要となるため、対話に関するさまざまなスキルが求められます。ここからは、コーチングを行ううえで必要なスキルについて一緒に見ていきましょう。

傾聴するスキル

コーチングは相手の話をしっかり聞く力、つまり「傾聴するスキル」が必要となります。単純に話を聞いているだけでは意味がなく、相手の表情や声のトーン、話すスピードなどにも気を配ることが大切です。

例えば、相手の「大丈夫」という一言を聞いて、その言葉通りに受け取ってしまうのではなく、声のトーンや話し方から「大丈夫ではない」と感じ取れるようになりましょう。

そして、「事実としてどのような課題や問題を抱えているのか」と、相手の深層心理にある思いに注目しながら、しっかりと話を聞く必要があります。

このようにコーチングでは単純に「話を聞く」だけではなく、相手の話に共感しながら、深く丁寧に耳を傾けることが大切です。

質問するスキル

コーチングは「答えは相手の中にある」という考えのもと、相手から回答を自然に出せるように、質問を投げかけていきます。

その例として、

A:休みの日は何をしたい?

B:何でもいい

A:じゃあ山登りはどうかな?

B:山登りは気分じゃないな……

といったように、相手に問いかけを行うことにより、「何でもいい」であったり、「分からない」といった不明確な回答でも、好奇心を持って根気よく質問をしていく必要があります。

何度も丁寧に質問を重ねていくことで、相手が本当はどうしたいと思っているのかを自然に引き出していくことが重要です。

承認をするスタンス

コーチングでは基本的な姿勢として、相手の話を否定することなく、まずは承認するという点も大切にしています。

ここまで何度も紹介してきましたが、コーチングには「相手の頭の中に答えがある」「相手自身に回答を引き出させる」という前提があります。

そのため、コーチの価値観や世間での一般的な考え方はコーチングのセッションの場には不必要です。相手の答えが「あっている」「あっていない」といった形でコーチが判断する必要はないのです。

関連記事:コーチングに必要なスキルとは?3つの基本スキルを徹底解説

コーチングを学ぶ方法

ここからは実際にコーチングを学ぶ方法について詳しく解説します。さまざまな方法がありますので、自分にあった方法を選んでみてください。

自分がコーチングを受けてみる

コーチングに関する知識が全くない初心者の場合は、まずコーチングとはどういったものなのかを、自分が受けて体験してみることをおすすめします。

実際に受けることでコーチングの意味を理解できるほか、自分にあっているかどうかを見極める点でも有用です。コーチングを無料体験できるサービスもあるので、ぜひ活用してみてください。

本を使って独学する

コーチングの認知度が高まり、近頃はコーチング関連の書籍が数多く出版されています。そのため、コーチングについて詳しく知りたいと考えたときに、本を通して学ぶこともできる環境が整ってきています。

コーチングスクールに通う時間がない方や、費用面で難しいという方も本であれば自宅でマイペースに学べます。手軽に知識を得たい人にはおすすめの方法です。

関連記事:コーチングを学ぶのにおすすめの本11選!初心者向けに厳選

セミナーや企業の研修を受講する

コーチングを単発のセミナーで受講したり、企業での研修を受ける方法もあります。

インターネットで調べたり、本を読んでも分からなかったりする内容があっても、セミナーや研修であればその場で質問ができる点がメリットです。

有料の場合は10,000〜20,000円が相場ですが、中には無料で受講できるオンラインセミナーもあります。ただし、単発のセミナーや企業の研修だけでは、コーチとして教えられるほどの技術が身に付きにくいため、本格的に学びたい方はスクールに通うことをおすすめします。

スクールで学んで資格を取得する

本業または副業として先々コーチングをしたいと考える方は、スクールに通い、資格を取得するところから始めるのがおすすめです。

本を読んで知識を得ても実際にできるかどうかは別問題のため、プロから学び、実践していくほうがより確実です。

日本国内には多くのコーチングスクールがあり、それぞれで取得できる認定資格や費用が異なるため、受講する前に比較・検討してみてください。

コーチングを学ぶ際の注意点

コーチングを学ぶ際には注意すべき点があります。ここからは、コーチングを学ぶ際に、あらかじめ知っておきたい注意点について解説します。

独学だとコーチとして活躍しづらい

独学の場合、コストを抑えられる一方で、実際に練習する機会が少ないためコーチングスキルが身に付きにくいというデメリットがあります。

くわえて、コーチングを練習するためにサポートしてもらえる相手を見つけなければ、フィードバックがされず、正しいコーチングができているのかを確認できないまま進めることになってしまいます。

コーチングの考え方や姿勢を取り入れたいだけであれば独学で良いものの、正しいコーチング方法を本格的に身に付けたい方はコーチングスクールがおすすめです。

実践する場がないと身に付きづらい

コーチングの技術は、ひたすら練習を重ねることでしか「傾聴する力」や「質問力」を鍛えられません。

そのため、本を読んで得た知識だけでなく、実際にコーチングを実践しなければ、身に付きづらいというデメリットがあります。

その点、コーチングスクールではコーチングを実践する場が多く設けられています。そのため独学の場合は、一緒に練習してくれる相手や、フィードバックをしてもらえる相手を探す必要があることを忘れないでください。

自分に合ったコーチングの理論や方法を取り入れる

コーチングといっても全てが同じではなく、コーチングスクールによって理論や方法に違いがあります。

例えば、ビジネスの分野だけにとどまらず、家族や友人関係に関わるコーチングや、心理学を活かしたコーチングをはじめ、子どもの教育に関わるコーチングなどさまざまです。

まずは自身が何を目指したいのか、誰のためにコーチングをしたいのかを明確にし、どのコーチング理論を取り入れるのが良いのかを選択しましょう。

大きな金額を投資しすぎない

コーチングを学ぶために、いきなり多額の費用を投資するのはおすすめしません。なぜなら、実際に学んでみたあとに、コーチングが自分に向いていないと気付く可能性もあるからです。

まずは少額でも学べる方法でコーチングについて知り、自身に向いているか、もっと詳しく学びたいという気持ちになるかを確認したうえで、必要な費用を見極めてください。

コーチングについてよくある質問

最後にコーチングについてよくある質問を紹介します。ぜひ参考にしてください。

コーチングは資格がなくてもできる?

結論からお伝えすると、コーチングを行うために資格は必要ありません。

なぜならコーチングトレーナーは資格がなくても活動できるからです。ただし、資格を取得すると、コーチングの知識や経験、専門性の証明には役立ちます。

関連記事:コーチングに必要な資格とは?種類や特徴を徹底解説

コーチングの具体的な仕事内容は何?

コーチングトレーナーが担う具体的な仕事内容としては、クライアントが目指す目標達成に近づける、あるいはその目標を達成させることです。

コーチングではコーチが答えを考えるのではなく、クライアントが自主的に課題や問題に気付けるように導き、実践していきます。

クライアントが主体性を出しながら、目標達成のためにできる限りのサポートをしていくことがトレーナーとして求められる仕事となっています。

一般的にトレーナーの仕事としては「パーソナルコーチング(個人相手の1on1セッション)」「企業研修、人材育成」「セミナーでの講師」「スポーツコーチ」などといった、さまざまな場面で幅広く活動できます。

関連記事:コーチングの仕事内容とは?年収水準についても解説

コーチングで起業や副業はできる?

コーチングでの起業、または副業として仕事にすることは可能です。主なメリットとして以下のようなものがあります。

  • コーチングのスキルを身に付けることで多く稼ぐことも可能
  • 資格がなくても始められる
  • 自分の好きな場所や時間に仕事ができる

また、副業の場合は料金を高く設定する必要がないため、コーチングを求めるクライアントに出会いやすい、といった特徴があります。その一方でデメリットには以下のようなものがあります。

  • クライアントがすぐにつくとは限らない
  • 信頼関係の構築に時間がかかる
  • 副業の場合、本業との両立が難しい

メリットとデメリットを踏まえたうえで、慎重に検討することをおすすめします。

自分に合った方法でコーチングを学びましょう

この記事では、コーチングを学ぶ方法やメリットについて紹介しました。昨今、注目を浴びるコーチングですが、コーチングは相手の成長を促すだけでなく、自身の成長にもつながります。

コーチングを学ぶにはいくつかの方法があり、本格的にスキルを身に付けたいという方は、資格取得を目指すのもおすすめです。

また、実際に自分でコーチングを受けてみるという経験も非常に重要です。コーチングを通じて得られたものは、今後きっとあらゆる場面で活用でき、先々のキャリアを考えるうえでも大いに役立ちます。