スポーツに関係する仕事に興味がある方の中には、「コーチングアシスタントがどんな仕事か分からない」という方が多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、コーチングアシスタントの仕事内容や資格取得のメリット、注意点から資格を取る方法を詳しく解説します。
「スポーツリーダー」との違いや「コーチングアシスタント」への移行方法についても触れていますので、コーチングアシスタントついて興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
コーチングアシスタントとは公認スポーツ指導者資格のこと
コーチングアシスタントとは、公認スポーツ指導者資格のことで、JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)が養成するスポーツ指導者資格の一つです。
公認スポーツ認定資格はライフステージによって種類が異なり、合計で18種類あるのが特徴です。これらの資格は、以下の5領域に大きく分けられます。
- スポーツ指導者基礎資格
- フィットネス資格
- マネジメント指導者資格
- 競技別指導者資格
- メディカル・コンディショニング資格
コーチングアシスタントは、上記の中の「スポーツ指導者基礎資格」にあたります。
次項からは、コーチングアシスタントとは具体的にどのような資格なのか、またスポーツリーダーとの違いなどについて順番に解説します。
コーチングアシスタントの資格について
コーチングアシスタントの資格は、地域活動でのスポーツグループやサークルなどにおいて、上位資格者を補佐する人として、基礎的なスポーツ指導や運営にあたることができる資格です。
5つの領域に分かれた公認スポーツ指導者資格の中の「スポーツ指導者基礎資格」に該当します。
他の公認スポーツ指導者資格と同様に、登録・更新が必要な資格として2020年4月から新設されました。
スポーツ指導者基礎資格には、コーチングアシスタントの他に「スポーツリーダー」があります。
ただし、スポーツリーダーの資格は、コーチングアシスタント資格の設立とともに段階的に養成期間終了となる予定です。
コーチングアシスタント資格に向いている人
コーチングアシスタント資格は、以下のような人に向いています。
- スポーツが好きでスポーツを教えることにやりがいを感じられる人
- スポーツ指導者になりたい人
- コミュニケーション能力に長けている人
- 分けへだてなく接することができる人
- 学校運動部活動の顧問教員や指導員の人
コーチングアシスタントに向いているのは、スポーツが好きで指導者になりたい人、スポーツをする方を支えたい人であることが前提です。
また、地域のスポーツグループやサークルなどに所属する人を楽しくサポートするには、コミュニケーション能力が高い人や、分けへだてなく誰とでも触れ合える人が向いています。
なお、公認スポーツ指導者資格を持っていない学校運動部活動の顧問教員や指導員の方は、資格を取得することで生徒に正しいストレッチの方法を伝えられるなどのメリットがあるでしょう。
コーチングアシスタントとスポーツリーダーの違い
資格認定期間 | 登録料 | 認定後のサービス | |
スポーツリーダー資格 | 永年 | 無し | 無し |
コーチングアシスタント資格 | 4年更新 | 基本登録料 10,000円初回登録手数料 3,000円(2023年4月1日より3,300円) | ・情報誌「Sport Japan」配布・スポーツ指導者手帳の受領・日本スポーツ協会などが実施する研修への参加・公認スポーツ指導者総合保険制度への加入・「指導者マイページ」のコンテンツ利用 |
※2022年8月時点
スポーツリーダーは、地域におけるスポーツグループやサークルのリーダーとして、基礎的なスポーツ指導や運営に携わることを目的に設立された資格です。
スポーツリーダーの資格は永年認定であるため、一度取得すると、継続して学ぶ必要がなくなります。それに対し、新設されたコーチングアシスタントの資格は4年ごとに更新が必要です。
そのため、コーチングアシスタントはスポーツリーダーとは違い、定期的な情報誌の入手や、研修への参加などにより、常にスポーツ指導者として最新の情報を取得して学び続ける必要があります。
コーチングアシスタントの資格を取るメリット
それでは、コーチングアシスタントの資格取得には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、コーチングアシスタントの資格取得のメリットについて紹介します。
スポーツに関わる仕事への就職や転職が見込める
コーチングアシスタントの資格を取得することによって、スポーツに関係する仕事への就職や転職が有利になる場合があります。
例えば、スポーツ関係団体の職員や学校などでのスポーツ指導者、スポーツ教室のスタッフなどに就職や転職を希望している人が、コーチングアシスタントの資格を持っていると採用の確率も上がるでしょう。
理由としては、スポーツ指導者としての幅広い知識が必要な資格を有しているため、資格を持たない人と比較して即戦力として期待が持てるためです。
ただし、資格を持っているからといって、必ずしもスポーツ関係の就職や転職ができるわけではないので注意しましょう。
スポーツに関する悩みや課題を解決できる
コーチングアシスタントは、資格取得の際に以下のような知識が求められます。
- コーチングアシスタントとして必要な考え方
- コーチングアシスタントの役割
- 正しいトレーニング方法や指導方法
- 医療知識や救急処置の対応
そのため、コーチングアシスタントの資格を取得すると、スポーツの悩みや課題を解決するサポートができるようになります。
例えば、資格を取得すればスポーツクラブやサークルなどで正しいトレーニング方法を指導でき、怪我の未然防止や健康的な身体づくりのサポートができるようになるのです。
また、スポーツの楽しみや魅力を伝えながら、地域のコミュニケーションを活性化する手助けも可能です。
ただし、コーチングの最新情報や研修などへの参加をして、常に新しい知識を学んでいくことが必要となります。
別の資格へのステップアップも見込める
コーチングアシスタントの資格を取得すると、別の資格へのステップアップも見込めます。
例えば、コーチングアシスタント資格取得者が、競技別指導者資格やジュニアスポーツ指導員、アシスタントマネジャーなどの資格へステップアップしたい場合、養成講習会が一部免除され専門分野を学ぶことができます。
一部免除となる理由は、資格を取得するためには共通科目があるためです。共通科目がある資格では養成講習が免除となり、ステップアップへの道が開かれています。
ただし、ステップアップしたい資格の共通科目が一緒でない場合は免除とならないため、事前に確認しておきましょう。
年収アップできることがある
コーチングアシスタントの資格によって、年収アップを見込める可能性もあります。
地域のスポーツ教室やスポーツクラブのインストラクターとして働くことによって、年収アップに期待できるのです。また、資格のステップアップによる年収アップも期待できるでしょう。
ただし、資格による昇給のない職場やボランティアの場合は年収アップにならないため、採用条件や資格に対する優遇措置などについて確認することをおすすめします。
副業として収入を得られる
コーチングアシスタントの資格を取得することで、副業として収入を得ることも可能です。例えば、以下のような副業があります。
- フィットネスクラブやスポーツジムで、パート・アルバイトとして働く
- 地域の部活動やチームで働く(複数チームを掛け持ちするなど)
- パーソナルトレーナーとして顧客を指導する
ただし、副業をする場合には、本業での確認が必要となります。本業とのバランスや会社での働き方を考慮して、支障がでない程度に副業時間の都合をつけましょう。
コーチングアシスタントの資格取得までの流れ
資格取得の条件は、ISPO(公益財団法人日本スポーツ協会)とNHK学園による「コーチングアシスタント養成講座」を受講・修了することです。
以下の順序が受講の流れとなり、学習は、「リファレンスブック(日本スポーツ協会発行)」で「共通科目Ⅰ」の範囲です。
- インターネットから申し込み・ 支払(振込方法はクレジットカード・コンビニ決済)
- 教材の受け取り(1週間〜10日程度)
- 「コーチングアシスタント養成講座」の学習
- マークシートでの課題提出
- 郵送にて成績通知(60%以上の正解率で合格判定)
- コーチングアシスタント資格取得(登録証が後日郵送で届く)
コーチングアシスタント養成講座の受講期間や費用
養成受講時期 | 申し込み期間 | 課題提出期限(必着) | 成績通知 | 認定日 |
春 | 2月1日~4月20日 | 5月25日 | 6月中旬 | 10月1日 |
夏 | 5月1日~7月20日 | 8月25日 | 9月中旬 | 10月1日 |
秋 | 8月1日~10月20日 | 11月25日 | 12月中旬 | 翌年4月1日 |
冬 | 11月1日~1月20日 | 2月25日 | 3月中旬 | 翌年4月1日 |
※2022年8月時点
コーチングアシスタント養成講座は、年4回のスケジュールで開催されます。
申し込みは入金完了時点となるため、申し込み期間の最終日を事前に確認しておきましょう。認定日は、10月1日と4月1日の年2回となっている点にも注意してください。
また、資格取得までには以下の費用が必要となります。
費用名称 | 春・夏 費用(税込) | 秋・冬 費用(税込) |
通信講座受講料 | 22,000円 | 22,000円 |
登録料 | 13,000円 | 13,300円 |
合計費用 | 35,000円 | 35,300円 |
※2022年8月時点
登録料は、基本登録料(10,000円)+初回登録手数料(3,000円)の合計です。ただし、2023年4月認定分から初回登録手数料が、3,300円となるので入金の際には注意してください。
受講免除の条件
コーチングアシスタント資格取得の際、「コーチングアシスタント養成講座」受講免除となる場合があります。
受講が免除となるのは以下の条件の場合です。気になる方は、申し込み前に免除の条件に該当するか、確認しておきましょう。
- スポーツリーダー、コーチ1、アシスタントマネジャー、クラブマネジャー、ジュニアスポーツ指導員、スタートコーチ(競技によっては免除非該当)の資格取得者
- 日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格保持者(スタートコーチ、スポーツドクター、スポーツデンティスは非該当)
- 日本スポーツ協会講習・試験免除適応コース共通科目修了証明書保有者
- スポーツ少年団認定員認定証保有者
- 健康運動指導士資格取得者
コーチングアシスタント資格の難易度や合格率について
コーチングアシスタントの資格は、「コーチングアシスト養成講座」の受講・修了で取得できる資格のため、難易度はそれほど高くありません。
スポーツ指導者を目指す人のスタートともいえる位置づけの資格です。
コーチングアシスト養成講座の受講中の課題提出は1回のみで、全体で100の問いに対しマークシートで回答をします。
受講開始日によって課題提出期限が異なるため、必ず期日までに課題を提出できるよう学習を進めましょう。
課題の100問中60%以上の正解率で合格となり、コーチングアシスタントの資格が取得できます。
成績通知で不合格判定の場合は、「追試」もしくは「再受講の案内」が送付され何度でも再挑戦できます。
スポーツリーダーからコーチングアシスタントへの移行方法
スポーツリーダー資格を持っている人は、以下の手順でコーチングアシスタント資格移行への移行が可能です。
- インターネットを通じて「指導者マイページ」を作成
- 「指導者マイページ」にログインする
- 免除申請を行う
- 日本スポーツ協会が申請内容を確認し、問題がなければ承認
- 日本スポーツ協会から資格登録申請の案内連絡がくる
- コーチングアシスタント資格登録の手続きをする
- 日本スポーツ協会から認定証・登録証の送付
- コーチングアシスタントに認定
コーチングアシスタント資格の申請をしなくても、スポーツリーダーの認定は継続します。
コーチングアシスタントへ移行を行い、学びを得て更なる成長と資格のステップアップにつなげましょう。
コーチングアシスタント資格の注意点
コーチングアシスタント資格には、いくつかの注意点もあります。資格取得前に知っておきたい注意点について、確認していきましょう。
永年資格ではなく更新制の資格
コーチングアシスタントの資格は、4年に1度更新が必要な資格です。スポーツリーダー資格のように、1度取得してしまえば生涯保持できる永年資格ではありません。
地域のスポーツクラブやサークルなどで指導する立場にあるため、最新の情報取得や研修などによる「学び」が必要なポジションです。
資格の更新時には、研修の参加状況などで「学び」を確認します。資格更新の条件や更新期限を事前に調べておきましょう。
申し込みを受付していない期間がある
コーチングアシスタント養成講座に申し込みができない期間 | 1月21日~1月31日、4月21日~4月30日、7月21日~7月31日、10月21日~10月31日の4期間 |
※2022年8月時点
コーチングアシスタントの資格を申し込む場合には、受付期間の事前確認が必要です。
年に4回の申し込み期間があるため、申し込みを受け付けていない期間もあります。基本的には、上記4つの期間が申し込みできない期間となるため注意してください。
コーチングアシスタントの資格を取得して仕事に生かしましょう
コーチングアシスタントは、資格取得の難易度がそれほど高くなく、スポーツ指導者として成長できるうえ、ステップアップも見込める資格です。就職や転職、収入アップにつながる可能性があるなどのメリットもあります。
ただし、更新が必要な資格であるため、常に新しい情報を取り入れることや研修への参加など、資格取得後も学ぼうとする意識が大切です。
スポーツが好きで、スポーツ指導者として一歩を踏み出すにはうってつけの資格といえるでしょう。資格取得をお考えの方や興味を持たれた方は、日本スポーツ協会のホームページで詳細を確認してみてください。