コーチングには良い面と悪い面があるため、「胡散臭い」「気持ち悪い」と感じている方が少なくありません。
そこでこの記事では、コーチングが胡散臭いといわれる理由や、胡散臭いコーチングかどうかを判断するポイントについて解説します。
また、良いコーチングの見極め方にも触れていますので、コーチングがいまいち信用できないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもコーチングとは
コーチングの語源は「馬車」といわれ、クライアントの目標達成や課題解決に導くスキルを指します。
コーチングは、コーチとの会話を通してクライアント自身の内面からアイデアを引き出し、行動を起こすように促していくものです。
特にビジネスにおけるコーチングは、教えるのではなくクライアントの中にある答えを引き出していくことに重きをおいています。
そのため、コーチ側が指示を出してしまうと、ティーチングに変わってしまいます。クライアントが自ら答えを考え、見出し、行動に移すのを手助けするのがコーチングなのです。
質問を通して、クライアントの持つ知識や技術の棚卸しを行い「目標を達成するためにはどんなスキルを身に付ければいいのか」「それはどうしたら身に付くのか」を明らかにしていきます。
コーチングの主な種類
コーチングの種類は大きく分けて下記の3つがあります。
- ライフコーチング
- エグゼクティブコーチング
- ビジネスコーチング
ライフコーチングは、人生設計を目的としています。「人生を通して何を得たいのか」「どんな目標を叶えたいのか」といったクライアントのビジョンを明確にしていきます。
エグゼクティブコーチングは、経営者や経営幹部を対象に行うコーチングです。経営者や経営幹部は、企業を成長させるうえで常に高い意思決定力や判断力を求められるため、どんな状況でもベストな決断が下せるような、行動変容を促していきます。
ビジネスコーチングは、主にビジネスに特化したコーチングです。部下や後輩を育成する際に用いられます。チームのリーダーや、後輩の指導を任されている上司、社員の離職率を下げたい人事担当者にぴったりのコーチングといえます。
関連記事:コーチングとは?ティーチングとの違い、やり方や効果を徹底解説
コーチングが胡散臭いといわれる理由
コーチングが胡散臭いといわれる理由は、「効果や成果が分かりにくい」「コーチング費用が高い」などがありますが、ここでは6つの理由を詳しく解説します。
効果や成果物が分かりにくい
コーチングは無形商品のため、目に見える効果が出にくいというデメリットがあります。
また、コーチングは受けてその場で何かが大きく変わるわけではなく、じっくりと時間をかけることで効果が現れるものです。
そのため、一つの目標に数カ月もかけていると「いつまで時間をかけるのか」「ムダに引き延ばしているのではないか」などと、不安に感じてしまう原因となります。
このように、はっきりとした期間や目標が分かりづらく、コーチングを受けるメリットをすぐに実感しづらいことから、「コーチングの仕事そのものが胡散臭い」といわれる原因の一つとなっています。
コーチの実力に左右される
インターネットで検索すると、数多くのコーチやコーチングに関するウェブサイトが見つかります。
資格を持っている人・持っていない人、実績がある人・ない人などさまざまです。望んだ結果が出るかどうかは、コーチが持っている専門知識やスキルによって変わります。
それだけでなく、コーチとクライアントの相性もあるため、他の人で成果が出ても自分の場合はうまくいかないケースもあります。
また、コーチによってアプローチの仕方にも違いがあります。クライアントの潜在ニーズを見つけて、可能性を引き出すことが上手なコーチもいれば、あえて詰問したり過度の緊張感を与えたりするコーチが存在することも事実です。
コーチングを初めて受けるときに「どんなコーチか分からないので不安」という方は、無料でコーチングの体験ができるところもあるため、まずはお試しから始めることをおすすめします。
コーチング費用が高いことがある
個人相手のコーチング費用の相場は、週1回50分のセッションで1カ月あたり約3万円です。
月4回セッションを受ける前提で考えた場合、1回あたり5,000〜7,500円が相場といえます。この費用はあくまで相場のため、さらに高い金額を設定しているコーチもいます。
また、メニューによっては、ロングセッションで3カ月分の前払いを要求するケースもあります。リーズナブルな金額で手軽にコーチングを受けたい方にとっては、高いと感じることもあるでしょう。
誰でもできる肉体労働は対価が下がる傾向にありますが、その人にしかできない知的労働には、高い対価が支払われるのが一般的です。コーチングは後者にあたるため、必然的に費用が高くなるのです。
詐欺やネットワークビジネスのことがある
ネットワークビジネスとは「マルチ商法」とも呼ばれており、購入者を販売員として勧誘したあと、その購入者が商品を販売すると収益がもらえるビジネス手法のことです。
コーチングにもネットワークビジネスや詐欺のような手口を使う業者が存在します。例えば、受講した人に対して「他の人を勧誘したら紹介料を渡す」などと誘い、さらに顧客を増やすような手口です。
そのため、コーチングを受けられると思って受講したら、ただのマルチ商法だったというケースも存在します。
もちろん、あくまで一部の業者に限った話ですが、コーチングと聞くと「詐欺やネットワークビジネスではないか」という、悪い印象を持つ方もいるようです。
コンサルティングと誤解していることがある
コーチングとコンサルティングを混同しているケースも少なくありません。
コーチングは、クライアントの話を聴いたり質問をしたりすることを通じて、目標達成するための具体的な行動を促すことです。
一方、コンサルティングは、クライアントの行動変容を促す点ではコーチングと同じですがアプローチ方法が異なります。クライアントの悩みをもとに、コンサルタントが戦略や実践的な行動プランを考え、具体的なやり方やアドバイスを提供するのがコンサルティングです。
クライアントの中にある答えを、クライアント自身の力で引き出すことが目的のコーチングに対して、答えを用意するのがコンサルティングにあたります。
この違いを分からないまま誤解していると、実際にコーチングを受けたときに、具体的な行動プランや情報を提供してもらえず「成果が出なかった」という感想を抱く可能性が高くなるでしょう。
資格がなくてもコーチを名乗ることはできる
コーチの中には、コーチングに関する資格を持っている人が多いです。
他のコーチと差別化を図るために、プロフェッショナルやマスターなどの上級資格や、国際的な資格として有名な国際コーチ連盟(ICF)認定資格を取得するコーチも存在します。
資格を取得すると名刺に記載できるため、コーチとして仕事をしていくときに肩身が狭い思いをしなくて済むといったメリットがあります。
しかし、資格を持っていなくてもプロとして活躍し、多くの実績をあげているコーチも少なくありません。
ただ、コーチングを学んだりセッションを受けた経験がない一般社会人の場合、資格がない状態でコーチを名乗っている人に対して、ネガティブな印象を抱くことがあるのです。
良いコーチングの特徴や見極め方
良いコーチングには、共通の特徴があります。ここからは、良いコーチングの特徴や見極め方を紹介します。「胡散臭いコーチング」との違いも踏まえながら、ぜひ参考にしてください。
コーチングに対して自分の考えを発信している
良いコーチングの場合、コーチがテーマにあわせて自分の考え方を明確に発信している場合が多いです。
前述のとおり、コーチングの種類は「ライフコーチング」「エグゼクティブコーチング」「ビジネスコーチング」など多岐にわたります。それぞれのコーチングで顧客視点でのゴールが明確になっており、顧客から見たより明確なゴールを用意しているのです。
そのため、コーチングに対する姿勢や考え方に芯があり、コーチ自身の考えを広く発信していることが、良いコーチングの共通した特徴の一つといえます。
大手スクールのコーチング資格を持っている
コーチングの国家資格は存在しませんが、良いコーチの多くは大手スクールの民間資格を保有しています。
例えば、生涯学習開発財団認定コーチという資格です。この資格には、プロフェッショナル・コーチ、マスター・コーチなどの上級資格もあり、これらを取得しているコーチもいます。
資格を持っているということは、一定の訓練を修了した証です。そのため、コーチング資格を持っている人のほうが、顧客からも高く評価される傾向にあります。
分かりやすい実績がある
良いコーチングの判断基準として確認したいのが、分かりやすい実績を残しているか、という点です。
いくら、多くの資格を保有しているコーチでも、今までどの程度の人に実践してきたのか、明確な実績がなければいまいち信用できないでしょう。
そのため、ホームページなどに、これまでコーチングをどのような現場で行ってきたのか、明確な実績を提示しているコーチにお願いするのがおすすめです。
過度な営業や勧誘をしない
良いといわれるコーチは、過度な営業活動や勧誘活動をしていない場合が多いです。なぜなら、評判の良いコーチングは過度の営業などしなくとも、自然に人が集まるからです。
また、良いコーチであれば、コーチングは「必要としている人だけにするもの」だと理解できています。
そのため、手当たり次第に過度の営業をかけるコーチは、コーチングの本質からずれた考え方をしている可能性もあります。したがって、過度な営業や勧誘をしてこないコーチングを選ぶことをおすすめします。
「自分が絶対に正しい」という考えではない
良いコーチングの傾向として「コーチが自分の考えに固執しすぎない」点があげられます。コーチングは、確かに自分の考えを持ってそれを発信することが大切です。
しかし、自分の考えばかりにこだわり「自分の考えが正解」「それ以外は間違い」だと断定してしまうコーチは、良いコーチとはいえません。
多様な考えを取り入れながら、どんなテーマに対してもコーチングできるコーチがおすすめです。
自分のやり方に執着せず、ときにはコーチ対象者の考え方にも同調し、それぞれの人にあわせて柔軟な対応ができるのが良いコーチングの特徴です。
注意したほうが良いコーチング
コーチの中には、コーチングの本質とかけ離れた営業を行っているところもあります。ここでは、事前に知っておきたい、注意が必要なコーチングについて紹介します。
過剰な宣伝をしている
コーチングを行うにあたり、はじめのうちは営業や宣伝活動を行う必要もあるでしょう。しかし、あからさまな宣伝や勧誘活動をしているコーチはあまりおすすめできません。
中には、「コーチングを受けなければ幸せになれない」「コーチングは絶対に受けるべき」など、強要するかのような宣伝や勧誘をするケースもあります。
しかし、コーチングは本来、抱えている問題を解決したい、達成したい目標があるといった人が自ら受けるものであって、人に強要されるものではありません。
そのため、あからさまにコーチングを強要するかのような勧誘や宣伝活動を行っているコーチには注意が必要です。
コーチングの幅を超えて高額商品を販売する
コーチングセッションの1回あたりの相場は、50分で5,000〜7,500円です。しかし中には、1回あたり5万円などの高値をつけてコーチを行っているケースもあります。
確かに、実績があるコーチや、知名度の高いコーチであれば高額のコーチング費用がかかる場合もあります。
しかし、「知名度がない」「実績も分からない」というコーチが、相場とかけ離れた金額を請求する場合は、利用を慎重に検討したほうがいいでしょう。必ず事前に相場を確認し、必要以上に高い費用を提示してこないか確認してください。
目的が明確ではない
コーチングのテーマやターゲットが明確になっていないコーチにも、注意が必要です。
そもそも「どんな人をコーチングの対象にしているのか」「コーチングで最終的に何が達成できるのか」を明確にしていないコーチングはやめておきましょう。
目的が明確でないコーチにお願いすると「自分の思っていたコーチングと違った」という結果になりやすくなります。
胡散臭いコーチングか判断するポイント
「胡散臭いコーチング」を避けるためには、いくつかのチェックポイントがあります。
コーチングについて理解を深めておく
怪しい、胡散臭いコーチングをうっかり利用しないためには、自分自身でコーチングに関する理解を深めておくことが大切です。
書籍を読んだり、プロコーチの無料セミナーに行くのも良いでしょう。
また、無料体験できるコーチングに参加するのもおすすめです。コーチングについて少しでも知識を得ていることで、怪しい、胡散臭いコーチングかどうかは見極められる力が付きます。
コーチのルーツをたどる
コーチングにはさまざまな考え方があるため、自分にあったコーチングを受けるためには、コーチがたどってきたルーツを知っておくことが大切です。
コーチの実績や保有資格、コーチが実践しているコーチングの種類について知っておくことで、そのコーチがどのようなコーチングを行っているか理解しやすくなります。
口コミや評価を確認する
コーチングを選ぶときは、口コミや評価を事前に確認するという方法も役に立つ場合があります。
実際に体験してみた人の口コミや評価が見られる場合は、コーチングの良い評価、悪い評価どちらもチェックしてみましょう。
ただし、口コミや評価はそれぞれのとらえ方で変わりますし、ビターネット上の口コミは不特定多数の人が書くものですので、あくまで参考程度に考えておきましょう。
良いコーチングを見極めて活用しましょう
この記事では、コーチングが胡散臭いといわれる理由や良いコーチングの見極め方について紹介しました。
コーチングは日本ではまだまだ多くの方に知られていないこともあり、コーチングと聞くと「胡散臭い」「怪しい」と勘違いされる場合もあります。
しかし、多くのコーチはしっかりとした理念をもとにサービスを提供し、コーチングを必要とする人の助けとなっています。
ときに、「胡散臭い」と思われがちなコーチングですが、良いコーチングや注意が必要なコーチングを判断するポイントを知っておくことで、安心してコーチングを受けられるでしょう。