コーチング起業を検討する際、「具体的な起業方法が分からない」「起業に失敗しそうで不安」と悩む方も多いでしょう。
たしかに、コーチング起業を成功させるには「コーチとしてのスキル」に加え、集客力やセールス能力なども必要不可欠。すなわち、ただコーチングが上手いだけでは稼げないのです。
そこで本記事では、コーチング起業の概要や失敗事例、成功するコツを解説します。メリット・デメリットについても掲載しているので、コーチング起業を考えている方はぜひ参考にしてください。
コーチング起業とは
コーチング起業とは、クライアント(相談者)の目標達成をサポートする「コーチ」として開業することを意味しています。
Q コーチングってなに? 悩みや課題を抱えたクライアントと対話を重ね、自分自身で目標達成できる思考・行動の習得を促すコミュニケーション手法 |
そして、コーチングのビジネスモデルは「クライアントをサポート」した対価(報酬)を受け取ることで成立するため、「コーチングの質」が報酬額に影響を与えるのは言うまでもないでしょう。
ベテランコーチの中には1,000万円以上の収入を得ている方も多く、需要が安定しているので、全体的な案件数も豊富な職種です。
もしコーチング市場をもっと良く知りたい場合は、以下の記事も読んでみてください。
コーチング起業に役立つ資格
コーチング起業は特に資格を必要としないので、知識や経験だけでも十分事業は行えるでしょう。
しかし、資格勉強によってコーチとしての専門性が高まり、見事合格すれば専門知識の証明にもなるため、決して無駄というわけではありません。
参考までに、コーチング関連の有名資格といえば以下が代表的。
- 国際コーチ連盟(ICF)の認定資格
- 一般財団法人生涯学習開発財団認定のコーチ資格
- コーチ連盟認定コーチ
上記の他に、ファイナンシャルプランナーや心理学に関係した資格も相性が良くおすすめです。以下の記事も参考にしながら、自分に合った資格を検討しましょう。
コーチング起業に向いている人
まず結論として、コーチング起業に向いているのは、第三者に強い関心が持てる方です。「悩みの原因は何か」「どんな自分になりたいか」というポイントを相手目線で考えることが重要であり、言語化能力も高ければよりスムーズにサポートしていけます。
また、向上心を持っていれば、クライアントがひたむきに努力する姿に共感できるため、さらに満足度が高いコーチングが行えるでしょう。
参考までに、以下の記事ではコーチングに必要なスキルを解説しています。こちらも併せて読んでみてください。
関連記事:コーチングに必要なスキルとは?3つの基本スキルを徹底解説
コーチング起業の年収例
コーチング起業で得られる年収は、ほぼ0円から1,000万円超えまで実にさまざまです。
ちなみに、約200名を対象とした年収調査において、300万円以上の収入を得ているのは全体の約30%程度であり、ほとんどのコーチは300万円未満に収まっていることが分かります。
- 100万円未満:40.5%
- 300万円未満:27.7%
- 500万円未満:11.3%
- 1,000万円未満:11.8%
- 1,500万円未満:5.6%
- 2,000万円未満:1%
- 2,000万円以上:2.1%
出典:関西医科大学医学部教授 西垣悦代「日本のコーチに対するウェブ調査:コーチの現状と展望」
最初は低単価でも、地道に実績を積んでいけば着実に年収は上がっていくでしょう。
中には実績から評判が広まって上場企業と契約し、億以上の年収を得ているコーチも存在するほど。
ただし、詳細な年収分布は「コーチングの型」によっても変わってくるため、以下の記事も併せてチェックしておきましょう。
関連記事:コーチングの仕事内容とは?年収水準についても解説
コーチングで起業するメリット
ここからは、コーチング起業のメリットを3つ解説します。
- コーチ自身の成長につながる
- 自由に働ける
- 働くほど収入が上がる
これからコーチングを検討している方は、しっかり押さえておいてください。
コーチ自身の成長につながる
クライアントにコーチングすることで、自分自身の成長にもつながるメリットがあります。
具体的に、コーチングを実施するにはクライアントの悩み、解決すべき課題などを的確に見極めなければなりません。
さらに、クライアントの思想や性質は千差万別なので、案件を重ねるほど「傾聴スキル」や「問題解決力」が身につくでしょう。
いずれの能力も、日常的な人間関係から他の事業に至るまで幅広く役立つため、コーチングにおける最大のメリットといっても過言ではありません。
関連記事:コーチングに必要なスキルとは?3つの基本スキルを徹底解説
自由に働ける
自分の好きな形で働けるのもコーチング起業の大きな魅力。
会社に所属しているわけではないので、勤務時間・場所は基本的に自由であり、コーチングの料金についてもすべて自分で決められます。
くわえて、クライアントも自由に選べるため、「問題の多い人」や「考え方が合わない人」を避け、相性の良いクライアントだけと長く付きあっていくことも可能です。
働くほど収入が上がる
コーチング起業すれば、案件をこなすほど収入が上がるため、年収1,000万円を達成するのも夢ではありません。
実際のところ、会社員は頑張って働いてもすぐ給与に反映されるわけではなく、年収水準も頭打ちになるケースがほとんど。やりがいばかり搾取されて虚しさを感じる方も多いでしょう。
もちろん、会社員にもたくさんのメリットがありますが、年収のリミットが存在しないのはコーチング起業最大の魅力です。
コーチングで起業するデメリット
コーチング起業のメリットが把握できたところで、次は以下2つのデメリットも確認していきます。
- 自分一人で業務を進める必要がある
- 収入が安定しない
いずれも重要なポイントとなるため、ぜひ参考にしてください。
自分一人で業務を進める必要がある
コーチとして起業すると、コーチングを除いた以下の業務もすべて一人で行わなければならず、想定以上の負担がかかる可能性があります。
- 会社の宣伝
- 集客活動
- クライアントの選定
- 経理など
上記の中でも、確定申告や所得税計算などの経理は、特に苦戦しやすい業務の一つ。
収入が安定しない
コーチング起業すれば年収の上限はなくなりますが、立ち上げ当初は収入が安定しない方がほとんど。
そもそも顧客がいなければ収入自体が得られないため、市場での認知度が高まるまでは「月収0円」という状況も覚悟しておかなければなりません。
コーチング起業でよくある失敗事例
ここからは、コーチングで起業する際によくある失敗事例を解説します。
- コーチングそのものを売ろうとしている
- 自己肯定感が低い
- スキルアップする努力が足りていない
- 営業力が低い
- 自己投資が多すぎる
- 経営のノウハウを知らない
より安全に起業できるように、しっかり押さえておきましょう。
コーチングそのものを売ろうとしている
初心者コーチは「コーチングそのもの」を売ろうとしてしまい、上手く集客できずに失敗するケースがあります。
たとえば、「ダイエットのコーチングを行います」と宣伝しても、「ダイエットが成功した先の未来」を示してあげなければ、クライアントは惹きつけられないでしょう。
クライアントにとって必要なのは「コーチング」ではなく、コーチングを通して実現できる「未来」に他なりません。
そのため、顧客へサービスをアピールする際は、必ず「コーチング」と「実現可能な未来」をワンセットで伝えてみてください。
また、コーチングの価値提供については以下の記事でも解説しているので、併せて読んでおきましょう。
関連記事:コーチング起業での集客方法11選!成功の秘訣と失敗例も紹介
自己肯定感が低い
コーチ自身の自己肯定感が低いことによって、コーチング起業そのものがうまくいかないケースもあります。
コーチングは、対話によってクライアントの力を引き出し、行動を促しながら目標達成を支援するコミュニケーションスキルです。
そのため、コーチが自信のない様子では、クライアントが不安感を覚えてしまい、継続的な依頼は勝ち取れないでしょう。
自分のコーチングに自信を持てれば、クライアントにもきちんと伝わるため、以下の記事なども参考にしつつ、コーチングスキルのトレーニングを重ねてください。
関連記事:コーチングのスキルアップトレーニング!方法と手順を解説
スキルアップする努力が足りていない
コーチングに関するスキルアップの努力が足りていなければ、起業が失敗するのも当然といえます。
実際のところ、コーチの中には「スクールで資格取得できれば終わり」と考える方も多く存在しますが、そんな考えでは十中八九上手くいきません。
資格取得後にも知識や経験を積み上げることで自信がつき、自己肯定感のアップにもつながるので、常にスキルアップの努力を怠らないようにしましょう。
営業力が低い
営業力が低いのも、コーチング起業が失敗する原因の一つです。
なぜなら、「コーチングのスキルが高い」ことと「営業力に優れている」のはまったくの別問題。むしろ、集客できなければ収入自体がなくなる点を考慮すれば、営業力がないベテランコーチより、営業が得意な初心者の方が生き残る確率は高いでしょう。
ただし、はじめのうちはほとんどの方が営業に躓いてしまうので、以下の手段を試すのがおすすめです。
- ブログやSNS、メルマガで「自分がどんな人物なのか」「どんなコーチングを行っているのか」を積極的にアピールする
- コーチングを申し込んでもらえるよう、ホームページを作っておく
- プラットフォームを利用してクライアントの獲得につなげる
上記の中でもプラットフォームの利用は特におすすめ。以下の記事も参考にすれば、誰でもすぐにフル活用できますよ。
関連記事:コーチングサービスのプラットフォームとは?メリットや注意点を解説
自己投資が多すぎる
自己投資が多すぎるのも、コーチング起業でありがちな失敗事例です。
自己投資自体は素晴らしい取り組みなのですが、目的や回収目処を立てていない方が多く、最悪の場合はただの「浪費」に留まってしまいます。
たとえば、「コーチングの資格取得に必要な投資」なら問題はありません。
しかし、「良さそうなセミナーだから」というボンヤリした気持ちで参加しても、吸収できる知識量は全体の半分以下でしょう。すなわち、お金の無駄になるのです。
したがって、自己投資するなら「本当に必要か」を検討し、無駄にならないようきちんと学習しましょう。
経営のノウハウを知らない
コーチング起業した時点で自分が「経営者」になるので、経営のノウハウを知らなければ、いくら稼いでも失敗する可能性は高いままです。
そのため、自社の売り上げや経費といった経理状態をきちんと把握し、売上高やコスト、損益分岐点などを通して経営数値についても押さえなければなりません。
独立したばかりの初心者にとっては難しい領域かもしれませんが、コーチングスキルと同じく優先的に学んでおきましょう。
失敗しないようにコーチングで起業する7つのステップ
次に、コーチング起業で失敗しないためのポイントを解説します。
- 自分のやりたいことを洗い出す
- 「やりたいこと」を「教える」にかけあわせる
- クライアントにどんな未来を提供するか考える
- クライアントが未来を実現するのに必要な要素を考える
- クライアントを集客する
- 価値を提供して信頼を得る
- 料金設定をして収益化する
スムーズにコーチとしてデビューするためにも、ぜひ参考にしてください。
自分のやりたいことを洗い出す
コーチング起業を成功させるには、まず自分のやりたいことを洗い出していきます。
コーチングのテーマは、自分が興味のあるジャンルや才能・特技から見つけるのが近道です。そこでまずは、以下のような項目を紙に書き出してみてください。
- 自分が好き・得意なこと
- ワクワクすることや疑問点
- 幸せに感じること
- 人より優れていると感じている部分
- 得意と感じている点
そして、コーチングとして需要がありそうなものをピックアップし、さらに選別して起業につながるようなテーマを決めましょう。
「やりたいこと」を「教える」にかけあわせる
次は先ほど見つけだした「やりたいこと」を、「教える」にかけ合わせていきます。
たとえば、長年保育士をしていて、「子どもとの接し方」に自信があるなら、「子どもと仲良くなれるコミュニケーション方法」などを「教えられる」でしょう。
どのようなテーマにしようと完全に自由なので、のびのびと考えてみてください。
クライアントにどんな未来を提供するか考える
コーチングのテーマを決めた後は、クライアントに「どんな未来を提供するか」を決めていきます。
先ほど触れた通り、「〇〇のコーチングを行います」のようなコピーではなく、「〇〇な△△になれます」と未来まで言及しましょう。
クライアントをどう導いていくかを具体的に検討することで、ビジネスの方向性の解像度も上がるはずです。
クライアントが未来を実現するのに必要な要素を考える
クライアントに提供する未来が決まったら、その未来を実現するために「必要な要素」は何かを考えます。
たとえば、「子どもともっと仲良くなりたいクライアント」には、会話の仕方や子どもが喜ぶ遊び方、というように、目的達成に向けて「どうすれば良いか」を決めていきましょう。
また、実際にコーチングに取り入れる場合は、クライアントをゴールまで導くステップも具体的に構築してください。
クライアントを集客する
コーチングのテーマが固まった後は、いよいよ集客を行います。何から始めればいいか分からない方は、まずは以下を試してみると良いでしょう。
- 無料、もしくは低価格のセミナーや動画講義を開設する
- ブログ、SNSなどで情報を発信して認知度を高める
いずれも即効性はありませんが、長い目で見れば効果的な施策です。
価値を提供して信頼を得る
集客に成功したら、価値を提供して信頼を得ていきましょう。
コツとしては、クライアントから受け取る料金以上のコーチングを提供することです。
たとえば、無料動画に有料級の有益情報を盛り込み、コストパフォーマンスを高めてあげるのもおすすめ。
情報を出し惜しみせず、信頼を獲得して収益につなげていってください。
料金設定をして収益化する
集客に成功したら、コーチングの料金を設定して収益化します。
具体的には、無料~低価格で惜しみなく情報を提供したあと、最後により有益な情報を得るためのコーチングを案内してみてください。
クライアントからの信頼度が上がっていれば、他の情報にも価値があると感じ、高価格のコーチングを購入する可能性が高くなります。
コーチング起業はきちんと準備すれば成功率を高められる
本記事では、コーチング起業のメリット・デメリットに加えて、失敗事例についても解説してきました。
コーチング起業に失敗してしまう方は少なくありませんが、以下のステップを踏んでいけば、誰でも成功率を高められるでしょう。
- 自分のやりたいことを洗い出す
- 「やりたいこと」を「教える」にかけあわせる
- クライアントにどんな未来を提供するか考える
- クライアントが未来を実現するのに必要な要素を考える
- クライアントを集客する
- 価値を提供して信頼を得る
- 料金設定をして収益化する